マルタ在住、ブックメーカー歴15年の著者が、自身の経験をもとにブックメーカー投資について解説します。
結論として、ブックメーカーを「投資」として考えるのは避けた方が良いでしょう。
ブックメーカーはギャンブルであり、金銭的な損失だけでなく、様々なリスクを伴います。お金を稼ぐ手段ではなく、スポーツ観戦をより楽しむためのエンターテインメントとして活用するのが適切だと考えます。
この記事では、著者が経験を通じて学んだブックメーカー投資について、実体験をもとに詳しく解説します。
ブックメーカー投資とは
ブックメーカー投資とは、スポーツの試合結果などを予想して賭けを行うブックメーカーを使った投資方法です。
他のギャンブルと比べて還元率が高い点が特徴で、特にサッカーやテニスなどの人気スポーツでは還元率が96%〜98%にも達します。
還元率とは、賭けた金額に対してどれだけの割合が払い戻されるかを示す割合(パーセンテージ)です。例えば還元率が90%の場合、100円を賭けたら平均して90円が戻ってくることを意味します。還元率が高いほどプレイヤーに有利になります。
例えば、パチンコの還元率は約80%〜85%、競馬や競輪、競艇は70%〜80%程度であることを考えると、ブックメーカーの還元率は非常に高いと言えます。
ブックメーカー | 約90%〜98% |
---|---|
パチンコ・パチスロ | 約80%〜85% |
公営競技(競馬・競輪・競艇) | 約70%〜80% |
toto(サッカーくじ) | 約50% |
宝くじ | 約45% |
ブックメーカー投資のメリット
ブックメーカー投資は少額から始められ、短期間で利益を得やすいなど、他の投資と比べてハードルの低い投資法と言えます。
また、自分の知識や分析力を活かして、好きなスポーツを観戦しながら利益を得られる楽しさは他にはない体験です。
さらに、普段のスポーツ観戦をよりエキサイティングで楽しいものにできるため、エンターテインメントとしても一層楽しめる投資方法になっています。
少額から始められる
私もブックメーカーを始めた当初は、最低ベット金額である100円からスタートしました。最初はルールや仕組みを理解するのに時間がかかりましたが、少額でベットを繰り返すうちに、理解が深まっていきました。
少額から始めることで、試行錯誤しながら経験を積み、自分に合ったベット方法や利益を出しやすい投資戦略を低いリスクで見つけることができます。
たとえ100円でも、自分が予想し、的中したときの興奮や資金が増えていく嬉しさは感じられると思います。
短期間で利益を得やすい
スポーツベットは試合が終了するとすぐに結果が分かるため、株式投資や不動産投資と比べて、短期間で利益を得やすいのが特徴です。
私も1日で資金が2倍、3倍になった経験が何度もあります。
もちろん、すべてがうまくいくとは限りませんが、短期間で結果が得られるスピード感は他の投資では味わえない魅力です。
情報が豊富
インターネット上には、選手のコンディションや過去の試合データ、チームの戦術といったベットに役立つ情報が数多くあり、誰でも簡単に必要なデータを収集し、予想をすることができます。
私は以下のサイトを利用して情報収集を行っていました。
Sofascore Flashscore |
チームの順位や調子、過去の対戦成績などの分析に使用。 |
---|---|
FootyStats | 選手のデータ分析に使用。 |
TotalCorner | 過去の試合のコーナー数が分かるサイト。コーナー数にベットする際の分析に使用。 |
Football LAB Jリーグ公式サイト |
Jリーグに特化したサイト。チームの順位や過去の対戦成績、選手データの分析に使用。 |
X(Twitter) | X(Twitter)でチーム名や選手名を検索し、データサイトには載っていない、サポーターのリアルな反応を知るために使用。特定のアカウントから情報収集していたわけではないが、「ブックおじさん」「goroさん」「ニッチ屋さん」など、ブックメーカーユーザーから情報を得ていた。 |
スポーツ好きなら楽しみながら取り組める
私はサッカーが好きなので、ベットをする前にデータを分析したり、選手やチームの調子を調べる時間がとても楽しかったです。
私は浦和レッズのファンですが、他のチームの試合を見る際にはよくベットをしていました。ベットをすると、試合観戦がさらに面白くなり、まるで浦和レッズを応援しているかのように試合に熱中することができます。
ヨーロッパサッカーがあれほど熱狂的なのは、多くの人がベットを楽しんでいるからとも言われています。他のスポーツでもベットをすることで、観戦がさらに面白くなります。
ブックメーカーは、何気ないスポーツ観戦を特別なエンターテイメントに変える魅力的なツールだと思います。
ブックメーカー投資のデメリット
