カタールワールドカップの準決勝第2試合は、日本時間12月14日(水)早朝4:00キックオフとなるフランス対モロッコの一戦となります。この試合に向けて、サッカーライターの清水英斗さんに展望をお願いしました。
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カタールワールドカップ2022 準決勝の展望
アルゼンチン対クロアチアに続いて行われるフランス対モロッコの一戦は、ベスト4に残ったチームのうち、オッズ最上位と最下位の対決となりました。この準決勝でもジャイアントキリングは起きるのでしょうか!
大手イギリスブックメーカー、WilliamHill(ウィリアムヒル)社が発表している、4強決定時の優勝オッズはこちらです。
- フランス:2.10倍
- アルゼンチン:2.62倍
- クロアチア:8.00倍
- モロッコ:9.00倍
公式サイト:FIFAワールドカップ2022・優勝オッズ|WilliamHill
フランスの今大会これまでの5試合は4勝1敗でした。グループステージの最終戦、すでに勝ち抜けを決めた後のチュニジア戦は大幅にターンオーバーして臨み、0-1で唯一の敗戦を喫しました。しかし、それ以外の4試合はすべて90分で勝利。圧倒的な強さを見せつけています。
前回大会で優勝したチームがグループステージで敗退するジンクスはどこへやら。期待に違わぬ強さを見せる、今回のフランスです。
モロッコは初戦でクロアチアとスコアレスドローに終わったものの、以降はベルギーに2-0、カナダに2-1と連勝し、2勝1分けでグループステージを首位で通過しました。
ラウンド16は0-0で迎えたPK戦でスペインを破り、準々決勝はポルトガルを1-0で撃破。ジブラルタル海峡ダービーで、地中海を挟んで向かい合う2つの大国を打ち破り、欧州上陸を果たしたモロッコは、そのまま陸路でフランスへと突き進みます。
準決勝・フランス×モロッコの予想展望と勝敗オッズ
同じく海外ブックメーカー、WilliamHill(ウィリアムヒル)社が発表している準決勝の勝敗オッズがこちら。
試合の90分勝敗オッズ
- フランス:1,50倍
- ドロー :3.80倍
- モロッコ:7.50倍
決勝進出オッズ(延長PK含む)
- フランス:1.25倍
- モロッコ:3.75倍
※公式サイト:フランス 対 モロッコ|WilliamHill
陳腐な言い方ですが、フランス対モロッコは典型的な『ホコタテ対決』です。
フランスはこれまでの4勝のうち、無失点試合が一つもありません。毎試合必ず1失点を喫しましたが、同時にそれを越える2点以上のゴールを挙げ、相手を突き放してきました。
逆にモロッコは、これまでの5試合における失点がカナダ戦の1失点のみ。4試合は無失点に抑えました。4-1-4-1の堅牢な守備ブロックだけでなく、奪ったボールをパパッと数本つないでカウンタープレスを回避する能力、あるいはドリブルで身体を入れながら運び出す能力が非常に高いため、自陣に押し込まれっぱなしになりません。
その結果、失点を最少に留めてきたモロッコ。その盾は攻撃をただ防ぐだけでなく、相手を押し返すこともできる、積極的な盾です。その勇敢さでスペインやポルトガルを打ち破ってきました。
「私、失点しないので」
とモロッコは言う。
「私、失点しても2得点するので」
とフランスは返す。
過去の対戦成績はフランス優勢ではありますが、最近では対戦がありません。
フランスのモロッコ戦過去戦績 | |
2007年11月 | △ 2-2(H) |
2000年6月 | ◯ 5-1(A) |
1999年1月 | ◯ 1-0(H) |
1998年5月 | ● 2-2(A) PK7-8 |
1988年2月 | ◯ 2-1(H) |
対戦成績記載ページ:https://www.transfermarkt.jp/(対象カードをクリックし詳細ページに行くと対戦成績を確認できます)
果たして、正義はどちらにあるのか?
スコア予想オッズは?
