カタールワールドカップ2022・日本代表はグループリーグ第2戦でコスタリカと対戦します。日本時間11月27日(日)夜19時キックオフ、試合はテレビ朝日系列、abemaTVで完全生中継です。
ゴールデンタイムキックオフで日本中の注目を集めるであろうこの1戦をサッカーライターでお馴染み、清水英斗さんに居酒屋サッカートーク風に語っていただきました。
ブックメーカーでの美味しいオッズを探している方も、純粋に試合展望を楽しみにしている方も、ぜひこの記事でコスタリカ戦を予習して本番の試合を楽しみましょう!
カタールワールドカップ2022 注目の第2戦!日本×コスタリカ
スペイン、ドイツという2つの強豪と同じ組に入った日本代表にとって、第2戦のコスタリカは間違いなく、勝たなければならない相手です。と言うと、
- コスタリカを甘くみるな!
- 相手は2014年にベスト8に輝いた先輩格だぞ!
といった声が聞こえてきそうですが、実際のところ、グループステージ突破における勝点のボーダーラインは「4」です。4を取って、フィフティ・フィフティ。3引き分けでは勝点4に届かないので、いずれかの相手には勝つ必要があるわけです。
いずれかの相手……ドイツ?スペイン?
まずはコスタリカでしょう。
甘く見るとか見ないではなく、計算上、コスタリカから勝点3を取れなければ、日本は限りなく敗退に近づいてしまう。つまり、勝ちを前提に考えるしかありません。
実際、中立的には両チームの力関係はどう評価されているのでしょうか。海外ブックメーカー発表のオッズを参考にしてみましょう。
- 日本:1.75倍
- ドロー:3.40倍
- コスタリカ:5.00倍
※ 2022年11月17日時点でのウィリアムヒル発表オッズ(日本×コスタリカ)から引用
前のめりになっておいてアレですが、正直、このオッズは驚きました。思った以上に差があります。また、グループステージ突破のオッズも、以下のようになっています。
スペイン | 1.11倍 |
ドイツ | 1.14倍 |
日本 | 4.33倍 |
コスタリカ | 7.50倍 |
※ 2022年11月17日時点でのWilliamHILL社発表オッズを引用
スペイン、ドイツの順当ぶりはともかく、日本が3番手という評価は揺るぎないようです。こんなに差があるのだろうか?と思わなくもないですが、コスタリカは今年6月の大陸間プレーオフでニュージーランドに勝って出場を決めた、32番目の出場国です。
欧州クラブで活躍する選手も日本のほうが圧倒的に多く、FIFAランキング(2022年11月時点)を見ても、日本の24位に対して31位。さらに2018年に森保ジャパンが発足し、最初の親善試合でコスタリカに3-0と圧勝していることも、意識されたかもしれません。
コスタリカ戦の過去戦績 |
|
2018年9月 | ○ 3-0(H) |
2014年6月 | ● 1-3(A) |
2002年4月 | △ 1-1(H) |
1995年8月 | ○ 3-0(H) |
対戦成績記載ページ:https://www.transfermarkt.jp/
(対象カードをクリックし詳細ページに行くと対戦成績を確認できます)
ドイツ代表のハンジ・フリック監督は、グループリーグの3つの対戦相手について、『FIFA.com』のインタビューで次のように話しています。
スペインはワールドクラスの選手が揃っているので、最も手強い相手だ。非常に変化に富んだサッカーをし、毎試合新たなゲームプランを用意している。彼らがどう取り組んでいるのかを見て、我々はいくつかのことを確認しなければならない。
日本の選手は非常にアスレチックでスピードがあり、足元のスキルに自信を持っている。相手の思う通りにさせないように、しっかりと守ることが重要となる。初戦の相手なので、ある種の基準となる。前向きに取り組んでいきたい。
コスタリカは素晴らしいサッカーができるチームだ。あまり知られてないチームだが、我々を困難に陥れようとしてくるチームだ。
コスタリカだけ、雑!?
