2022-23シーズンのUEFAチャンピオンズリーグもいよいよ準決勝です。ベスト4に駒を進めたマンチェスターシティ、レアル・マドリード、インテル、ミランの4チームが、どんな戦いを見せてくれるのか。
今回も中継実況を務める西岡明彦氏に、各チームの状況と展望を語っていただきました。
海外ブックメーカー発表/チャンピオンズリーグ優勝オッズ
イギリス大手スポーツブックメーカー、WilliamHill(ウィリアムヒル)社発表の準決勝開催直前の優勝オッズがこちらです。
チーム名 | オッズ |
マンチェスター・C | 1.67倍 |
レアル・マドリード | 4.50倍 |
インテル | 7.00倍 |
ミラン | 9.00倍 |
※オッズは2023年5月8日時点のWilliamHill公式サイト(UEFAチャンピオンズリーグ 2022/23 – 優勝)から引用
優勝予想はマンチェスター・C
オッズ通りではありますが、私の優勝予想はマンチェスター・Cです。
準決勝のマンチェスター・Cとレアル・マドリードが戦う試合で勝ったチームが、そのまま優勝する可能性が高いと見ています。近年での欧州舞台での経験を考えても、イタリアの2クラブより優位だと思います。
決勝に進むのはシティとインテルと予想します。では準決勝をそれぞれ展望していきましょう。
マンチェスター・C vs レアル・マドリード
決勝進出オッズ
- マンチェスター・C:1.40倍
- レアル・マドリード:2.62倍
※編集部注:両チームの対戦成績は全8試合で3勝2分3敗、シティ12得点、レアル13得点。CLの決勝トーナメントでの対戦は過去3度あり、レアル2度、シティ1度の勝ち抜け。
オッズが示す通り、シティ優位は間違いないと思います。
シティは毎年のように、シーズン最後を良い状態で戦っていて、それは今季も変わりません。週末のプレミアリーグでも勝って、10連勝としています。
点が取れて失点も少なくて、選手層が厚い。やりくりしながらも、そういう結果が出せます。同じメンバーで勝ち続けるというのはよくありますが、シティに関しては、休ませながらも結果を出せているのがすごいところです。無理させないで、入れ替えながら戦っていますが、そうしながらもチームとしてのパフォーマンスが落ちません。
大切な試合を控えている時は、そこから逆算して、前の試合で主力を休ませたりしています。そういうことが可能なので、週末のリーズ戦も、コンディションの厳しい選手は休ませて、このレアル戦を見据えた選手起用になっていたと思います。
プレミアリーグで優勝を争っていて、アーセナルも追ってきている状況で落とせない試合の中でも、入れ替えができるのは強みでしょう。
普通は主力を酷使したり、逆に休ませて勝てなかったりということになりがちですが、シティはそれでもしっかり勝っているのがすごいところです。
シティの注目は、何といってもハーランドです。リーグ戦の得点記録を塗り替えるほどのパフォーマンス。今はそこまで状態が良いとは思いませんし、ペップ(グアルディオラ監督)も、「前半は良くなかった」と言っていましたが、それでもワンチャンスあれば決めてしまう。ストライカーとしての仕事ぶりはすごいですね。
プレミアリーグの記録を1年で塗り替えてしまうというのは、相当な力ということです。点を取るということに関しては、好不調の波がないですね。出場していれば、何かしら結果を残す。本当にすごいストライカーだと思います。
レアルは国内リーグに関しては、無理しなくても良い状況(優勝の可能性がほぼ無くなった状況)になっています。そのため選手層はそれほど厚くなくても、チャンピオンズリーグに向けた編成を優先に考えられます。
シティはどこからでも、誰でも点が取れるのに対し、レアルはベンゼマとヴィニシウスがカギになります。対戦相手はいつも2人の点取り屋を抑えればと考えると思いますが、わかっていても抑えられなかったことでレアルはここまで勝ち上がってきています。
準決勝まできて、その2人が止められた時にどうなるか。そこがレアルの最注目ポイントになると思います。
試合日程(日本時間)
- 第1戦:レアル・マドリード×シティ(5/10水曜 4:00~)
- 第2戦:シティ×レアル・マドリード(5/18木曜 4:00~)
インテル vs ミラン
決勝進出オッズ
- インテル:1.73倍
- ミラン:2.10倍
※編集部注:過去の対戦成績はインテル81勝、ミラン71勝、引き分け67。CLでは準々決勝、準決勝で2度の対戦でミランの2勝2分(6得点1失点)でいずれもミランが勝ち抜け。
どちらも、来季のチャンピオンズリーグ出場権を獲得するために国内リーグを争っているチームです。一方で、今回のチャンピオンズリーグの戦いももちろん重視しています。
その中で、ターンオーバーして失敗しているのがミランで、インテルは結果を残しています。その意味では、現状うまくいっているのはインテルの方だと思います。
今のインテルは、元々手堅いチームだったところに、得点力がプラスされています。点を取る選手が複数人いて、前線2つのポジションに4人がいるので、そこをうまく回している印象です。
エディン・ジェコ、ラウタロ・マルティネス、ロメル・ルカク、ホアキン・コレアの4人で組んでいますが、結局はジェコとラウタロをうまく使うためにやっているということだと思います。
一方のミランは、週末の試合でラファエル・レオンが早々に交代しました。右の内転筋を痛めたようです。無理をさせないように早く交代させたということかもしれませんが、いずれにせよ万全ではない。
ミランの生命線は、オリビエ・ジルーとラファエル・レオンの2人でどうするか。そういうチームだっただけに、ラファエル・レオンが出られないとなると、相当チーム力が落ちるので、難しくなると思います。
ただ、決勝進出オッズでそれほど差がないのは、ミランのこれまでの勝ち上がりも踏まえてではないでしょうか。ミランは、事前に難しいと見られていた相手ともしっかり戦えるというところがあります。
準々決勝は、今季の状態では大きな差があるナポリが相手でしたが、それでも勝ち上がってきました。強い相手に対しても結果を残せる、自分たちが格下と割り切った戦いができるところが評価されているのかなと思います。ここまでも、少ないチャンスを生かして上がってきた印象です。
それぞれのチーム力を考えるとインテルが上で、優位に進めるとは思いますが、ゲームをコントロールした中でミスを誘われて、少ないチャンスをミランが決めるという展開も十分考えられます。
この対戦での注目は、前線の選手というよりは、中盤で頑張れる選手です。ミランはイスマイル・ベナセル、インテルはニコロ・バレッラに注目したいと思います。
どちらも中盤にいながら、運動量があって攻守にわたってハードワークできる選手です。そういう選手の動きがベースにあった上で、前線の選手たちが生きてくると思います。前線の選手が点を取ることに専念できるかどうかは、彼らの働きが重要になってくるでしょう。その意味で、キーマンになると見ています。
試合日程(日本時間)
- 第1戦:ミラン×インテル(5/11木曜 4:00~)
- 第2戦:インテル×ミラン(5/17木曜 4:00~)