2月6日~8日、イギリス・ロンドンの東にあるExcel Londonにて、ベッティング業界最大のイベント・ICE London / iGB Affiliate London(別称 London Affiliate Conference 2024:通称LAC)が行われました。
当サイト・ブクサカのロンドンカンファレンスへの参加は昨年に続いて2度目。今回チームブクサカからは在英のSNS統括1名(通訳兼)、日本からオーナーの私、入出金コンテンツのライター1名の合計3名が参加しました。
初参加となったライター視点のカンファレンスレポートは「【ICE/iGB ロンドン2024】ブクサカライターが見た業界カンファレンス」にて詳細をまとめております。完全未経験からブクサカで成り上がり、英国出張まで辿り着いたライターの純粋なカンファレンスの印象を記載していますので、ぜひこちらも御覧ください。
今年は日本からの参加者が非常に少ない、ロンドン開催最後(来年からバルセロナ開催に移行)のカンファレンスとなりました。毎年恒例、ブクサカ名物・ビジネス目線強めの業界レポートに仕上げております。
「もし日本でベッティングが解禁されたら、日本でも将来こんな風景が広がるのかも」という妄想を楽しみつつ、ぜひ最後までご覧いただければと思います。
2024年の業界カンファレンスの雑感
ベッティング業界のカンファレンス(展示会)は年間を通して世界各国・各地域で開催されていますが、その中でも2月のロンドン開催回は業界最大規模のビッグイベント。
日本で言う東京ビッグサイトやインテックス大阪で開催されるような大規模展示会で、主にBtoBでの商談会がメインとなるICE(アイス)、アフィリエイトと広告主が一同に集うiGB(アイジービー)が同一会場で同時開催されます。
カンファレンス詳細については2023年のカンファレンスレポートに記載しているので、どんな企業がどんな意図で出展し、どんな目的でこの展示会が開催されているのかについての解説は下記記事をご覧ください。
毎度のことながら、規模の大きさ、人の数の多さに圧倒されて毎回トボトボ帰ってくる凄まじい展示会です。会場内を歩けば顔見知りばかりという同窓会状態でしたが、ブクサカも2日間で合計11ミーティングをこなす忙殺ぶりでした。
会場にはウェストハムの主力3選手(ボーウェン、アレオラ、アルバレス)、フィーゴ、ミチェル・サルガド、ガリー・ケーヒルも登場し、来場者を盛り上げました。ウェストハム選手来場については「betway × WestHamツアー in ロンドン 2024」にて詳細レポートしてます!
2024年業界レポート・ラインナップ
ブクサカが選ぶ、2024年業界レポートのラインナップがこちら。これを読めば、日本のスポーツベットマーケットの大勢を理解できるはず。
- カジノ業界のおける日本バブル終焉からの売却・譲渡の流れは継続
- スポーツベットアフィリエイトの新星(ニュースター)は現れず
- 飛ぶ鳥を落とす勢い、向かうところ敵なしのStake
- 2024年の最大トピックは暗号資産(仮想通貨)
- 2024年の懸念は業界の国内広告過剰
カジノ業界のおける日本バブル終焉からの売却・譲渡の流れは継続
ちょうど1年前、昨年2月の業界レポートで、私はこんなことを書いてました。
- カジノ業界のおける日本バブル終焉
近年は日本市場から撤退するオンラインカジノも多かったですが、今後はオンカジ界隈のアフィリエイター、アフィリエイトサイトの淘汰、選別が始まると言われています。特に大きな資金が動く大手サイトの統合、買収、売却、撤退は目に見えないところで進むでしょう。
1年前の予想はほぼ的中。ご存知の通り、昨年秋の逮捕騒動の煽りを受ける形でこの流れはより加速し、カジノ本体も含めた業界関係サイトの譲渡・撤退の流れも継続していくと思われます。
ただ予想外だった点が2つあって、一つは「譲渡・買収はサイト経営がうまく行かなくなって行われる」かと思いきや、「運営はうまく行っているが譲渡・売却するケース」が多かったこと。
もう一つは、カジノ分野でこの流れが加速すると予想していたのに、私たちの身近にあったスポーツベットサイト、みんな大好きブックメーカーズさんもこの流れに乗ったことでした。他サイト様の事情ゆえ私は詳細に踏み込めませんが、私もみなさんと同じく、驚きとショック、そして「寂しい」の一言に尽きる思いです。
