当メディア「ブクサカ」はサッカーをより楽しむためのブックメーカー情報を発信しています。その一方でスポーツギャンブルに付随する「ギャンブル依存症」についての危険性をきちんと伝える社会的責任・使命が我々にはあると考えています。
当メディアが強くお伝えしたいのは「スポーツギャンブルはあくまで娯楽である」ということ。
当サイトも含めた、世界中のブックメーカーに関わる人誰もが、あなたがあなた自身の生活を破綻させるほどスポーツギャンブルにのめり込むことなど望んでいません。
そして、スポーツギャンブルはあくまでスポーツ観戦をより楽しむためのスパイスの一つであって、人生の目的でもありません。
ギャンブル依存症に対するブクサカのスタンスとして、「スポーツ観戦は人々に楽しみを与えてくれるものであって、人々の生活を苦境に追いやる元凶であってはならない」と考えています。
そんな当たり前のことをもう一度再認識していただくために、この記事ではギャンブル依存症について解説していきます。
ギャンブル依存症とは?無意識にのめり込む恐怖の病
ギャンブル依存症は「日常生活に大きな支障が出ているにもかかわらず、ギャンブルすることをコントロールできない状態」のことを指します。
ギャンブル依存症はWHO(国際保健機構)によって「病的賭博」という名称で正式に認められている「心の病=コントロール障害」です。
久里浜医療センターの全国調査によると、日本でギャンブル依存症が疑われる人は全国に約320万人、成人の約3.6%に相当することが分かっています。男女別では男性6.7%、女性0.6%と男性の依存症患者が多いのがこの病気の特徴です。
日本政府も依存症患者に対する取り組みを強化しており、厚生労働省や消費者庁、文部科学省などでも注意喚起や相談先の情報提供、教育支援を行っています。
このように、ギャンブル依存症対策は国家レベルで取り組む政策課題なのです。
ギャンブル依存症チェック
下記のサイトでは、静岡の依存症治療拠点機関「聖明病院」によるギャンブル依存症チェックが提供されています。
選択式で5分程度でチェックでき、スマホ・パソコンのどちらからでも利用できます。
まずは客観的に現状を把握するために、このような簡易チェックで自分の依存度合いを認識しましょう。ギャンブルに依存している人の多くは、自分がギャンブルに依存していることに全く気づいていません。
もし「依存」の判定結果が出た場合は、直ちにギャンブルをやめ、専門の医療機関を受診することを推奨します。
依存した状態でギャンブルを繰り返すと、日常生活に支障をきたし大きな金銭問題を引き起こす可能性が高くなるからです。
主な症状や特徴
ギャンブル依存症の特徴で代表的なものが次のようなものです。
- ギャンブルをしないと落ち着かない
- 賭ける額がどんどん増えていく
- ギャンブルで得るお金をあてにする
- 負けたお金を取り返すためにまたギャンブルをする
- ギャンブルしていることを隠そうとする、嘘をつく
- 仕事中でもギャンブルのことが頭から離れない
- 仕事や家事をサボってギャンブルしてしまう
- ギャンブルで家族関係に問題を引き起こしてしまう
ギャンブル依存症を患うとギャンブル対する自己コントロールできなくなり、日常生活に様々な支障をきたします。さらに病気が進行すると、
- うつ病の併発
- 多重債務者
- 家庭崩壊
- 社会的信用の失墜
- 失業
- 生活資金の困窮
などに繋がり、ギャンブル依存症は犯罪や自殺に手を染めてしまう最悪のケースも実際に起きている非常に怖い病気です。
ギャンブル依存症患者はギャンブル以外の遊戯や趣味では刺激が得られなくなり、刺激を求めてより大きな勝負を繰り返していきます。
依存がさらに進行すると、「ギャンブルに対する強い衝動」に襲われ、仕事や家事に身が入らない状況となります。こうして「ギャンブルをやりたい」という欲求が頭の中を占めることになり、ギャンブル以外のことを考えない思考回路になってしまうのです。
進行が進むとレートが低い勝負や少ない回数では満足できなくなり、常に過激なギャンブルを求めて無謀なギャンブルを繰り返し、そのうちに重大な金銭問題を引き起こすようになります。
家族が本人のギャンブル依存に気づくのも、このタイミングが多いようです。
ギャンブル依存症が進行する脳のメカニズム
ギャンブル依存の傾向が強まると、いつしか脳の報酬系が鈍感になり、「ギャンブルで勝った」という行為に喜びを感じにくくなります(快楽物質が分泌されなくなる)。
そうなると「ギャンブルをしたい」という強い欲求と衝動がどんどん強まる一方、ギャンブルをしても快楽物質(ドーパミン)が脳内に分泌されにくくなっているため、欲求は常に満たされません。
ギャンブル以外の行為に対しても反応が鈍くなるため、「ギャンブルをやりたい」という、永遠に満たされない欲求がどんどんエスカレートしてしまうのです。
【参考】
治療方法や相談先について
