日本の躍進もあり盛り上がりを見せているカタールワールドカップもいよいよ準決勝となります。第1試合は日本時間12月14日(水)早朝4:00キックオフとなるアルゼンチン対クロアチア。この一戦に向けて、サッカーライターの清水英斗さんに展望をお願いしました。
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カタールW杯準決勝・アルゼンチン×クロアチアの展望
天下分け目の8強決戦を乗り越え、ついに!W杯の準決勝を戦うベスト4が出揃いました。果たして優勝するのはどの国か?WilliamHill社(ウィリアムヒル社)発表の最新の優勝オッズを見てみましょう。
- フランス:2.10倍
- アルゼンチン:2.62倍
- クロアチア:8.00倍
- モロッコ:9.00倍
公式サイト:FIFAワールドカップ2022・優勝オッズ|WilliamHill
本命はフランス、それに対抗のアルゼンチンが続き、クロアチアとモロッコはダークホースの扱いです。ただし、一桁オッズであることを踏まえれば、大穴とまでは言えません。
準決勝の2試合はどちらも本命に対してダークホースが立ち向かう構図になりました。決勝は順当にフランス対アルゼンチンになるのか、それとも、準決勝で番狂わせが起こり得るのか?
オッズではアルゼンチン有利だが、クロアチアの粘りも見逃せない
試合のオッズを見ると、1試合のフランス対モロッコよりもアルゼンチン対クロアチアのほうが番狂わせの可能性は若干高く見られているようです。決勝進出オッズと過去の対戦成績は次の通りです。
決勝進出オッズ(延長PK含む)
- アルゼンチン:1.36倍
- クロアチア :3.00倍
※公式サイト:アルゼンチン 対 クロアチア|WilliamHill
アルゼンチンのクロアチア戦過去戦績 | |
2018年6月 | ● 0-3(H) |
2014年11月 | ◯2-1(H) |
2006年3月 | ● 2-3(A) |
1998年6月 | ◯ 1-0(H) |
1994年6月 | △0-0(A) |
対戦成績記載ページ:https://www.transfermarkt.jp/(対象カードをクリックし詳細ページに行くと対戦成績を確認できます)
アルゼンチンはラウンド16までは比較的順当に勝ち上がってきました。初戦のサウジアラビア戦こそジャイアントキリングを許しましたが、その後はメキシコ、ポーランド、ラウンド16のオーストラリアに3連勝。『ゼロトップ』のメッシを軸に、FWアルバレスやMFモリーナらが果敢に飛び出し、メッシのファンタジックなドリブルとパスで得点を挙げる連係が整ってきました。
準々決勝は大荒れ。”世界”を感じさせる一戦に
ところが、そんな中で迎えたオランダとの準々決勝は、まさかの大乱闘へ。
アルゼンチンの英雄リケルメや、現代表のディ・マリアらをクラブで冷遇したオランダのファン・ハール監督を、もともと苦々しく思っていたアルゼンチンの選手たち。
そのファン・ハール監督が、前日の記者会見で「PK戦になれば我々の勝ち」「メッシは守備に参加しない。我々にチャンスがある」と発言したことを挑発と捉え、激怒しました。
後半にラフなタックルを見舞ったパレデスが、抗議に飛び出したオランダのベンチへそのまま強烈にボールを蹴り込む蛮行。それに怒ったファン・ダイクが、パレデスをボディータックルで吹き飛ばす。
その後も互いに罵り合ったり、PK戦に勝ったアルゼンチンがさらにオランダの選手を貶める態度を取ったり、試合後のミックスゾーンでもメッシとベグホルストの間で諍いがあったり…。何とも後味の悪い試合でした。
今大会あるいはロシアW杯あたりからサッカーを見始めた、新しいサッカーファンにとっては、ドン引きさせられる展開だったのではないでしょうか。一方でオールドファンにとっては久方ぶりに見る喧嘩上等の乱戦だけに、懐かしさを覚えたかもしれません。
俺たちのメンツを潰す奴は許さない。
俺たちの仲間を馬鹿にする奴には、仁義を切らせてもらう!
