カタールワールドカップ2022は日本時間11月21日(月)に開幕。12月19日(月)の決勝戦まで約1ヶ月間に渡って戦いが繰り広げられます。
日本が大逆転負けを喫してベスト16敗退となった因縁の相手、ベルギー代表の今大会を河治良幸さんに占っていただきました。
カタールワールドカップ2022 ベルギー代表の試合日程と放送予定
ベルギー代表のカタールワールドカップ本大会での試合スケジュールがこちら。いずれも日本時間での日程、放送予定です。
日時 | 対戦国 | 放送予定 |
11月23日(水) 4:00 |
カナダ | abema TV |
11月27日(日) 22:00 |
モロッコ | テレビ朝日 abema TV |
12月1日(木) 0:00 |
クロアチア | NHK総合 abema TV |
ブックメーカー発表オッズの優勝オッズは17.00倍
海外ブックメーカー・bet365が発表している「ベルギー代表の敗退ステージオッズ」は以下の通りです。
GL敗退 | 5.00倍 |
ベスト16敗退 | 2.37倍 |
ベスト8敗退 | 4.33倍 |
ベスト4敗退 | 7.00倍 |
準優勝 | 13.00倍 |
優勝 | 17.00倍 |
※ 2022年11月16日時点でのbet365発表オッズを引用
今度は同じくイギリスブックメーカー大手、WilliamHILL社が発表しているベルギーが所属するグループFの予選通過オッズがこちら。
ベルギー | 1.14倍 |
クロアチア | 1.50倍 |
モロッコ | 3.00倍 |
カナダ | 3.75倍 |
※ 2022年11月16日時点でのWilliamHILL社発表オッズを引用
グループFではカナダ、モロッコ、クロアチアと対戦しますが、突破のオッズは1.14倍とかなり高めです。前回準優勝のクロアチアも1.50倍で、いわゆる”二強”がカナダとモロッコを上回る可能性がかなり高いと見られているようです。
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主力の高齢化が気になるも、才能ある若手も続々と台頭
2014年はベスト8、2018年は3位と成績を上げてきているベルギー。これまで8ヶ国がW杯で優勝していますが、ベルギーが9ヶ国目になるという期待は高まっています。
ただ、bet365における優勝オッズは17.00倍とやや高めであるのは司令塔ケヴィン・デ・ブライネ(マンチェスター・C)などの主力が軒並み高齢化し、その割に若手の突き上げがあまり無いからかもしれません。
スペイン人のロベルト・マルティネス監督が2016年から率いるベルギーはデ・ブライネをはじめ
- ティボー・クルトワ(レアル・マドリード)
- ヤン・ヴェルトンゲン(アンデルレヒト)
- トビー・アルデルヴァイレルト(アントワープ)
- トーマス・ムニエ(ドルトムント)
- アクセル・ヴィッツェル(アトレティコ・マドリード)
- エデン・アザール(レアル・マドリード)
- ロメル・ルカク(インテル)
といったタレントが、長らく主力を担っています。
前回のロシアW杯では彼らが20代の後半で大会を迎えた中で、当時21歳だったMFのユーリ・ティーレマンス(レスター)がブレイクして、中盤から非凡な展開力で3位躍進に貢献しました。
今大会は主力選手がそのまま4歳半年齢が上がる中で、超大型の右SBである19歳ゼノ・デパストが主力に定着しているぐらいです。ただ、26人のメンバーにも期待の若手はいます。そうした選手たちが大会中にブレイクするかどうかが、ベルギー躍進の鍵を握っていると言えます。
ディフェンスラインではセンターバックである22歳のアルトゥール・テアテ(スタッド・レンヌ)が期待の一人。24歳のヴァウト・ファネス(レスター・シティ)と切磋琢磨しながら、重鎮であるヴェルトンゲンやアルデルヴァイレルトを脅かすことができるか。
