2023シーズンのJ1リーグは対戦を一巡し、第18節から後半戦に突入しています。今季のJ1リーグでは、消化試合が1試合少ないながら横浜F・マリノスに次ぐ2位につけているヴィッセル神戸に注目が集まっています。
その神戸の次戦は、7月1日にノエビアスタジアム神戸で行われる北海道コンサドーレ札幌戦です。この試合は、アンドレス・イニエスタの神戸でのラストマッチということで、ブクサカ注目試合としてピックアップします。
海外ブックメーカーPinnacle社発表/神戸×札幌戦の勝敗オッズ
大手スポーツブックメーカー、Pinnacle(ピナクル)社が発表している試合開催直前の90分勝敗オッズがこちらです。
ヴィッセル神戸 | 2.090倍 |
---|---|
引き分け | 3.830倍 |
北海道コンサドーレ札幌 | 3.210倍 |
※オッズは2023年6月27日時点のPinnacle公式サイト(ヴィッセル神戸 対 コンサドーレ札幌)から引用
もっと神戸優位のオッズかと考えていたので、思ったほどオッズ差が付いていないな、というのが筆者の印象です。
両チームの対戦成績は19勝5分9敗。2020年以降は神戸が7連勝中(21得点7失点)と圧倒しています。(以下は神戸からみた札幌戦の直近7試合の対戦成績)
2023 J1第2節 | A ○3-1 |
---|---|
2022 J1第25節 | A ○2-0 |
2022 J1第16節 | H ○4-1 |
2021 J1第29節 | H ○1-0 |
2021 J1第6節 | A ○4-3 |
2020 J1第19節 | H ○4-0 |
2020 J1第8節 | A ○3-2 |
今季開幕から好調のヴィッセル神戸は攻守に安定感
今季の神戸は、開幕から3連勝と好スタートを切り、破れたのは
- 第4節:浦和レッズ戦(H ●0-1)
- 第9節:横浜Fマリノス戦(H ●2-3)
- 第17節:セレッソ大阪戦(A ●1-2)
この3試合です。
第2節で首位になってからは、C大阪に敗れるまで1位をキープし続けていました。現在は首位の横浜FMと勝ち点差3の2位ですが、消化試合が1試合少ないため、首位に限りなく近い位置と言えます。
2020年元日に天皇杯優勝はしたものの、これまでリーグでの優勝争いでは名前の出てこなかった神戸がこの順位を保っているのは、攻守両面での安定した力が理由だと言えるでしょう。
神戸のベースはハードなディフェンス
攻撃陣が注目されがちな神戸ではありますが、チームとしてのベースにあるのは、ハイプレスをベースとした強度の高い守備です。
最前線の大迫勇也、武藤嘉紀、汰木康也から始まるプレッシングに、山口蛍や齊藤未月の中盤が連動し、ボールを奪取。最終ラインにも経験豊富な酒井高徳、欠かせない存在になっている初瀬亮といったタレントを揃え、積極果敢なディフェンスで相手攻撃を封じています。
実績あるベテランがチームのために走り続けることで、他の選手も緩められない良い緊張感を保てているのが、17試合で13失点という、リーグ最少失点につながっていると言えるでしょう。
対戦相手からは
「今季対戦して1番強いと思った」
「負けるべくして負けた」
というコメントが出るほどまでの戦いを見せており、今季敗れた試合でも、前半は素晴らしい内容で相手を圧倒するような場面もあったので、「まず自分たちのやるべきことをやる」ということさえできれば、大崩れはしない印象です。
攻撃面では強烈な破壊力を誇る3トップがポイント
上記のような守備ベースがありながら、そこから素早く前線に運んでゴールを決めるというのが、現在の神戸の形です。
「バルサ化」を掲げていた頃とは戦い方が変わっており、それが奇しくもイニエスタの出番を減らしていることなっているわけですが、個々の能力を最大限に活かす吉田孝行監督の考えが浸透し、選手も気持ち良くプレーできている状態です。
中でも注目は、エースの大迫です。神戸がボールを持てば、まず大迫を狙う形になっており、長短どんなボールでも高い確率でマイボールにしてくれるポストプレーは分厚い攻撃の起点となっています。
彼が最前線にいることで、後方の選手が思い切って飛び出していくことができ、相手守備陣に混乱に与えている場面が少なくありません。
右の武藤、左の汰木に加え、インサイドハーフの山口、佐々木大樹が得点に関わる機会が多いのも、大迫のプレーによる影響が大きいでしょう。