スポーツギャンブルを提供するブックメーカー各社もギャンブル依存症対策への取り組みを強化しています。例えば公式サイトでも様々な専門の支援団体を紹介したり、入金制限やベッティングの制限を自分で設定することもできます。
ギャンブル依存症の治療方法は、専門の医療機関を受診するか、施設に入所したり自助グループに参加したりするのが一般的で、日本国内でもこのような治療アプローチをとる団体が全国に存在します。
ブックメーカー公式サイトでは英国内での支援団体紹介が中心ですが、この記事では海外で有名な支援先以外にも日本国内での支援先や、医療機関の探し方についても言及していきます。
医療機関での受診
全国の保健所や精神保健福祉センターでは、専門医療機関の紹介を受けることができます。
またギャンブル依存症に付随する借金問題や就労などの生活支援についても精神保健福祉士に相談することができます。
医療機関での治療は、精神科医師による診察・臨床心理士による心理検査や身体検査などをもとにした認知行動療法を用いた治療プログラムが行われます。
ギャンブルに偏った自分の考え方や行動の癖を自己認識し、意識的に対処できるよう練習を繰り返して新しい考え方を習慣化させていきます。
自助グループへの参加
自助グループとは、ある障害を持つ人同士が励まし合いながら障害から回復していく集団のことです。本名を名乗る必要はなく、プライバシーも守られます。
自助グループではミーティングでメンバーの体験談を聞きつつ、お互いの体験を分かち合うことで孤独の恐怖感をなくし、ギャンブルに再び逃げることへの予防アプローチを行っていきます。
自助グループへの参加を通してギャンブル依存症を自覚し、周囲からのアドバイスを受け入れられるように行動変異していくことが期待されています。
ギャンブル依存症での代表的な自助グループ
ギャンブル依存症当事者を対象にした米国発症の自助グループで、日本全国にも46都道府県197のグループが存在。
ギャンブル依存症患者の家族や友人を対象にした自助グループ。
支援団体に相談
国内外の支援団体や慈善団体でもギャンブル依存症支援を受けることができます。
ギャンブル依存症支援コミュニティをオンライン上で提供する「ギャンブル依存症克服支援サイトSAGS」では、ギャンブル依存症克服のQ&Aの提供・掲示板への参加などの支援が受けられます。
一般社団法人ギャンブル依存症予防回復支援センターでは24時間・年中無休体制で電話無料相談を受け付けています。
「BeGamble Aware」はイギリス拠点の慈善団体。ギャンブル乱用、依存症を防ぐ活動をグローバルに行っており、オンラインカジノやブックメーカーのビジネスパートナーにもなっています。
「Gambling Therapy」もイングランドとウェールズで登録されたギャンブル依存症支援の慈善団体で、日本語にも対応。オンラインでの無料サポートや多言語フォーラム、依存症治療の無料アプリが提供されています。
専門施設への入所
ギャンブル依存症が進行している場合、完全にギャンブルと切り離された生活を送るために専門施設に入所する治療方法もあります。
ただし、入所してから出所までに数か月以上を要することもあり、高額な費用と莫大な時間を費やす覚悟が必要です。
治療期間と完治までの道のりについて
一般的にギャンブル依存症の治療には数年を要します。
ギャンブル依存症は時間を経ても再発する可能性がある病気で、再発に留まらず一層ひどい状態に陥ったり(リバウンド)する危険性もあります。
そのため明確な治療期間はありませんが、一般的には3年以上の断ギャンブルに成功すると再発率が5%以下まで下がることが分かっています。(当団体データ)
「依存は心の病であり、完治しない。唯一の解決方法は、依存の対象(今回はギャンブル)と一生離れて過ごすことである」と医学的に説明されている通り、ギャンブル依存症治療では生涯にわたってギャンブルから離れ続ける必要があります。
ギャンブル依存症患者の体験談|私はこうしてハマった
ここからは、ギャンブル依存症の具体的な事例をお伝えします。
以下で紹介するのは依存症の回復を支援する「ワンネス財団」のスタッフ、中山英治さんの体験談です。
私がギャンブルを始めたのは、16歳(高校1年生)の頃でした。地元にオートレース場があり、バイクがカッコいいと思う感覚でオートレース場に通うようになりました。
学生時代はお小遣いやバイト代の範囲内で遊んでいましたが、社会人になり自分で自由に使えるお金が増えたことや仕事のストレスで、ギャンブルをする回数が増えました。
その頃に競艇を題材にした漫画を読み、競艇を毎日のように行うようになりました。
当然自分の給与だけでは間に合わず、銀行・消費者金融・闇金、両親や姉、会社の同僚にまでお金を借りるようになり、常に頭の中には返済とギャンブルだけがありました。
自分自身の行動にうんざりして絶望感が常に付きまとっている状況で自殺を考えたこともあります。
そんな状態でもギャンブルをしないと不安な感情に押しつぶされそうになり、最後は勝ち負け関係なくギャンブルをしたい気持ちになっていて、自分ではどうすることも出来ない。