特徴語りがゼロです。「お前らコスタリカのこと言ってもわかんねえだろ」とフリック監督が気を利かせたのかもしれませんが、オッズといい、コメントといい、注目されていない感はありありです。
しかし、冒頭で「勝たなければならない相手」と煽っておいてナンですが、ここまでコスタリカの下馬評が低いと、逆に不気味です。
日本代表メンバー(7大会連続7回目)
FIFAランク24位、今大会での優勝オッズは韓国、カメルーン、カタールと並んで24位タイとなる251.00倍です。日本代表として目標に掲げられているのはベスト8進出。そこに向けて強豪揃いのグループステージを戦うことになります。
前述の通り日本のグループステージ突破オッズは4.33倍で、グループ内では3番手の評価となっています。ドイツ、スペインが同居するこのグループにおいて、コスタリカとの一戦は落とせないものとなります。
今大会の日本代表メンバー26名がこちら。
▼GK
1 川島永嗣(ストラスブール)
12 権田修一(清水)
23 シュミット・ダニエル(シントトロイデン)
▼DF
5 長友佑都(FC東京)
22 吉田麻也(シャルケ)
19 酒井宏樹(浦和)
3 谷口彰悟(川崎F)
2 山根視来(川崎F)
4 板倉滉(ボルシアMG)
16 冨安健洋(アーセナル)
26 伊藤洋輝(シュツットガルト)
▼MF/FW
7 柴崎岳(レガネス)
6 遠藤航(シュツットガルト)
14 伊東純也(スタッド・ランス)
18 浅野拓磨(ボーフム)
10 南野拓実(モナコ)
13 守田英正(スポルティング)
15 鎌田大地(フランクフルト)
24 相馬勇紀(名古屋)
9 三笘薫(ブライトン)
25 前田大然(セルティック)
8 堂安律(フライブルク)
21 上田綺世(セルクル・ブルージュ)
17 田中碧(デュッセルドルフ)
11 久保建英(ソシエダ)
20 町野修斗(湘南)
コスタリカ代表メンバー(3大会連続6回目)
FIFAランク31位、今大会での優勝オッズはサウジアラビア、イランと並んで30位タイの501.00倍となっており、これは一番評価の低いオッズとなっています。コスタリカのグループステージ突破オッズは7.50倍で、グループ内でも最低評価となっています。
コスタリカはGKケイロル・ナバスを中心とした堅守で知られるチーム。北中米カリブ海・ワールドカップ最終予選も、14試合で8失点に抑えていますし、ニュージーランドとのプレーオフも序盤に速攻で取った1点を最後まで守り切って出場権を得ました。
その守備力で評価を覆すことができるかが注目されます。
▼GK
ケイラー・ナバス(パリSG)
エステバン・アルバラード(エレディアーノ)
パトリック・セケイラ(ルーゴ)
▼DF
フランシスコ・カルボ(コンヤスポル)
ファン・パブロ・バルガス(ミジョナリオス)
ケンダル・ワストン(サプリサ)
オスカル・ドゥアルテ(アルワフダ)
ダニエル・チャコン(コロラド・ラピッズ)
ケイシェル・フラー(エレディアノ)
カルロス・マルティネス(サン・カルロス)
ブライアン・オビエド(レアル・ソルトレーク)
ロナルド・マタリータ(シンシナティ)
▼MF
イェルツィン・テヘダ(エレディアノ)
セルソ・ボルヘス(アラフエレンセ)
ユースティン・サラス(サプリサ)
ロアン・ウィルソン(グレシア)
ジェルソン・トーレス(エレディアノ)
ドウグラス・ロペス(エレディアノ)
ジェウィソン・ベネット(サンダーランド)
ザルバロ・ザモラ(サプリサ)
アンソニー・エルナンデス(プンタレナス)
ブランドン・アギレラ(ノッティンガム・フォレスト)
ブライアン・ルイス(アラフエレンセ)
▼FW
ジョエル・キャンベル(レオン)
アンソニー・コントレラス(エレディアノ)
ヨハン・ベネガス(アラフエレンセ)
堅守誇るコスタリカ戦のキーマンはサイドのアタッカー陣
堅守が持ち味のコスタリカに対し、「勝点3が絶対!」の姿勢で臨むのは、なかなか難しい面もあります。勝ちに焦ってバランスを崩せば、日本がカウンターを食らって足元をすくわれる可能性も十分。あるいは、結局崩し切れずにスコアレスドロー、といった展開も容易に想像できてしまいます。
そこを打破し、日本に勝点3をもたらすキープレーヤーになるのは
- 三笘薫
- 鎌田大地
- 久保建英
- 上田綺世
でしょう。
コスタリカは4-4-2を敷き、中央をかなり固めるチームです。日本はサイド攻撃がキーポイントになるはず。ただし、伊東純也は初戦のドイツ戦で、かなり守備とカウンターに走り回り、疲弊することが予想されます。
となれば、右サイドはターンオーバーして堂安律を起用し、酒井宏樹と共に東京五輪で見せた連係を披露する一方、左サイドは三笘が個で突破する。
