カタールワールドカップ2022 日本代表の展望|GL3試合の見どころ・放送予定 | ブクサカ

カタールワールドカップ2022 日本代表の展望|GL3試合の見どころ・放送予定【元川悦子】

ワールドカップ

カタールワールドカップ2022は日本時間11月21日(月)に開幕。12月19日(月)の決勝戦まで約1ヶ月間に渡って戦いが繰り広げられます。

98年フランスから7大会連続W杯出場を果たしている日本代表は11月23日に初戦・ドイツ戦を皮切りに3試合を戦います。日本代表の展望を代表取材でおなじみ、元川悦子さんに占っていただきました。

元川悦子

1967年、長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォロー。日本代表は練習から通っており、アウェイにもほぼ毎試合、足を運んでいる。ワールドカップは94年アメリカ大会から8回連続で現地取材。著書に「U-22」(小学館)、「黄金世代」(スキージャーナル社)、「僕らがサッカーボーイズだった頃1~4」(カンゼン)、「勝利の街に響け凱歌―松本山雅という奇跡のクラブ」(汐文社)ほか。

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カタールワールドカップ2022 日本代表の試合日程と放送予定

森保監督率いる日本代表のカタールワールドカップ本大会での試合スケジュールがこちら。いずれも日本時間での日程、放送予定です。

日時 対戦国 放送予定
11月23日(水)
22:00
ドイツ NHK総合
abema TV
11月27日(日)
19:00
コスタリカ テレビ朝日
abema TV
12月2日(木)
AM4:00
スペイン フジテレビ
abema TV

ドイツ、スペインという優勝経験国2ヶ国、前々回大会ベスト8のコスタリカという日本が出場したワールドカップで過去最も厳しい組み合わせです。しかも現地時間で中3日の3連戦。

今回対戦する3ヶ国とのA代表における対戦成績は3勝2分2敗。3勝すべてコスタリカへの勝利ですが、スペイン、ドイツとの戦績は過去1分2敗で引き分け経験はある。

日本戦は全試合、地上波で放送され、ネット配信ではabemaTVで無料配信されます。

ワールドカップは過去6月~7月の開催でしたが、今大会は11月~12月というイレギュラー開催ため、いままでのような大会1ヶ月前からの合宿も組めません。

11月1日に26名のメンバー発表、11月17日(木)にカナダとの強化試合があって、そのままカタールでの第1戦を迎えるというハードスケジュールです。事前準備期間が少ないのは懸念材料ですが、それは相手も同じ。

メンバーは過去最強、監督は過去最悪とも称されるほど森保監督の支持率は低い。日本人監督というだけで異常に叩かれやすい立場ではありますが、個人的には今まで無責任に批判してきた人たちを全員一人残らず黙らせて欲しいと思っています。

強豪国には強豪国なりの不安要素もある訳で、低い下馬評もろとも対戦相手を粉砕し、短期決戦を一気に駆け抜けてほしいところです。

 

ブックメーカー発表の日本代表・優勝オッズは251.00倍、グループリーグ敗退が濃厚

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カタールワールドカップ2022 の日本代表の前評判はどうなのか?海外ブックメーカー・WilliamHILL社が発表している「日本代表の敗退ステージオッズ」は以下の通りです。

WilliamHill(ウィリアムヒル)のロゴ

※オッズは賭け金に対する払い戻し金額の倍率を示した数字で、数字が低いところほど実現可能性が高く、数字が高いところほど「大穴」です。

GL敗退 1.17倍
 ベスト16敗退 5.50倍
 ベスト8敗退 15.00倍
 ベスト4敗退 34.00倍
 準優勝 101.00倍
 優勝 251.00倍

※ 2022年11月16日時点でのウィリアムヒル発表オッズを引用 

最も実現可能性が高い日本の成績はグループリーグ敗退。一方、日本が所属するグループEの予選通過オッズがこちら。

スペイン 1.11倍
 ドイツ 1.14倍
 日本 4.33倍
 コスタリカ 7.50倍

※ 2022年11月16日時点でのWilliamHILL社発表オッズを引用

過去には2002年日韓、2010年南アフリカ、2018年ロシアとグループリーグを3度突破しており、今回は史上初のベスト8入りを目指していますが、WilliamHILL(ウィリアムヒル)社が発表している「日本代表の敗退ステージオッズグループEの予選通過オッズ」によれば、

