日本人がブックメーカーなどの海外ギャンブルサイトで賭けを楽しむことは違法になるのか?この記事では、日本でブックメーカーの違法性・合法性についてご紹介します。
結論を言うと、「明確に定義する法律がないためグレーゾーンではあるが、海外の合法ブックメーカーに日本人が参加することが日本で違法性に問われる可能性は限りなく0」というのが、教科書的な答えになります。
つまり単純に言うと、「日本人でも18歳以上であれば海外ブックメーカーで賭けを楽しんでも警察の取り締まり対象になることはありません」ということで間違いないです。
実際、日本にも数万人~数十万人のブックメーカーユーザー(オンラインカジノユーザー)がいる訳なので、必要以上にブックメーカーを敬遠する必要は全くないです!
日本からのブックメーカー利用の可否と違法性について
そもそも日本国内では競馬、競輪、宝くじ、totoなど国が認可した公営ギャンブルしか認められていないため、日本で認可を受けていない海外ブックメーカーギャンブルに参加することは違法性があるという意見があります。
具体的には「賭博罪」という法律(条文は記事最下部に記載)がブックメーカーと最も関連性が高いのですが、そもそも日本でこの違法賭博の刑罰が成立するのは、
- 賭博を提供する人
- 賭博に参加する人
この2者が日本国内で揃った場合だけです。つまり国に認可を受けていない違法賭博の提供者と、賭けの参加者が双方、日本国内で揃った場合にのみ違法賭博が成立します。
しかし海外ブックメーカーは自国の法律で認可を受けた海外企業のサービスです。
現在の日本の法律では、海外で合法運営されているオンラインギャンブルに、日本人が日本国内からオンラインで賭けに参加することを禁じる法律が存在しません。
日本でのブックメーカー参加がグレーゾーンと言われる理由は、オンラインギャンブルに参加しても良いとも、駄目とも一切法律で定められていないからです。
そのためオンラインカジノや海外ブックメーカーに参加する行為自体、「日本人が海外旅行に行って現地でカジノを楽しんでいる」のと同じ、それはつまり日本の法律の取り締まり対象ではないというのが現在の法解釈です。
オンライン賭博を禁止する法律があればブックメーカーを規制できる
もし日本がブックメーカー利用を制限するのであれば、アメリカやベトナム、香港、フランスのように「オンライン賭博を禁止する法律」を作ることが出来ます。
実際ブックメーカーはオンライン賭博を禁止している国ではサービスは提供しておらず、例えばウィリアムヒルでは賭博禁止国からのアクセスは禁止、アカウント登録すらできないよう制限をかけています。
ブックメーカーもその国の法律を無視して勝手に運営している訳ではなく、その国の法律を遵守した上でサービスを提供していますので、運営元が法的リスクを追うことは基本ありません。
日本でも参加者が多いウィリアムヒル社の担当者に直接、「違法性について」確認したところ、以下のような回答を頂きました。
日本ユーザーからは「違法なんですか?」と聞かれることが多いのですが、ブックメーカーを利用したことで警察のお世話になることはまずあり得ないですね。
ウィリアムヒルは英国企業なので英国の法律を守って運営しております。もしマンに一つウィリアムヒルが日本の警察や裁判所に顧客情報を出すことを求められても、それに応じず拒否することになります。
さらに賭博罪を専門に活躍されている京都グリーン法律事務所の津田岳宏弁護士も
現実問題、自宅のパソコンからこっそり海外のブックメーカーを利用しても、逮捕される可能性は限りなくゼロに近いでしょう
とコメントしており、「法律的にも問題ない」という結論で間違いないでしょう。
その証拠に、日本で数万人はいるとされるブックメーカー利用者は過去一度として逮捕されていません。
2016年のスマートライブカジノ摘発事件の概要
現在「日本からブックメーカー参加への違法性はない」という結論で間違いないのですが、こういった結論が出すにあたり重要なある事件について振り返っておきます。
2016年3月、イギリスで認可を受けていた「スマートライブカジノ」というオンラインカジノを利用者である3名が京都府警に逮捕されました。しかし裁判で争われた結果、最終的に3味は不起訴(逮捕は取り消し)処分で決着しました。
そもそもこの事件はオンラインカジノサイトは摘発せず、利用者だけを摘発しようとした点が最大矛盾となり、弁護を担当した津田岳宏弁護士によると
「本来であれば罪が重いはずの賭博側(オンラインカジノサイト)を処罰せず、罪が軽い方の参加者のみを処罰対象とするのは妥当性がない」
という主張が不起訴に繋がったと述べています。その時のことを自身のブログにて
言うまでもなく,不起訴は不処罰であり,何らの前科はつかない。平たく言うと「おとがめなし」ということだ。
と記しており、オンラインカジノ参加者が無罪になったことを強調しています。
そもそもなぜオンラインカジノ参加者が逮捕されたのか?
そもそもこの事件は、問題になったスマートライブカジノが
- 日本人による日本語のサービス提供
- ディーラーが日本人女性
- チャット機能が全て日本語
- キャンペーンや賭博イベント開催が全て日本時間
など、海外に拠点を起きながらも実質は日本人向けにサービスを提供していたことが問題視されました。
しかし日本の法律ではオンラインカジノは処罰できないので、京都府警は利用者だけを無理やり処罰しようとしたものの、最終的にその試みは失敗に終わったという訳です。
この案件が出たことにより、日本では「胴元であるブックメーカーを処罰しない限り、利用者を処罰することは難しい」という法解釈が定着。
結果ブックメーカーが現地で合法である以上、日本人参加者だけを日本国内の法律で罰することは出来なくなった訳です。
信頼できるブックメーカーを選ぶのも消費者の自己防衛策
しかもこの問題になったスマートライブカジノは、杜撰(ずさん)な経営がもとで倒産。
事件後はサイトを閉鎖、ギャンブルライセンスは剥奪、最後には顧客はおろか社員の給料も払わず計画倒産を実行するという結末を迎え、そもそも管理体制が十分でないオンラインカジノサイトだったという訳です。
私たちユーザーも余計なトラブル巻き込まれないためには、法令遵守や経営、運営体制がしっかり整っている信頼あるブックメーカーを利用することが最大の自己防衛策に繋がるという教訓を得た事件でした。
まとめ
以上のことから、私たち日本人がブックメーカーに参加しても問題ないという結論で間違いありません。
ただし、いい加減な怪しいサイトを利用すると余計なトラブルに巻き込まれる可能性があるため、利用するなら運営元がはっきりしており、信頼のおける大手ブックメーカーを選ぶことが重要です。
ブックメーカーは最低限のマナーと節度を守ってさえいれば恐れるものではありません。
スポーツベッティングはとっても楽しいものなので、必要以上に恐れることなく、ぜひ前向きに楽しんで頂きたいと思います!
ブックメーカー利用に関わる日本の法律の条文
最後に、違法賭博に関しては日本の刑法185条、186条の条文、この記事を作成する上での参考URLを記載しておきます。
賭博罪(刑法185条)
賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。
(常習賭博及び賭博場開張等図利)第186条
常習として賭博をした者は、3年以下の懲役に処する。
2 賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、3月以上5年以下の懲役に処する。
参考URL
- 五輪やノーベル賞も「賭け」の対象 「海外ブックメーカー」に日本から参加できる?|弁護士ドットコム
- 競馬ファンが注目する「凱旋門賞」 ネットで「海外馬券」を買うのは問題か?|弁護士ドットコム
- 不起訴の勝ち取りーオンラインカジノプレイヤーの件|賭博罪改正を願う弁護士津田岳宏のブログ