左サイドは1人で、右サイドは2人かけて。両サイドを共に上げるのではなく、アシンメトリー(非対称)で人数をかけることで、ポゼッションのバランスを保つ。これはセオリーの一つです。
おそらく日本が両サイドを破るシーンは、多く出るのではないでしょうか。
中央を固める相手に有効なミドル砲もポイントに
しかし、大きな問題はその後です。
コスタリカはサイドを破られても、センターバックやボランチがうかつにサイドへ出て行きません。割り切ってボックス内に入り、徹底的にゴール前を固めます。いわゆる「バスを置く」という守り方ですが、このやり方についてコスタリカは熟練しているので、単純な折り返しで得点するのは難しいでしょう。
そこで期待したいのは、ミドルシュートです。ゴール前を固められたら、その手前のスペース、ペナルティーアーク付近へ折り返して、外から射抜く。親善試合の韓国戦ではファン・ヒチャンがまさにその形でミドルシュートを決め、コスタリカからゴールを奪っています。
そのシュート力において、日本では上記で名を挙げた鎌田、久保、上田が有望。あるいは、その後方から田中碧砲、柴崎岳砲もあり得るかもしれません。
柴崎はメンバー入りについて様々に言われましたが、何気に大舞台に強い選手です。前回のロシアW杯、あるいは鹿島で出場した2016年のクラブW杯のレアル・マドリード戦など、世界の大舞台ではことごとく結果を残してきました。今回も一発、火を吹く可能性はあると考えられます。
コスタリカはポゼッションが得意なチームではないので、上記の通り、基本的には日本がボールを持ち、コスタリカが守備ブロックを組む構図になると思われます。
いかにバランスを保って攻められるか。ドイツ戦、スペイン戦とは全く違う展開が予想されます。森保監督は事前に、第2戦でターンオーバーする可能性を示唆していますが、実際に対戦相手の特徴はまったく違うので、日本が大胆に選手を入れ替えるのは理にかなっています。
特にフレッシュな状態が予想される三笘、上田の2人には要注目です。
技巧派キャンベルとスピードスターのベネットは要警戒
一方、コスタリカのキープレーヤーには、FWジョエル・キャンベルと、MFジェウィソン・ベネットを挙げておきます。
キャンベルはかつてアーセナルにも所属した左利きのテクニシャン。あまり一つのクラブに定着できず、流浪のキャリアを送った後、30歳になった今はメキシコでプレーしています。働き者だらけのコスタリカの中では、やや守備はサボリ気味ですが、その分、攻撃フェーズでは絶対の起点です。しなやかなボールキープと、ゴール前の決定力を誇ります。
とはいえ、そのキャンベルも、冨安健洋や板倉滉、吉田麻也にとっては然程の脅威にはならないはず。彼らが普段クラブで戦っているFWは、より強烈ですから。
個人的には18歳の新鋭サイドMFベネットの存在がより気になります。
とにかく足が速い。親善試合の韓国戦では2ゴールを挙げ、勢いに乗っています。
コスタリカがボールを奪った際、最も出足良くカウンターへ飛び出して行くのが、このベネットでもあり、日本にとっては最大級の警戒が必要な選手です。
先ほどコスタリカ戦は伊東をターンオーバーし、右サイドは堂安と酒井のコンビで仕掛けるのが良いとは言いましたが、そこで酒井が空けたスペースへ、ロケットのようにベネットが飛び出して来る展開は恐ろしい。
ボランチがリスクマネジメントするか、酒井が自重するか。日本は勝点3が必要な中でも、手は打っておくべきでしょう。
海外ブックメーカー/WilliamHILL社発表の注目オッズ
日本としては絶対に勝ちたい。だけど、コスタリカの特徴を考えるとカウンターも怖い。でもウダウダ言って、バランス意識に傾きすぎれば、0-0を動かせない。思い切って攻められるか。
サイド攻撃と、その際の攻撃のバランスは、コスタリカ戦のキーワードです。
ドローの可能性も予想できるかみ合わせではありますが、この第2戦で勝点3が欲しいのはコスタリカも同じです。初戦でスペインから勝点3を取っていれば話は別ですが、おそらくそれはないでしょう。
引き分けそうな展開なら、終盤にかけては日本もコスタリカも、互いにリスクを冒して殴り合いに出るはず。引き分けて勝点1を分け合えば、ドイツとスペインが楽になるだけですから。
ウィリアムヒルのスコア予想オッズでは、
- 1-0での日本勝利が6.00倍
- 1-1のドローが6.50倍
となっており、可能性が高いと見られていますが、上記の心理も踏まえると、この試合はどちらかが勝点3を取る可能性が高いと個人的には読みます。
- 両チーム得点ありが2.20倍
- 両チーム得点なし1.61倍
ブックメーカーが上記のようなスコアレスドローを予想するオッズ以上に、両チームが得点を狙いにいく試合になるのではないでしょうか。