スポーツベットアフィリエイトの新星(ニュースター)は現れず
そんな流れもあって、各ブックメーカー担当者に「アフィリエイトの新星(ニュースター)は出てきていませんか」と聞いてみましたが、皆一様に「いませんねぇ…」という回答しか得られず。
最近はSEOの競争が激しすぎるので、個性派の主戦場はもっぱらSNSです。しかし打ち上げ花火や流れ星のように、突如出現して一瞬で消えていくタイプはいても、年単位の長期で安定成績を出せるのは昔ながらの面々ばかり。
SEOは個性派というより、効率重視の量産系か海外勢ばかりで、日本発のニュースター登場の兆しは見られず。私が勝手に(?)待ち望んでいる、個性と独自性(オリジナリティ)が強い、この業界の次世代を担うニュースターの出現を楽しみに待ちたいと思います。
余談ですが、アフィリエイトも今や「ここから登録する」というユーザー側の明確な意志を持って選ばれる時代になったと感じています。アフィリエイトには付加価値を出す努力が求められる一方、ユーザーもそれを見極める目が求められています。
アフィリエイトはユーザーの人気投票みたいなものなので、皆さん自分が応援したいと思う運営サイトを堂々とお選びいただきたい。
ぱっと見は盛り上がっているように見えていても、実態とはかけ離れた姿を無理やり見せようとするのはどの界隈も同じ。ユーザーの皆さんには、各運営者の良し悪し判別する確かな目を養い、健全な業界発展のための1票を大事に使って下さい。
飛ぶ鳥を落とす勢いのStake(ステーク)
2024年のカンファレンスでひときわ大きな存在感を誇示していたのがオーストラリア・メルボルンを拠点に活動するStake.comです。現地の様子から明確に言えることは、もはやステークは「飛ぶ鳥を落とす勢い」、「向かうところ敵なし」だと言うこと。
報道によると、StakeはiGBアフィリエイト史上、過去最大となる225平方メートルのブースを出展(※)。iGBのフロアマップも、もはやステークブースへの案内マップに仕立て上げられてました。。
ブース内にはF1レーシングカーがドカンと並べられ、豪華アメニティにはスポンサーを務めるF1チームのドライバーサインも配られましたが、なんとサインはコピーじゃなく1枚1枚本当に書いたリアルサインというから驚愕でしょ。
そのドライバー、何枚書いたんだよこのサイン!?
ロンドン中心部にあるナショナルギャラリーを貸し切って社内イベントをやったという狂気的な噂も飛び出し、市場調査でStakeが世界最大シェアを奪った可能性がある推定レポートがあるという話が飛び交ったり、英国出張中はどこに行ってもステークの話題で持ち切りでした。
とあるブックメーカーのCEOがステークのVIPらしく、「Stakeのボーナスやばいんだって!!」と無邪気に熱弁するぐらいなんだから、業界内のStakeブームの勢いを理解できるでしょう。
2024年の最大トピックは暗号資産(仮想通貨)
2024年のステークを更に勢いづけるのが、2024年の暗号資産相場です。
ご存知の通り、2024年は既にビットコイン価格は日本円で1000万円超まで高騰。暗号資産を大量保有する彼らの資金力は更に膨れ上がる。この追い風はスポーツベットアイオーも同様で、暗号資産の追い風に乗れる両社は2024年、更に勢いづく飛躍の1年となる可能性大。
また、2024年は日本人も含めて世界中で多くの暗号資産長者が生まれるはず。いや、正確には「既に生まれている」だろうし、あるいは「もう生まれた」のかもしれません。
その暗号資産長者(=超ハイローラー)の獲得を巡って「ステーク VS スポーツベットアイオー」の対決構図こそが、2024年最大のトレンドだと見ています。ボーナス還元企画やVIP制度の充実、マーケティングやスポンサー費用、広告費への投下で、しのぎを削る展開を希望!(※)。
実は両社、お互いがお互いを「あそこには勝てない」と謙遜しつつ、「でもぶっ倒したです」という笑顔を交えた闘志も見せてくれてます(笑) 両社とも健全なライバル関係で切磋琢磨しつつ、今年の日本市場をリードしてくれることを期待しましょう!
ベッターの皆さんは暗号資産(仮想通貨)に投資しないの?