ここで試合結果の予想を見ると、最も低オッズとなっているのが、フランスの1-0勝利(5.00倍)です。一番可能性が高いと見られているわけですが、しかし、これはいかがなものか。
コレクトスコア(試合スコア予想)オッズ
前述の通り、フランスは毎試合決まって1失点を喫してきたチームなので、勝ちにベットするなら、2-1(9.50倍)、3-1(17.00倍)あたりが狙い目ではないでしょうか。両チーム得点に関するオッズはこんな感じ。
- 両チーム得点あり:2.37倍
- 両チーム得点なし:1.53倍
逆にモロッコ側にベットするなら、1-0(15.00倍)、2-0(41.00倍)か、あるいは0-0(8.50倍)か。矛が勝つにせよ、盾が勝つにせよ、スコア予想の狙いどころは考えたほうが良さそうです。
ピッチ外にも影響を及ぼすモロッコの躍進
ここカタール・ドーハでは、「アラブの代表」として人々から熱狂的に支持されるモロッコですが、スタジアム周辺に危険な雰囲気はありません。
しかしカタールから遠く離れたパリやブリュッセル、アムステルダムといった欧州の地域では、モロッコが勝利するたびに、歓喜するモロッコ系移民のサポーターと警官隊が衝突し、100人近くが拘束されているとか。
今後の遺恨になるのでは、と正直なところ、アルゼンチンとオランダの選手間のいさかいとは比較にならないほど心配しています。
欧州に潜在する差別意識と、日頃の抑圧にストレスを溜めてきた人々の感情の爆発。カタールは開幕前に人権問題について多くの批判を浴びましたが、「問題を抱えていない国はない」とカタール側は反論しました。間違いなく、人権問題は見過ごせないのですが、その言い分もわからなくはありません。
試合の日が訪れるのが、少し怖いです。
圧倒的な個を活かす”戦術・エムバペ”
個々に目を移すと、やはり注目はフランスの怪童エムバペでしょう。
左ウイングに入るエムバペですが、彼はびっくりするほど守備をしません。自陣に下がりません。ずっと攻め残ってカウンターの充電をしています。
その怪童に代わって左ボランチのラビオがサイドのカバーに行くのですが、右ボランチのチュアメニとの間が空き、フランスは全体のスペースがいびつになりがちです。そこをトップ下のグリーズマンが、前へのプレス、中盤へのプレスバックと、守備のタスクを多く引き受け、カバーに走っています。
フランスはまさに戦術・エムバペ。その圧倒的な個の力を活かすために、彼が最優先で取りたいポジションを取り、そこからの逆算で他のプレーヤーが立ち位置を決めていくチームです。
相手チームからすれば、バランスがいびつになるエムバペのサイドは明らかな隙があるのですが、そこへ深入りすれば、ボールを奪われたときにスペースが裏返しになり、エムバペが1対1でスピードに乗って仕掛けてきます。それが怖くて、攻撃を仕掛けられなければ、これもまたフランスの思う壺。戦術・エムバペは、そうやってピッチ全体に影響を及ぼすのです。
試合のカギを握る親友対決
ただ…もしかすると、風はモロッコに吹いているかもしれません。
準々決勝でフランスと対戦したイングランドは、快速自慢のウォーカーを右サイドバックに置き、エムバペ番を務めさせました。後半にズバッと振り切られる場面はありましたが、大勢ではうまく管理したと思います。
モロッコも、エムバペと対面する右サイドバックが鍵を握ると思われますが、実はそのポジションを務めるDFアクラフ・ハキミは、パリ・サンジェルマンのエムバペの同僚でもあります。ハキミはフランスとの対戦が決まった瞬間、仲の良いエムバペに対し、愛のツイートを飛ばしました。
大会中に肩を組んだ写真を撮って、エムバペがアップするなど、2人は本当に仲が良さそうです。
普段からクラブで怪物ぶりを目にしているのなら、他の選手のように初体験の超加速に驚くことはないはず。エムバペ vs ハキミの親友対決には注目が集まりますし、モロッコにとっては好材料です。
前回覇者の不安は控えメンバーと延長戦
さらにもう一つ、モロッコには好材料があります。いえ、フランスの不安要素と言ったほうがいい。
今大会のフランスは、カンテ、ポグバ、ベンゼマ、エンクンクを欠いて臨むことになりました。それでも豪華メンバーとはいえ、ベンチの層は若干薄く、サブメンバーの連係が整わない様子も見られます。
実際にベンチ組中心のグループステージ最終戦のチュニジア戦は、0-1で敗れていますし、準々決勝のイングランド戦はかなりしんどい展開になったにもかかわらず、切った交代カードはデンベレ→コマンの1枚だけ。デシャン監督の深層不安が伺えます。
さらにフランスは、これまでの4勝すべてが90分の勝利とお伝えしましたが、裏を返せば、彼らは延長戦を経験していません。サブメンバーに信頼を置けない状況で、延長戦に持ち込まれればどうなるか。このあたりはフランスにとっての不安要素ではないでしょうか。
仮にPK戦までもつれたとしても、フランスはW杯におけるPK戦の成績が2勝2敗と、別段PKを得意にしているわけではありません。様々な意味でフランスは、90分で勝負をつけたいところ。逆にモロッコにとっては、延長戦へ持ち込めば勝機が大きくなる。
モロッコの風が熱く、延長戦へ向かって吹き付ければ…そこにはジャイアントキリングが!?
見どころだらけのフランス対モロッコ。皆さんなら、どのようにベットしますか?