エースはもちろんチャンスメイクだけでなく、リーグ2位の12得点としっかり結果を出しており、今は凄みを感じさせる状態と言えます。33歳という年齢がネックになっているのかもしれませんが、森保一監督には、ぜひ日本代表への再招集をお願いしたいと思わせるレベルです。
北海道コンサドーレ札幌は攻撃力の爆発次第か
札幌はここまで勝ち点26の9位と目立つ成績は残せていませんが、今季の攻撃力には目を見張るものがあります。
ここまでの総得点はリーグ最多の39。失点も多いことで得失点差は+3となっていますが、3得点以上している試合が6試合もあるという爆発力は、他のチームにないものです。
- 第6節:川崎フロンターレ戦 ●3-4
- 第7節:セレッソ大阪戦 ○3-2
- 第10節:横浜FC戦 ○4-1
- 第12節:FC東京戦 ○5-1
- 第13節:湘南ベルマーレ戦 ○4-2
- 第16節:柏レイソル戦 ○5-4
浅野雄也と金子拓郎の2人が、8得点を決めて得点ランキング5位に入る結果を残しています。特に、今季札幌に加入して早々に大ブレイク中の浅野は、スピードを活かした攻撃でチームの推進力を与えており、この試合でも注目の1人となるでしょう。
両チームの合計得点数のオッズを見ても、3点を上回る「オーバー3(両チーム合計3得点ジャストなら賭金返還、4得点以上ならベット勝利)」で1.819倍と低めで、「オーバー3.5(=両チーム合計で4得点以上で勝利)」でも2.290倍となっています。
これは、首位神戸の得点力だけでなく、相手が札幌であることを踏まえてのオッズ設定であると考えられます。
オーバー3 | 1.819倍 |
---|---|
オーバー3.5 | 2.290倍 |
アンダー3 | 2.010倍 |
アンダー3.5 | 1.628倍 |
任意の賭金額とオッズに対する払戻金額の計算は、Pinnacleが提供するオッズコンバーターツールが便利です。
試合展望:神戸が主導権を握る中で、いかに札幌がチャンスを作れるか
現在の両チームの状況を見る限り、この試合ではホームの神戸が主導権を握った戦いをすると予想されます。
神戸が立ち上がりから、緩みのないディフェンスでリズムを作ることができれば、良い流れの中で先制し、試合を優位に運ぶことになるでしょう。
札幌としては、激しく来る神戸のプレスをかわしながら、深い位置までボールを進められるかどうか。最前線にボールを入れられるまでのところが、試合のポイントになるでしょう。
堅守の神戸が大量失点するということは考えにくいですが、札幌は前節のC大阪戦でも1-4と守備に不安を残す形でこの試合に臨むことになるので、神戸が先制すれば一方的な展開になることも考えられます。
おもしろい試合という意味では、札幌が先手を取りながら、神戸が強度を高めていく展開になれば、両ゴール前での攻防が増える内容になるのではないでしょうか。
両チームの対戦は2020年から神戸が7連勝中と圧倒していること、さらに現在の状況も踏まえると、やはり90分勝負では神戸優位と見るのが妥当でしょう。
イニエスタの神戸での最終戦
試合の勝敗以上に注目とも言えるのが、イニエスタです。
この試合が神戸でのラストマッチになることが、5月25日の記者会見で発表されて以来、日に日に注目度が増しています。一部の高額席を除いてチケットは既に完売。
イニエスタの出場は、6月6日に国立競技場で行われたバルセロナとの国際親善試合以降ありませんが、7月1日に向けては「出場すると考えている」とコメントしており、吉田監督とも調整していることがうかがえます。
現在の神戸の戦い方において、起用が難しくなってはいますが、彼の5年間のプレーは、神戸だけでなく日本サッカーに対しても大きな影響を与えてくれました。
「アンドレスとプレーしたい」と神戸に集まった選手も多く、イニエスタなしでは今の神戸はなかったと言えるまでのレジェンド。「ほぼスタメンはないと思う」とコメントしている通り、終盤にピッチに立つことになりそうですが、その瞬間はスタジアムが特別な空気に包まれることになるでしょう。
試合展開によって変わってきそうな背番号8の投入タイミングにも注目して、この1戦を楽しんでみてはいかがでしょうか。
Pinnacle|ピナクル関連記事