3-4-2-1のボランチがヴィッツェルとティーレマンス、2シャドーがデ・ブライネとエデン・アザールという前回大会の主力が、そのままファーストセットとして予想されます。ただ、21歳のアマドゥ・オナナ(エヴァートン)が台頭してきています。体力的な消耗が激しいと見られる中盤だけに、早い段階で出場チャンスがあるでしょう。
前線はエースストライカーのルカクが29歳で、まさしく選手キャリアのピークでカタールW杯を迎えていますが、直前に怪我をしており、十分な状態で大会に入れるのかは微妙なところです。ただ、優勝を目指すベルギーとしては12月18日のファイナルまで考えた時に、決勝ラウンドで状態が上がってくるぐらいで十分かもしれません。
ルカクと同じ29歳のジミー・バチュアイ(フェネルバフチェ)が2番手候補ですが、21歳の大型FWシャルル・デ・ケテラエル(ACミラン)がブレイク候補として期待されます。
シャドーのポジションでは20歳のジェレミー・ドク(レンヌ)や22歳のロイス・オベンダ(RCランス)がで・ブライネやエデン・アザールの控えだけでなく、勝負所での前線のシステムチェンジも含めて、攻撃の加速力を上げるオプションとして期待がかかります。
このように、26人のメンバーには若手もいるのですが、そこで満足していてはベルギーの新たな歴史を作っていくための力にはなれないので、突き上げが求められます。
初戦・カナダ戦
WilliamHILL社発表の90分勝敗オッズ、過去の対戦成績がこちら。
- ベルギー:1.44倍
- ドロー:4.33倍
- カナダ:7.50倍
カナダ戦の過去戦績 |
|
1989年6月 | ○ 2-0(A) |
初戦の相手は北中米カリブ海予選を首位突破したカナダです。
ウィリアムヒルによるとベルギーの勝利が1.44倍、カナダの勝利が7.50倍と大きく開いていますが、初戦の難しさを考えれば当然、油断は禁物です。
同じ3バックを基本とするチームの対戦になりますが、ジョン・ハードマン監督が率いるカナダは総力が高く、非常にアグレッシブなチームです。おそらく自分達から自陣に守備を固めてくることはないと予想しますが、ベルギーがボールを持つ側になることはほぼ間違いなく、そこから相手が5バック気味になったところから、デ・ブライネを起点にいかに崩すかが注目されます。
ただ、やはり危険なのはカナダのカウンターで、カナダ最大のスター選手であるアルフォンソ・デイヴィス(バイエルン・ミュンヘン)の突破力も危険です。バイエルンでは俊足の左サイドバックとしてブレイクしたデイヴィスですが、代表チームでは3-4-1-2のトップ下からほとんどの攻撃に絡んできます。
2トップのサイル・ラリン(クラブ・ブルージュ)とジョナサン・デイヴィッド(リール)もパワーとスピードをハイレベルに備えている危険なアタッカーです。
カナダ戦で大きなポイントになるのはやはりセットプレーかもしれません。
良い位置のFKではデ・ブライネやエデン・アザールが直接ゴールを狙うこともできますが、コーナーキックやワイドからのFKでは190cmのFWルカクはもちろん、大型のディフェンス陣に186cmのヴィッツェルなども加わります。
若手ボランチのオナナも192cmの長身を誇るので、彼が試合に出ているときはセットプレーのターゲットがさらに一枚加わることになります。
第2戦:モロッコ戦
WilliamHILL社発表の90分勝敗オッズ、過去の対戦成績がこちら。
- ベルギー:1.53倍
- ドロー:3.90倍
- モロッコ:6.50倍
モロッコ戦の過去戦績 |
|
1994年6月 | ○ 1-0(H) |
1999年9月 | ○ 4-0(H) |
2008年3月 | ● 1-4(H) |
2試合目のモロッコ戦はベルギーの勝利が1.53倍とカナダ戦より少し難易度が上がる予想オッズになっています。
モロッコはアフリカ屈指のタレント集団ですが、アフリカ予選を見事突破に導いたヴァヒド・ハリルホジッチ前監督がハキム・ツィエク(チェルシー)など複数の主力選手との不和を理由に、前回の日本代表に続いて解任されてしまいました。