完全に話がそれますが、スポーツベッターの皆さんは暗号資産に投資をしていますか?「暗号資産で一儲け→スポーツベット」の流れはハイローラーの鉄板的な流れですが、「スポーツベット→暗号資産」は入出金のための保有ぐらいでしょうか。
なんでこんなことを書いたかと言うと、私はスポーツベッティングと暗号資産(というか株式投資も含めた個別銘柄の裁量投資)の基本って同じだと思っているんです。材料をあつめて、客観要素を調査して、大衆の動きを把握して、エッジを取れるところに資産を張って、数字の強さが求められるところとか、根っこの部分が似ているな~と。
これって個別銘柄の裁量投資も全く同じなんですね。稼げるスポーツベッターは暗号資産や個別株の裁量投資とも相性良さそうですけど、どうなんでしょう?「スポーツには興味あるけど経済には興味ない」って言われたらそれまでですが、結構センスある界隈の人多いと思うんだけどなぁ。
ちなみに私は数字には弱いし、個別銘柄もスポーツベットも最弱だし、暗号資産の売却はいつもタイミングをミスって爆損こいてるので説得力0ですね、ハイすみません、黙ります。
2024年の懸念は業界の国内広告の過剰ぶり
個人的に2024年最も懸念しているのが、業界の日本向け広告の加熱ぶりです。アジアカップ開催時のDAZN配信内の広告過剰は本当に酷いもので、いくら無料版とはいえこの過熱ぶりはさすがに行き過ぎています。
無料版のオフライン広告も様々なところに進出してきており、グレーマーケットの基本である「目立たず、自覚し、謙虚に」という姿勢はどこへやら…。あの傍若無人ぶりを見るに、どこかで鉄槌が下ったり、「調子に乗るな」という制裁が入る可能性は結構高いんじゃないかなぁ。
あのアジアカップでの広告過剰を見て、私は「これはスポーツブックアフィリエイトの寿命が近づいている」と「自分の仕事の終焉」の覚悟を決めたほどです。いつかどこかで広告過剰へのストップは入るはずで、それが2024年や2025年に起きないことを祈るばかりですが、果たして…。
まとめると、2024年はステーク中心に業界が動きそう
まとめると、2024年この業界の中心になるのは間違いなくステークです。今年は良くも悪くも、注目を集め続けるでしょうし、同業種の方はステークの動向に目を光らせると思います。
そしてスポーツベットアイオー兄貴がその挑戦を待ち受け、betway、WilliamHILL、bet365といった老舗の法定通貨ブランドはヨーロピアン文化をベースに、お固めライセンスの範囲内で信頼重視でホワイト運営。
あとはカジノ系サイトを中心に日本人向けのスポーツブックブランド新設の話がチラホラ出てましたので、今年中か来年2025年には新しいサイトが登場するかも。日本人向けのスポーツブックブランドはそろそろ供給過剰なので、撤退ブランドも増えるかもしれません。
あとは日本向け特化ブランドの広告過剰問題は2024年~2025年のどこかで区切りがつくはず。それがいい形なのか、悪い形なのかはわかりません。皆さん、2024年も素晴らしいスポーツベットライフを送れるといいですね。
カンファレンス写真集
最後に、2024年のカンファレンス写真集をお送りします。おなじみの会社のブース、こんな会社もあるよ~というご紹介も兼ねて、写真どっぷりご紹介します。(※クリックで拡大可)
ちなみに2年連続で参加しましたが、大半の企業が昨年と同じ場所、同じデザインブースでそっくりそのまま出展してました。近い将来、東京ビッグサイトやインテックス大阪でもこういった世界規模の展示会が開かれる未来はやってくるのか!?
会場の様子
会場入口。
会場内の混雑ぶり。端から端まで徒歩7~8分の巨大会場に人、人、人、人、人。
ICEのロンドン開催は今年がラスト。来年2025年からはスペインのバルセロナ開催です。
ブックメーカー&ペイメント各社
全てではありませんが、一部だけ掲載します。
BtoBの関連企業ブース
BtoB向けのICE展示会にはペイメント、プロバイダー、ライセンス系(キュラソー、マルタ、マン島など)、ハイライト映像などの映像権利関係、eゲーミング開発など76ヶ国から過去最高の811社が出展する大盛況でした。
スロット台が会場内に立ち並びます。スロッターはこういうのを見るだけでアドレナリン全開になりそうですね。
フィーゴとミチェル・サルガド来場ブースの告知。
DAZNと同グループのOpta(オプタ)、STATS PERFORM (スタッツパフォーム)です。選手スタッツやチームスタッツなどのベッティングデータも扱う会社。同業系だとジーニアススポーツとか、スポーツレーダーとかも出展してました。
実店舗に置かれるスポーツベッティング購入マシーンの会社。
ベッティングやゲーミング業界の転職斡旋会社。日本で言う業界特化の転職エージェントみたいなものですね。自社に不満がある人が多いのか、めちゃくちゃ大盛況でしたw
それではまた来年、2025年業界レポートをお楽しみに!