ブックメーカーは日本では合法ではないため法的リスクを伴ったり、勝ちすぎるとアカウントが規制されるなど、注意しなければならないポイントがあります。
特にギャンブル依存症の危険性には、著者の経験からも十分に注意が必要です。
規制がかかる
ほとんどのブックメーカーは、プレイヤーのベット履歴をチェックしており、高額なベットや勝ちすぎるプレイヤーに対しては、ベット金額の上限を設定したり、アカウントを制限することがあります。
私自身は規制された経験はありませんが、SNSなどで規制されたベッターを見ると、「500円までしかベットできない」「稼いでいた特定の項目にベットできなくなる」といったことがあるようです。
また、知人からアカウントを譲り受けるなどして、複数アカウントを運用しているベッターもいるようですが、どれだけ稼いでも最終的に規制される可能性が高いブックメーカーは、投資としては向いていないと考えます。
法的リスク
ブックメーカーは日本では合法とされておらず、海外のブックメーカーを使ったオンラインベッティングも法律上認められていないので、利用するには法的リスクがあります。
さらに、アカウントが凍結されると預けていたお金や利益が引き出せなくなったり、サービスが突然利用できなくなる可能性もあるため、ブックメーカーを投資として扱うのはリスクが高いと思います。
ブックメーカーの違法性や合法性については、以下の記事で詳しく解説しています。
大きく稼ぐには難易度が高い
私は過去に、一番大きく勝った月に、5万円の資金を1900%アップさせて100万円以上に増やしたことがあります。
しかし、これはたまたま連勝が続いて成績が良かっただけで、マイナスの月もありました。
私の場合、1.8倍〜2倍前後のオッズにベットしていたため、勝率が55.56%以上であればプラスになる計算でした。そのため、少しでもプラスを積み上げることを意識し、コツコツとベットを続けていました。
ブックメーカーは他の投資と比べて短期間で利益を出しやすい一方、勝ち負けを繰り返しながら少しずつ資金を増やしていくことになります。そのため、大きな利益を目指すのは簡単ではないと感じています。
ギャンブル依存症のリスク
私がブックメーカーにのめり込んでいった理由は、サッカーを見ながらベットすることで試合がより面白くなり、自分の好きなサッカーでお金を稼げるという楽しさがあったからです。
しかし、当時の私はギャンブル依存症に近い状態だったのだと思います。
深夜のヨーロッパサッカーにベットするために寝不足になり、仕事中も試合の動向をスマホで追い続けるなど、常にベットのことが頭にあり、生活に支障をきたしていました。
また、1ベットあたり5000円前後を賭けていましたが、負けが続いて感情的になり、1ヶ月で15万円の資金をゼロにしてしまったこともあります。
このような状況は、誰にでも起こり得ることだと思います。
ブックメーカー投資の方法・利益を出すポイント
ブックメーカーで勝つ人の特徴
- 論理的なアプローチ:期待値を計算し、選手やチームのデータ、天候、スタジアム特性など、幅広いデータを分析した上でベットを行う。
- 計画的なベッティング:長期的な視点で資金管理を徹底し、無理なベットを避ける。
- 自己ルールを守る:事前に設定したルールを厳守し、衝動的な行動を避ける。
- 感情のコントロール:損失が出ても冷静さを保ち、感情的な行動を取らない。
ブックメーカーで負ける人の特徴
- 運や直感に頼る:期待値の計算や、データの分析をせず感覚でベットを行う。
- 計画性がない:資金管理ができておらず、目先の利益ばかりを追求する。
- 感情的な行動:損失を取り返そうとして無謀な賭けを繰り返す。
どれだけ論理的に進めても負けるときは必ずあります。そのときに感情をコントロールできるかどうかが、勝つ人と負ける人の大きな分かれ目になるのだと私は思います。
リサーチと分析をする
ブックメーカー投資で利益を出すには、チームの調子、選手の状態、過去の戦績、ホームとアウェイの成績など、様々な要素を確認し、根拠のあるベットを行うことが重要です。
下記の記事では情報を集める際に役立つサイトなどを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
情報収集が活きた成功例
日本のJFLの試合で、得点王の選手が怪我をしたという情報をX(Twitter)で知りました。しかし、その情報はオッズに反映されておらず、対戦相手のチームにベットしたところ勝利することができました。
マイナーなリーグでは、重要な情報がオッズに反映されない場合もあり、情報を集めることで有利なオッズでベットできる可能性があると感じました。
情報不足が招いた失敗例
2022年3月18日、三ツ沢で開催された横浜F・マリノス対サガン鳥栖の試合。
この時点でマリノスは好調を維持しており、リーグ2位につけていました。一方の鳥栖は前節で今季初勝利を挙げたばかりで、戦前の予想ではマリノスが有利とされていました。
