カタールワールドカップ2022 オランダ代表の展望【河治良幸】

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カタールワールドカップ2022は日本時間11月21日(月)に開幕。12月19日(月)の決勝戦まで約1ヶ月間に渡って戦いが繰り広げられます。

2014年大会以来、3大会ぶりの出場となる今大会をオランダを河治良幸さんに占っていただきました。

河治良幸

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。

セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。

プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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カタールワールドカップ2022 オランダ代表の試合日程と放送予定

オランダ代表のカタールワールドカップ本大会での試合スケジュールがこちら。いずれも日本時間での日程、放送予定です。

日時対戦国放送予定
11月21日(月)
1:00
セネガルabema TV
11月25日(金)
22:00
エクアドルテレビ朝日
abema TV
11月29日(火)
0:00
カタールNHK総合
abema TV

 

ブックメーカー発表オッズの優勝オッズは13.00倍

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海外ブックメーカー・WilliamHILL(ウィリアムヒル)社が発表している「オランダ代表の敗退ステージオッズ」は以下の通りです。

GL敗退5.50倍
 ベスト16敗退3.00倍
 ベスト8敗退3.25倍
 ベスト4敗退6.00倍
 準優勝12.00倍
 優勝13.00倍

※ 2022年11月16日時点でのウィリアムヒルオッズを引用 

これまで3度の準優勝、ベスト4にも2回進出しているオランダ。前回大会は9ヶ国目となるW杯制覇にもっとも近い存在と言えましたが、まさかの予選敗退に。さらにフランク・デ・ブール前監督が率いた昨年の欧州選手権(EURO 2020)では、ラウンド16でチェコに0-2で敗れる大失態を演じてしまいました。

危機的な状況の中で命運を託されたのはルイス・ファン・ファール監督です。これまでアヤックスやバルセロナ、マンチェスター・ユナイテッドを率いるなど、クラブレベルで圧倒的な実績と経験を持ち、W杯でも2014年に3位躍進を果たしています。欧州予選はトルコやノルウェーという強国と同居しながら、堂々の1位で本大会の出場を決めました。

その後の親善試合、さらにネーションズリーグと合わせた8試合で6勝2分と好調を維持していて、その中には優勝候補の一角でもあるベルギーに1-0で勝利した試合も含まれます。

そんなオランダですが、ウィリアムヒル発表の優勝オッズは15.00倍となっています。前回大会3位のベルギーが17.00倍であることを考えると、評価は高めです。理由はいくつか考えられますが、ひとつは最近の試合での好調ぶりで、若い選手やフレッシュな組み合わせもテストしながら結果を出していることがポジティブに評価されているのでしょう。

もうひとつ大きいのが日程的なアドバンテージです。抽選会で”シード国”にあたるポット1ではなかったオランダですが、開催国カタールのA組を引き当てました。

 

開催国カタールと同居するグループA

WilliamHill(ウィリアムヒル)のロゴ

オランダが所属するグループAの予選通過オッズがこちら。

オランダ1.11倍
セネガル1.73倍
エクアドル2.00倍
カタール4.50倍

※ 2022年11月16日時点でのWilliamHILL社発表オッズを引用

同じくポット2でスペインと同組のグループFを引き当ててしまったドイツに比べると、オランダはかなりの強運です。オランダがA組で優位にあることは1.11倍という突破のオッズでも明らか。

もちろん、アフリカ勢で最強との呼び声もあるセネガル、南米4位ながらブラジルやアルゼンチンと好ゲームを繰り広げたエクアドル、そして地の利があるカタールも侮れませんが、無事に突破した場合に日程的なアドバンテージがあります。

 

初戦・セネガル戦

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WilliamHILL社発表の90分勝敗オッズがこちら。

  • セネガル:6.00倍
  • ドロー:3.60倍
  • オランダ:1.61倍

ウィリアムヒルのオッズによるとオランダの勝利が1.61倍でかなり優勢と見られています。

これまでに両国の対戦経験がないので未知の部分はありますが、オランダにとってさらに有利となる材料が、セネガルのエースであるサディオ・マネの負傷です。メンバー入りはしましたが、少なくともオランダ戦は欠場することをセネガルのアリウ・シセ監督が明言しています。

セネガルは1対1に強い選手が多いですが、3-4-1-2を採用するオランダがうまくボールを回しながらディフェンスを翻弄できれば、セネガル陣内での突破口も見出せる可能性は高いと見ています。

  • フレンキー・デ・ヨング(バルセロナ)
  • デイヴィ・クラーセン(アヤックス)
  • トゥーン・コープマイネルス(アタランタ)

など、正確に長短のパスを繋げるタレントが中盤に揃っています。

カリドゥ・クリバリ(チェルシー)擁する、セネガルの強固なディフェンスを突破するためのベースは十分。あとはそこから先のクオリティが鍵で、10番を背負うメンフィス・デパイ(バルセロナ)を中心に、ゴール前の決め手を出せるかどうかにかかっています。

 

第2戦:エクアドル戦

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WilliamHILL社発表の90分勝敗オッズがこちら。対戦成績はオランダの1勝1分け。

  • オランダ:1.57倍
  • ドロー:3.80倍
  • エクアドル:6.00倍
エクアドル戦の過去戦績
2006年3月○ 1-0(H)
 2014年5月△ 1-1(H)