  • グループリーグ敗退オッズ:1.17倍
  • 決勝トーナメント進出オッズ:4.33倍

ということで、「順当に行けば3試合で姿を消す」という見方が根強いようです。

 

国際経験値は過去最高?戦力充実の日本代表

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確かにアジア最終予選でオマーン、サウジアラビアに敗れ、崖っぷちに立たされたのを見れば、今の日本代表にドイツ・スペインの両強豪を倒す力はないのかもしれません。

しかしながら、今回のメンバー26人は欧州組が19人。

▼GK
1 川島永嗣(ストラスブール)
12 権田修一(清水)
23 シュミット・ダニエル(シントトロイデン)

▼DF
5 長友佑都(FC東京)
22 吉田麻也(シャルケ)
19 酒井宏樹(浦和)
3 谷口彰悟(川崎F)
2 山根視来(川崎F)
4 板倉滉(ボルシアMG)
16 冨安健洋(アーセナル)
26 伊藤洋輝(シュツットガルト)

▼MF/FW
7 柴崎岳(レガネス)
6 遠藤航(シュツットガルト)
14 伊東純也(スタッド・ランス)
18 浅野拓磨(ボーフム)
10 南野拓実(モナコ)
13 守田英正(スポルティング)
15 鎌田大地(フランクフルト)
24 相馬勇紀(名古屋)
9 三笘薫(ブライトン)
25 前田大然(セルティック)
8 堂安律(フライブルク)
21 上田綺世(セルクル・ブルージュ)
17 田中碧(デュッセルドルフ)
11 久保建英(ソシエダ)
20 町野修斗(湘南)

イングランド・プレミアリーグで活躍する三笘薫(ブライトン)や冨安健洋(アーセナル)ら成長著しい若手が多く、国内組も長友佑都(FC東京)、権田修一(清水)ら欧州経験のある選手がいて、国際経験値はこれまでの中で最も高いと言えるでしょう。

森保一監督も「W杯経験のない選手たちが成功したいという野心を持って戦ってくれると信じて選考した」とコメントした通り、自身が育て上げてきた東京五輪世代のブレイクに命運を託したと言って良いでしょう。

特にカギを握ると見られる三笘、久保建英(レアル・ソシエダ)、前田大然(セルティック)のアタッカー陣には世界を驚かす結果が期待されます。

 

ドイツで絶好調、鎌田大地に要注目

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今回の日本には、それ以外にも欧州で実績を残す面々がいます。

その筆頭が公式戦12ゴール・3アシストと脅威の数字を残す鎌田大地(フランクフルト)です。彼の得点力を生かすべく、指揮官はデュッセルドルフで戦った9月2連戦から4−3−3から4−2−3−1へ布陣を変更。実際に鎌田がアメリカ戦でゴールを奪いました。

「点が入る時は入る。サッカー選手にはそういうシーズンもある。取れるうちにいっぱい取りたい」

と話す本人はまさに絶好調。初戦の相手・ドイツを知り尽くす男の一発が出れば下剋上が起きるかもしれません。

 

日本代表を牽引する伊東純也

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得点源としてもう1人期待されるのが、最終予選全12得点中4得点・2アシスト・1PK奪取とフル回転した右の快足FW伊東純也(スタッド・ランス)です。

今夏赴いた新天地・フランスでもすでに4ゴールを奪っています。この男のタテの推進力は強豪相手でもそうそう止められません。右サイドをグイグイ引っ張ってくれれば、ゴール前が空くかもしれないし、自身の得点チャンスも生まれます。日本を勝たせる得点を彼には強く求めたいところです。

 

遠藤航、守田らの中盤、最終ラインにも注目選手多数

ボランチはシュツットガルトで主将を務める遠藤航を軸に、今季UEFAチャンピオンズリーグ(CL)で実績を積み上げる守田英正(スポルティング・リスボン)田中碧(デュッセルドルフ)が絡む形です。

彼らの連携と連動性、攻守両面のハードワークは日本の生命線と言って良いでしょう。遠藤が本大会直前に脳震盪を起こし、状態が不安視されますが、タフな男は4年前のW杯でピッチに立てなかった悔しさを糧に必ず大仕事をしてくれるはずです。