私もマリノスの勝利にベットしましたが、試合当日は大雨でピッチ状態が酷く、ボールが水溜りで止まるなどサッカーにならない状況でした。このようなコンディションでは実力差が影響しにくく、試合は0-0の引き分けに終わりました。
天候やピッチ状態を事前に調べていれば、この試合でマリノスにベットすることは避けていたと思います。リサーチ不足が損失の原因になることを実感しました。
収支表を付ける
私はスプレッドシートで収支表を作成し、ブックメーカーの資金管理を行っていました。収支表には以下の内容を記録していました。
- 日付、試合、ベット項目、オッズ、ベット金額、結果、利益/損失、資金
- 資金の推移を折れ線グラフで可視化。
収支表を作成したことで、以下の効果が得られました。
- 資金の推移をグラフ化した結果、勝ち負けを繰り返しながらも資金が右肩上がりで推移していることが分かり、連敗しても感情的にならずに冷静にベットを続けられるようになった。
- ベット項目を分析した結果、アジアンハンデで利益が出ていることが分かり、アジアンハンデに絞ってベットを行い、効率的に利益を得ることができた。
【収支表例】(スマホでは横にスクロールできます)
日付 | 試合 | ベット項目 | オ ッ ズ |
ベット 金額 |
結果 | 利益 損失 |
資金 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
9/1 | 浦和 vs 鹿島 | 浦和勝ち | 1.80 | ¥5,000 | 勝ち | ¥4,000 | ¥54,000 |
9/3 | ローマ vs ミラン | トータルゴール2.5以上 | 2.10 | ¥3,000 | 負け | -¥3,000 | ¥51,000 |
9/7 | リヴァプール vs マンU | アジアンハンデ -1(リヴァプール) | 1.95 | ¥8,000 | 勝ち | ¥7,600 | ¥58,600 |
9/9 | バルセロナ vs レアル・マドリード | 引き分け | 3.00 | ¥2,000 | 負け | -¥2,000 | ¥56,600 |
資金管理とメンタルコントロールを徹底する
私は収支表の作成に加えて、以下のルールを設けることで資金管理を徹底していました。
一回のベットは資金の3%以内にする | フラットベットと言われる、ブックメーカーサイトやユーザーから推奨されている手法。 |
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1日の損失額を設定し、それを超えた場合はベットを中止する | 大きな損失を防ぐための基準になる。自分で設けたルール。 |
応援しているチームにはベットをしない | 感情が入ることで冷静な判断が難しくなる。自分で設けたルール。 |
さらに、期待値を計算するための表も作成し、より合理的なベットを心がけていました。
連敗が続くと、損失を取り戻そうとして一度のベットで高額を賭けてしまうことがあります。しかし、あらかじめベット金額や損失額の上限を決めていたため、大きな損失を避けることができました。
このように資金管理を徹底することで、感情に左右されず、安定してベットを続けることができます。
資金管理の代表的な手法
資金管理の手法としては、「バンクロール管理」や「フラットベット」などがあります。これらは、カジノや投資にも応用される方法で、ブックメーカー投資にも有効です。
バンクロール管理 | ブックメーカー専用の資金を用意することで、生活費に影響を与えず運用できる。 |
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フラットベット | 一回のベット金額を総資金の1〜3%に設定し、大きな損失を防ぐ。 |
他にも多くの手法がありますが、すべてを紹介しきれないため、代表的なものを簡単にご紹介します。
マーチンゲール法 | 負けたらベット額を倍にして損失を回収する方法。ただし、連敗時に大損のリスクがある。 |
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フィボナッチ法 | フィボナッチ数列に従い、ベット額を増減して損失回収を目指す方法。 |
アンチマーチンゲール法 | 勝てばベット額を増やし、負けたら減らす方法で、連勝時に利益を最大化できる。 |
これらの手法はカジノなどにも使われるため、すべてをブックメーカー投資に当てはめるのは難しいかもしれませんが、自分に合った方法を選んで資金管理を徹底することが重要です。
低オッズにはベットしない
ブックメーカーでは、低オッズに連続してベットし、得た利益を次のベットに追加して資金を増やしていく「低オッズ転がし」という手法があります。
私もこの低オッズ転がしに挑戦したことがあります。ベット項目は「ゴール over 0.5」(両チームのどちらかが90分以内に1ゴール以上決めれば勝ち)で、オッズは1.1倍〜1.3倍の範囲でした。