誰も自分のことをわかってくれない。自分はこのまま一生絶望の中で生きていくのかと思っていました。
サッカーギャンブルにおける世界の破産事例
ブックメーカーに関わる世界的なギャンブル依存症事例(報道)を見ていくと、中国では2014年のW杯中のサッカーギャンブルによる借金を理由に4人が自殺しています。
サッカーギャンブルが盛んなベトナムでも、2012年の欧州選手権で約5000万円の損失を出し、家や自分の店を失って無一文となりながら、サッカーギャンブルにお金をつぎ込むのをやめられない人の報道も出ました。
スマートフォンの普及にともないサッカーギャンブルも若年層に浸透し、簡単に利用できるアプリでギャンブルに手を出した若者が、莫大な借金を抱えてしまう事例が後を絶たず、社会問題となっています。
ブックメーカーの日本市場への進出に伴い、我が国でもこのような事例が出てくる可能性は否定できません。
スポーツギャンブルで身を滅ぼした有名人
次にスポーツ選手にも依存症事例が多く存在します。
マシュー・エザリントン……イングランド出身の元サッカー選手。ドッグレースや競馬などで約2億8000万円を失った。
ポール・マーソン……イングランド出身の元サッカー選手。サッカー1試合に約560万円を賭けるほどギャンブルにのめり込んだ。
琴光喜……元力士。現役中、野球賭博問題で解雇された。賭博をめぐり恐喝を受けていたことも判明している。
笠原将生……元野球選手。野球賭博を行い解雇された。同僚選手を引き入れており、賭博を主催する胴元側の立場と認定された。
このように、ギャンブル依存は当事者の経済力に問わず誰にでも起こりうる問題だということを認識しましょう。
ブックメーカー各社のギャンブル依存症対策への取り組み
ブックメーカー各社もユーザー保護(Responsible Gambling:責任あるギャンブル)の観点のもと、様々なギャンブル依存症対策への取り組みを強化しています。
WilliamHillやSportsbet.io、bet365では、
- 入金制限
- 利用可能時間帯の設定(タイムアウト機能)
- 最長6ヶ月のタイムアウト(一時停止)
- アカウント閉鎖
など様々な機能を利用できます。少しでも自分自身に依存症の疑いがある場合は、カスタマーセンターなどに相談するか、支援団体の支援を受けることを強くオススメいたします。
スポーツギャンブルをより安全に楽しむために
スポーツギャンブルを趣味として長く楽しむためにも、自分でルールを決めてギャンブル依存症を予防していきましょう。
当サイト「ブクサカ」が掲げるスポーツベッティングを長く楽しむ3ヶ条がこちら。
- 娯楽(スポーツ観戦の一環)の範囲で楽しむ
- 予算の限度額を決める
- ギャンブルを隠さない、嘘をつかない
スポーツ観戦の一環として楽しむ!
スポーツギャンブルで勝つことを目的とせず、スポーツ観戦を純粋に楽しむ目的で利用すること!
ギャンブルの勝ち負けにとらわれず、ひいきの選手やチームを応援する気持ちで賭けると楽しさは倍増します。試合を見ながら仲間と盛り上がるのも面白いですよ。
予算の限度額を決める!
賭け金額は余裕のある範囲内にとどめること。日常生活に支障が出る金額を使ってしまい、一度借金をしてしまうとずるずると依存に陥る危険性が高いです。
負けた金額を取り返そうとしない。限度を超えて賭けをしない。
ギャンブルを隠さない、嘘をつかない
「勝っても負けても、隠さず笑顔で」。自分がスポーツギャンブルをしていることを家族や友人に隠さない。嘘をつかない!
スポーツギャンブルを「やましいもの」にしない。遊ぶときは堂々と遊ぶこと。ギャンブルで家族や友人を傷つけない!
ギャンブル依存症かな?と思ったら迷わず相談を
ギャンブル依存症は気合や根性など心の力で治せるものではありません。ギャンブル依存症を完治させる薬や治療法はなく、回復には地道な取り組みと長い時間が必要です。
もしもあなたが、「自分はギャンブル依存症かもしれない」と少しでも感じられたなら、この機会に一度医療機関を受診されることをお勧めします。
ドクターはいくつかの質問ののち、あなたにとって明確な答えを出してくれる筈です。あなたが末永くスポーツギャンブルを楽しめるよう、心よりお祈りいたします。
奥井 隆(監修者)
https://fp-osaka.com/
作家、ファイナンシャルプランナー(AFP)、エコショップ経営者
2004年から依存症ギャンブラーの支援活動を開始し、2014年10月4日に、市民団体ギャンブル依存症克服支援サイトSAGSを創設して代表に就任。幅広く、依存者とその家族を支援している。
ギャンブル依存症に対しては、依存者本人が自ら問題を解決する方法を考案・推奨し、近年は主にフィンテックを利用した金銭管理を提唱している。
相談件数 2,500件以上 相談者数 7,500人以上 支援組織参加人数(通算):およそ7,300人(2018年3月時点)
著書「ギャンブル依存症克服への道」「少年と二人の神」「朝の告白」「キューピッドのリスト」をKindleより出版