その背後に陣取るのが、W杯経験豊富な酒井宏樹(浦和)吉田麻也(シャルケ)長友といった面々です。彼らはやや衰えが懸念されるものの、ここ一番では自身のタスクを果たせる人間ばかり。

そこに若手の冨安や板倉滉(ボルシアMG)、伊藤洋輝(シュツットガルト)らが入って厚みをもたらす格好です。9月のひざ負傷で2カ月離脱した板倉が間に合ったのは朗報。9月に背中を痛めた権田の復帰含め、守備陣の人材が揃ったのは明るい要素と見て良いでしょう。

ベテランと若手が融合したフレッシュな陣容で挑む日本ですが、とにかく前線のフレッシュなアタッカー陣が目に見える結果を残してくれなければ何も始まりません。

ドイツ、スペインを窮地に追い込み、勝点3を奪うことができれば、悲願の8強に大きく近づきます。そのためにまずは、初戦で最高の入りをすることが肝心です。

 

初戦・ドイツ戦

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ワールドカップ4度優勝の超大国と初戦を戦います。WilliamHILL社発表の90分勝敗オッズ(11月16日時点)がこちら。

  • ドイツ:1.50倍
  • ドロー:4.200倍
  • 日本:6.50倍

「W杯は初戦がすべて」と言われるくらい重要度が高いのが、23日のドイツ戦です。「ここで勝点を取らないと後が厳しくなる」と多くの選手や関係者が口を揃えるほど、日本は全力で勝ちにいかなければならないのです。

過去2度の対戦は1分1敗。ドローだったのは2006年ドイツW杯直前のテストマッチ。高原直泰(沖縄SV代表)の2ゴールで勝利寸前まで行きながら、勝ち切れませんでした。

ドイツ戦の過去戦績
 2004年12月 ● 0-3(H)
 2006年5月 △ 2-2(A)

あれから16年が経過し、日本選手の国際経験値は間違いなく上がっています。

しかし、バイエルン・ミュンヘンやチェルシーなどCL上位常連クラブでプレーする選手がズラリと並ぶドイツが格上なのは間違いなく、ウィリアムヒル発表の90分勝利オッズがドイツ1.50倍、日本6.50倍となっているのもやむを得ないでしょう。

日本に秘策があるとすれば、組織的かつ連動性の高いハイプレスで相手の自由を奪って、先制点を奪うこと。そして相手を焦らせる展開に持ち込むことです。

9月のアメリカ戦ではその想定で戦い、全員がハードワークを見せて勝利しました。鎌田という得点源も異彩を放っているだけに、彼の決定機をどれだけつくれるかがカギになりそうです。

ドイツの要注意ポイントは数多くありますが、特に大事なのが、

  • トップ下・ミュラー(バイエルン)
  • キミッヒ(同)
  • ギュンドアン(マンチェスター・C)

の中盤トライアングル。彼らを自由にしたら圧倒され、守備を粉砕されてしまいます。

遠藤・守田には負担がかかると思いますが、相手が嫌がる粘り強い守備をして、可能な限り、相手をゼロに抑え、サプライズを演出してほしいものです。

 

第2戦:コスタリカ戦

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GKナバスのイメージが強いコスタリカ。WilliamHILL社発表の90分勝敗オッズがこちら(11月16日時点)。

  • 日本:1.80倍
  • ドロー:3.30倍
  • コスタリカ:5.00倍

初戦の結果次第ではありますが、日本としては絶対勝利が必要なのが11月27日のコスタリカ戦です。ウィリアムヒル発表の試合オッズでは日本が優勢。

過去の対戦成績は1995年の初対戦以降、日本の3勝1分(10得点2失点)と圧勝。しかも過去対戦した5試合中4試合は3得点をマークしており、親善試合だけとはいえコスタリカとの相性は良さそうです。

コスタリカ戦の過去戦績
1995年8月 ○ 3-0(H)
 2002年4月 △ 1-1 (H)
 2014年1月 ○ 3-1 (N)
 2018年9月 ○ 3-0(H)

思い起こせば2018年9月の森保ジャパン初陣も同国が相手で、そのときも2−0で勝利しています。ホームでの親善試合ということで参考にはなりませんが、相性の良い相手というのは朗報と言えます。