試合に関するデータを分析し、ゴールが多く生まれそうな試合を選んで挑戦しましたが、10試合も続かずに負けてしまいました。
少額のベットだったため大きな損失はありませんでしたが、リスクが高いと感じ、それ以降は低オッズにはベットしていません。
また、利益を出すにはある程度まとまった資金が必要で、時間もかかるため、一度負けるとそれまでの努力が無駄になるという心理的ダメージも大きいです。
アービトラージはしない
アービトラージとは、異なるブックメーカー間で生じるオッズの差を利用し、リスクなしで利益を得る手法です。
例えば、A社ではチームAの勝利が2.1倍、B社ではチームBの勝利が2.3倍といったように、両方にベットすることでどちらが勝っても利益が出る状況を作り出します。
この方法は理論上リスクがないように思えますが、現在は多くのブックメーカーがこの行為を禁止しており、規制が非常に厳しくなっています。
アービトラージを行うと、アカウントが制限されたり、最悪の場合凍結されて資金が引き出せなくなる可能性もあるため、行わない方が良いでしょう。
安全な運用を心がけるためにも、正攻法で戦略を組み立てることが重要です。
ブックメーカー投資のコミュニティに入った感想
世の中には、ブックメーカー投資に関する有料サービスがたくさんあります。手法や予想の販売、有料のコミュニティやコンサルティングなど、その種類は様々です。
私も一度、無料の予想配信サービスに登録したことがあります。X(Twitter)でフォローしていたユーザーが始めたサービスで、無料だったため試してみることにしました。少しでも稼げることを期待しての登録でした。
予想配信サービスの詳細
- 毎週金曜と土曜の19時〜21時にLINEでヨーロッパサッカーの予想が配信される。
- 対象試合はプレミアリーグやスペインリーグなど主要リーグで、1回に5〜10試合が配信される。
- ベット内容は合計ゴール数やアジアンハンデ、両チームの得点有無など様々、具体的なベット金額の指示はなし。
- 予想の根拠はなく、内容を評価したり信頼性を確認する材料はない。
- 一方的な配信形式で、利用者が提供者とやり取りすることはできない。
- 当時は無料だったが、結果次第では有料化を検討していた可能性はある。
実際にコミュニティに入った結果
結果的に負けが続いて、配信サービスの利用をやめました。忙しいときは配信を見逃すなど、思うようにベットできなかったことを覚えています。
さらに、負けたときは、自分でベットしたときよりも悔しさやストレスが大きく、取り返そうとベットを続けて大きな損失を出してしまうこともありました。
利用した配信サービスは一つですが、長続きしているサービスは見たことがありません。また、X(Twitter)の投稿や知人の話でも、利益を得ているという声はほとんどありませんでした。
結局、他人の手法や配信に頼るのではなく、自分で勝てる力を身につける努力が重要だと感じました。その方が、ブックメーカーを楽しみながらやりがいを持って取り組めると思います。
ブックメーカー投資に向いたおすすめのブックメーカー
ほとんどのブックメーカーは、勝ちすぎるプレイヤーに対してアカウント規制を行いますが、ピナクルだけは例外です。どれだけ勝っても規制される心配がない、唯一のブックメーカーです。
私自身、ブックメーカー投資をしていて規制を受けたことはありませんが、規制の心配がないピナクルだけを使い運用していました。また、ピナクルはオッズが高く、手数料が低い点も大きな魅力です。
もしブックメーカー投資をするのであれば、ピナクル一択だと思います。
それでもブックメーカー投資はおすすめしない
もし、私が仲のいい友人に「ブックメーカー投資をやってみようと思うんだけど、実際どうなの?」と聞かれたら、私はこう答えると思います。
「ブックメーカーはギャンブルだから、投資としてはやらない方がいいよ。実際に利益を出している人はごくわずかで、大半の人が損をしているんだ。それに、ギャンブル依存症のリスクもあって、最悪の場合は今の生活を壊してしまう可能性もある。投資として考えるなら、もっと安全でリスクの少ない方法を選んだ方がいいと思うよ。」
私は最終的に、ブックメーカー投資をやめる決断をしました。利益自体はトータルでプラスでしたが、時給に換算すると高校生のアルバイトと変わらない程度の収益でした。
また、私には海外移住という夢があり、その先の人生を考えたとき、ブックメーカーに費やしている時間を英語の勉強や資格取得などの自己投資に使った方が良いと判断しました。
しかし、ブックメーカーには大きな魅力があります。私もブックメーカー投資はやめましたが、いちユーザーとして今でも楽しんでいます。
ブックメーカーを利用する際は、リスクを十分に理解した上で、ぜひ無理のない範囲で楽しんでください。