2試合目のエクアドル戦もオランダ勝利のオッズは1.57倍となっています。

ただ、エクアドルはブラジルやアルゼンチンでも手を焼いた相手で、個人と組織のバランスが非常に良いので、オランダのとっても間違いなく簡単な試合にはならないでしょう。

エクアドルは予選後の試合ではスコアレスドローが多く得点力に不安がありますが、経験豊富なエネル・バレンシア(フェネルバフチェ)やミチャエル・エストラーダ(D.C.ユナイテッド)は一度ツボに入ると高い決定力を発揮してくるので、39歳の守護神レムコ・パスフェール(アヤックス)が構えるオランダにとっても要注意でしょう。

 

第3戦:カタール戦

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WilliamHILL社発表の90分勝敗オッズがこちら。過去の対戦成績はありません。

  • オランダ:1.28倍
  • ドロー:4.80倍
  • カタール:13.00倍

3試合目のカタールとの試合は、オランダもそうですが、ホームのカタールが突破の可能性を残しているかどうかで、相手のモチベーションが大きく変わってきます。

カタールも基本的に後ろからボールを動かしていくスタイルなので、チーム力で上回るオランダがそのまま有利になるのは間違いないでしょう。ただ、それはカタールのフェリックス・サンチェス監督もよく分かっているはずで、そのまま真っ向勝負をしてくるとは限りません。

カタール戦で気をつけなければいけないのがアルモエズ・アリ(アル・ドゥハイル)とアクラム・アフィフ(アル・サッド)の2トップによるコンビネーションとボックス内の勝負強さです。

彼らがゴール前で仕事できないように、フィルジル・ファン・ダイク(リバプール)などディフェンスラインだけでなく、中盤のデ・ヨングやコープマイネルスがパスの出し手を制限することが求められます。

 

決勝トーナメントに進出した場合の組み合わせ

順当ならオランダはA組を首位で突破することになりますが、決勝ラウンドではB組(アルゼンチン、メキシコ、ポーランド、サウジアラビア)から勝ち上がってきたチームとの対戦になるので、一筋縄では行かなそうです。

 

ラウンド16の相手はアルゼンチンか?

ウィリアムヒルによるとベスト16敗退の可能性は3.00倍となっていますが、アルゼンチンがB組の2位で上がってきた場合はかなり難易度の高い戦いとなります。

実際2014年のブラジルW杯でも準決勝で両チームは対戦し、0-0のまま延長戦でも決着付かず、PK戦でオランダはファイナル進出を逃しています。その当時の監督がファン・ハールで、悔しい記憶として残っているでしょう。

ただ、実は歴史的に見るとオランダはアルゼンチンを得意としていて、親善試合を含む国際Aマッチの対戦成績はオランダの4勝4分1敗と完全に相性が悪い訳ではありません。

 

ラウンド16の対戦国候補はメキシコかポーランド

オランダから見たメキシコとの対戦成績は4勝1分3敗。

ブラジルW杯ではラウンド16で対戦して2-1で勝利しています。ただ、決勝点は微妙な判定によるPKからもたらされたもので、7大会連続でベスト16敗退のメキシコにとっては忘れがたい”事件”として記憶されています。

もう一つの対戦候補国であるポーランドは堅守速攻のチームで、ポゼッションを主体とするオランダとは対照的なチームになります。

2016年の対戦ではオランダが2-1の勝利を飾っていますが、ロベルト・レバンドフスキ(バルセロナ)がエースを担う相手に圧倒するのは難しく、ファン・ハール監督のベンチワークも重要なポイントになりそうです。

 

選手層が充実する今大会のオランダ

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オランダは初優勝を狙うライバルのベルギーなどと違い、メンバーもあまり固定せずに、ハイレベルな競争の中で現在の主力が形成されてきたこともあり、26人のメンバーは誰が出ても、おおよそ同じスタンダードのパフォーマンスが期待できます。

ファン・ダイクやデ・ヨングのような代えの利かない選手はいますが、選手層は列強国の中でもかなり高いと言えます。それは個の力だけでなく、ファン・ハール監督が植え付けてきた組織力の賜物でもあります。

 

今大会のオランダはヤングタレントにも注目

そうした中でも楽しみなのが、各ポジションで台頭している以下のヤングタレントです。

  • ディフェンスの21歳ユリエン・ティンバー(アヤックス)
  • 中盤の20歳ケネス・テイラー(アヤックス)
  • FWの23歳ノア・ラング(クラブ・ブルッヘ)

3-4-1-2のトップ下から抜群のキープ力や迫力あるフィニッシュを見せるコーディ・ガクポ(PSVアイントホーフェン)も注目のタレントです。

彼らはすでにネーションズリーグなどで存在感を示していますが、サプライズ招集となったのが19歳の”神童”シャビ・シモンズ(PSVアイントホーフェン)です。シモンズはオランダリーグで8得点を記録しているニュースターであり、テクニカルな中盤でも違いを生み出すことが期待されます。

オランダがファイナルまで勝ち上がった場合、チームとしてはもちろん、そうした若手選手たちもかなりの自信を手に入れているはずです。

最初は短い準備期間で入りが難しいですが、その分、決勝までを考えると有利になるので、まずは順調にグループAを突破し、ラウンド16を超えること。そこから先も険しい道のりにはなりますが、彼らが9番目のW杯優勝国になる可能性は決して低くないと見ています。

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