元モロッコ代表のワリド・レクラギ監督が率いますが、チームの成熟度という意味ではベルギーに大きなアドバンテージがありそうです。
しかしながらモロッコも個人能力が高く、一発を持っているタレントが多いためトータルでベルギーが優勢でも、終わってみればモロッコが勝利という展開も起こり得ます。
やはりベルギーとしては得点を奪うためにアグレッシブな姿勢を見せながらも、少ないチャンスを得点に結び付けられないようにマネージメントして行く必要があります。ただ、そのあたり2試合目で、ヴェルトンゲンなどが良好な状態で荒れれば、しっかりと守備を統率するはず。世界最高峰のGKとして名高いクルトワも心強い存在です。
第3戦:クロアチア戦
WilliamHILL社発表の90分勝敗オッズ(11月16日時点)がこちら。通算対戦成績はベルギーの3勝3敗2分です。
- ベルギー:3.30倍
- ドロー:3.20倍
- クロアチア:2.25倍
クロアチア戦の過去戦績 (以下、直近4試合の戦績) |
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2010年3月 | ● 0-1(H) |
2012年9月 | △ 1-1(H) |
2013年10月 | ○ 2-1(A) |
2021年6月 | ○ 1-0(H) |
3試合目のクロアチア戦は昨年行われた欧州選手権でベルギーが1-0と勝利しており、ベストな状態で当たればベルギーにやや分があります。
ただし、1試合目と2試合目の結果も影響するため、現時点で予想しにくいです。仮に両者が2連勝で突破を決めていたとしても、決勝ラウンドを見据えた1位と2位を争う戦いとして大事な試合になります。
ただ、やはり両チームともにスタメンの大幅な入れ替えが予想されるので、若手を含むサブの選手たちが序列を上げる大きなチャンスとなります。
難しいのは1試合目か2試合目で勝ち点を落としていた場合です。そうなると100%突破を決めるにはマルチネス監督も、できるだけ経験豊富なベストメンバーを送り出したいところですが、そうなると決勝ラウンドに向けて体力の温存ができなくなります。
それまでの2試合で長い時間出た選手のコンディションを見極めながら、結果と先を見据えたマネージメントの両睨みで戦いを進めていくことになるかもしれません。
それはクロアチアも一緒ですが、大黒柱のルカ・モドリッチを除くと、おおよその選手がスタメン経験をしてきているので、ベルギーよりも経験値という意味では選手層にアドバンテージがあります。前回は準決勝でベルギーはフランスに敗れて、クロアチアはイングランドに勝利してファイナルに進んだので、直接対戦はしませんでした。
決勝トーナメントに進出した場合の組み合わせ
決勝トーナメントに進出した場合はお隣E組の上位2ヶ国と対戦予定ですが、そのE組の顔ぶれというのがこちらの面々。
- ドイツ
- スペイン
- 日本
- コスタリカ
無事グループFを突破しても、順当ならラウンド16でいきなりE組のドイツかスペインと対戦することになるので、ベスト16敗退のオッズが2.37倍という数字を見ても、ここがベルギーにとっての鬼門になることは容易に想定できます。
もちろん日本がF組を勝ち上がれば、前回ロストフで激突した両国の再戦となりますが、この段階でスペインかドイツがベルギーの対戦相手になるというのが、客観的な予想でしょう。
またbet365のオッズではベスト16敗退が2.37倍、ベスト8敗退が4.33倍となっていますが、もしスペインかドイツを破って準々決勝に進出したら、ベルギーが勢いに乗る可能性がかなりあります。
ただ、やはり選手層も鍵になるので、そこまでの戦いをデ・ブルイネなど従来の主力に頼り切るのではなく、ヤングパワーがしっかりと台頭していることが、準決勝、そして初のファイナルに進むための絶対条件になるでしょう。