とはいえ、日本にとってコスタリカは決して与しやすい相手ではありません。徹底した堅守を前面に押し出すチームだからです。

6月のニュージーランド(NZ)とのプレーオフを見ても、彼らは強固な守備ブロックを敷き、早い時間帯に先制すると、後半は5バックにして虎の子の1点を守り切っていました。日本にしてみれば支配率は上がると思われますが、攻めあぐねる最終予選のような展開を強いられる可能性が大なのです。

そういった相手にはセットプレーの攻撃が有効でしょう。久保の左足、鎌田の右足には大きな期待がかかります。2010年南ア大会・デンマーク戦の本田圭佑・遠藤保仁の再現を見せてほしいところです。

相手のキーマンは18歳の左アタッカー・ベネット(サンダーランド)。

NZ戦も彼のドリブル突破からのマイナスクロスがゴールにつながっていました。右SBの酒井宏樹は絶対にスキをつくってはいけません。まずは失点を抑え、確実にゴールを奪う展開に持ち込みたいところです。

 

第3戦:スペイン戦

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GKナバスのイメージが強いコスタリカ。WilliamHILL社発表の90分勝敗オッズがこちら(11月16日時点)。

  • 日本:9.00倍
  • ドロー:4.20倍
  • スペイン:1.40倍

A代表における過去の対戦成績はトルシエ監督時代のアウェイ1試合のみ。

スペイン戦の過去戦績
2001年4月 ● 0-1(A)

グループEの予選通過オッズは1.11倍とドイツの1.14倍を上回ってトップに立っているスペイン。伝統のショートパスサッカー「ティキ・タカ」をベースにタテの速い攻めも併用する彼らは世界的評価が極めて高いチームです。

とりわけ、際立っているのがボール支配率の圧倒的な高さです。9月のUEFAネーションズリーグを見ても、

  • スイス戦で75%
  • ポルトガル戦で68%

という数字を残しています。

売出し中のペドリ・ガビ・ブスケッツのバルセロナ中盤トリオの高度な技術と創造性を出させてしまうと、日本は太刀打ちできません。ドイツ戦同様に中盤で相手の強みを封じることが先決です。

それができれば、スペインの得点力も低下します。前述の支配したスイス戦を落としているように、今の彼らは絶対的得点源がいません。

日本としてはゴールを与えない展開に持っていくことができれば、何かが起こりそうです。またも遠藤や守田はタフな役割が強いられますが、ある意味、彼らがどこまで持つかが今大会の成否を左右すると言えるでしょう。

スペインが2戦で突破を決めていれば、主力を温存する可能性も高いでしょう。そうなれば日本にとっては勝利の確率が上がるので、そうなってくれれば理想的です。

2021年夏の東京五輪でスペインとガチンコ勝負をした経験は日本にとって大きいでしょう。

「五輪の時は結構、低いブロックを敷いてたので、ボールを取ってもなかなかカウンターを仕掛けられなかった。ブロックの位置をもう少し前にしてボールを取れたらカウンターが効くと思う。個人個人の武器も警戒しなければいけないし、そういうところをひとつひとつ勝てるんじゃないと思います」

と生き証人の1人である相馬勇紀(名古屋)も強調していました。1年前のリベンジをぜひとも期待したいと思います。

 

決勝トーナメントに進出した場合の組み合わせ

日本が(もし!)グループリーグを突破して決勝トーナメントに進出した場合の決勝トーナメント1回戦の試合日程がこちらです。

お隣のF組の上位2ヶ国と対戦予定ですが、そのF組の顔ぶれというのがこちらの面々。

  • ベルギー
  • カナダ
  • モロッコ
  • クロアチア

日本が2位通過した場合は、グループFの1位と対戦予定。その相手はベルギーが最右翼。4年前の「ロストフの悲劇」のリベンジを果たすチャンスを得ることになります。

「最後の14秒で負けた悔しさは夢にも出てくるほど。脳裏に浮かび上がる光景。あれがあったから4年間頑張れた。あの借りはW杯の舞台でしか返せない」

と長友も語気を強めていましたが、ベルギーに勝ってこそ、日本サッカー界は大きく前進できると言っても過言ではありません。ここでの再戦の実現を願っています。

それ以外のカナダ、モロッコ、クロアチアというのも難敵です。カナダとも11月17日の対戦で1-2で敗戦しています。

ロシアW杯準優勝のクロアチアの強さも折り紙付きですから、日本はすべてにおいてチャレンジャーとして挑むしかないと言えるでしょう。

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