どこか任侠映画を思い出すような、アルゼンチンの身内意識、行動倫理は衝撃の一言でした。もちろん蛮行が許されるとは1ミリも思いませんが、我々日本がオランダと対戦するとき、香川真司がファン・ハールに干されたことを根に持って怒るかと言えば、そんなことはまったくありません。思いつきもしません。「気持ちはわかる」「わかるけど」とは迂闊に言えない、異教徒たちの一幕でした。
この海の広さよ。W杯という祭りの広さよ。毎日が驚きに満ちています。筆者も「朝メッシ前」とか「酢メッシ」とか、くだらないことがつい口から出ちゃうタイプですが、アルゼンチン人の前では避けたほうが良さそう。皆さんも気をつけて。
それでも見逃してはいけないハイレベルな一戦
さて。そんなこんなで一般ファンの心象がすっかり悪くなり、(トロフィーを)抱かれたくないタレントナンバーワンに輝いてしまった感もあるアルゼンチンですが、対戦相手のクロアチアは正反対のチームです。驚異的な粘り強さでブラジルを下した彼らは、アイコンであるモドリッチの人間性も手伝い、今大会の好感度ナンバーワンのチームと言っても過言ではありません。
オランダ戦ではファン・ハールへの激怒がエネルギーに昇華したアルゼンチンですが、クロアチアに怒りのエネルギーはそれほど溜まらないはず。あえて言えば、前回大会のグループステージでは0-3でクロアチアに敗れているので、リベンジと言えばリベンジですが、あくまでもグループステージの出来事。スポーツの範疇でもあるので、オランダ戦の因縁、私怨、激怒に比べれば、月とスッポンでしょう。
おそらく準決勝は、落ち着いた品の良い試合になるはず。アルゼンチン離れした人も、一度忘れて、戻って来られたほうが良いと思います。
90分決着ではアルゼンチン。クロアチアはメッシにどう対応する?
試合展開の予想としては、やはり90分で考えれば、アルゼンチンが圧倒的に有利でしょう。オッズもかなり差が付いています。
試合の90分勝敗オッズ
- アルゼンチン:1.83倍
- ドロー :3.30倍
- クロアチア :4.80倍
クロアチアは粘り強い守備と、相手のプレスを恐れないポゼッションによるゲームコントロールに長けていますが、一方でアタッキングサードに入ってからの仕掛けのクオリティは一段劣ります。
前回大会と今大会の決勝ラウンドで、クロアチアは5回勝利していますが、90分で勝った試合は一つもありません。90分で勝負がつくとすれば、勝つのはアルゼンチンでしょう。
”仕掛け”が魅力のアルゼンチン攻撃陣とGKリヴァコヴィッチを軸としたクロアチア守備陣のぶつかり合い
南米の2強、アルゼンチンとブラジルの魅力は、やはりアタッキングサードの仕掛けです。要は引いた相手を崩し切って、ゴールをこじ開ける能力が高い。この点で言えば、ヨーロッパのチームよりも長けています。それはメッシ、ネイマールがいるからでもありますが。
粘り強さが売りのクロアチア。果たしてアルゼンチンに対しても、守り切ることができるか。ブラジル戦は延長戦に持ち込みましたが、実際のところ後半の被決定機はかなり多く、GKリヴァコヴィッチのスーパーセーブに何度も助けられました。アルゼンチンがチャンスを逃さず仕留めてきたら、かなり苦しい展開になりそうです。
驚異的なメッシ得点オッズ。勝敗問わずエースは決める?
さらに得点者予想のオッズを見ると、ちょっと驚くことがあります。
メッシが何らかの形でゴールを決める、そのオッズは2.37倍です。なんとクロアチアが決勝進出を果たすオッズ、3.00倍よりも低い。クロアチアが勝つよりも、メッシがゴールを決める可能性のほうが高いと見られているわけです。
だとすれば、クロアチアとしては、メッシにゴールを決められてもスコアで上回るか、あるいは延長戦に持ち込めるよう、積極的にゴールをねらってファイティングポーズを取るべきでしょう。
アルゼンチンのDF陣はブラジルに比べると個の力で不安があるので、クロアチアはそこを狙っていくと思います。アルゼンチンを相手にゼロで抑えられるとは、最初から考えていないでしょうし、勇敢な試合を期待してもいいのではないでしょうか。そう考えると点の取り合いになるかもしれません。
”PK2強”による一戦は、最後まで楽しみが尽きないものになる
そして最後に、この試合がPK戦までもつれた場合ですが、これはかなり見ものです。
アルゼンチンはPK戦で5勝1敗と最多勝利数を誇るチーム。一方のクロアチアも、前回大会と今大会のPK戦は4戦全勝です。ドイツが姿を消した今、PK戦最強の2チームが、このアルゼンチンとクロアチアになるわけです。
この試合のPK戦に関するオッズは以下の通りです。
- PK戦に突入する :5.50倍
- PK戦に突入しない:1.12倍
PK戦に突入した上での勝利オッズ
- アルゼンチン:10.00倍
- クロアチア :11.00倍
PK戦に突入する可能性は高くないと見られていますが、突入した場合はアルゼンチンがわずかに有利というオッズになっています。
PK頂上対決は実現するのか?最後の最後まで、目が離せない試合になりそうですね。