ブックメーカーの税金と確定申告|利益・税金・経費の計算方法 | ブクサカ

ブックメーカーの税金と確定申告|利益・税金・経費の計算方法

サッカーへの賭け方

ブックメーカーで得た利益には税金がかかります。

日本の法律では競馬やブックメーカーなどのギャンブルから生じた利益は原則一時所得に分類され、所得税の課税対象となります。

ブックメーカーの税金・確定申告事情はネットでも間違った情報を掲載しているサイトが多く、「利益と所得」を混同していたり、確定申告が必要な金額と税金がかかる金額を混同するなど不確かな情報が錯綜しています。

また申告には正しく正確な知識が必要ですし、「脱税してもバレない」など安易な考えはご法度。脱税はいずれバレますので、必ず法律に基づき適切な手順で申告を行いましょう。

この記事ではブックメーカーの税金事情と確定申告のやり方について、税理士監修のもとで記事を執筆しました。ぜひ税金申告の際にお役立てください。

【最終結論】ブックメーカーの利益には税金がかかります

海外ではブックメーカーなどのオンラインカジノで得た利益に対して非課税の国も存在します。日本では海外のスポーツブックメーカーをはじめとした

  • オンラインカジノ
  • 競馬/競艇/競輪
  • パチンコ/スロット

といった各種ギャンブルで儲けたお金に対して税金(所得税)が課せられます。海外のブックメーカーサイトも例外ではなく、ベッティングで稼いだお金は所得税として課税対象となります。

またブックメーカーの税金、確定申告事情で重要となるポイントが以下の点です。

  • ブックメーカーの利益は税金がかかる
  • ブックメーカーの利益は一時所得か雑所得に分類される
  • 会社員70万円、学生・主婦は98万円を超える利益で所得税と確定申告義務が発生
  • 会社員・パート・アルバイトの人は勤務先の給与以外の副業所得が20万円以上あれば確定申告が必要
  • 利益=勝利ベットの儲け額(負けた金額は相殺不可・計算対象外)
  • 出金しなくても税金はかかる

ポイントは会社員(サラリーマン)が利益70万円以上、学生や主婦(主婦)で利益98万円以上から税金発生と確定申告の義務が発生する点。

具体的な金額は税理士に確認を!

確定申告が必要になる具体的な金額、所得額は法律変更により異なってきますので、必ず税理士、もしくは最寄りの税務署にてご確認ください。

また確定申告は(住民税の観点から)勤務先以外で副業所得が20万円以上(経費、控除を差し引いた金額)がある人は全員必要であるということ。

またブックメーカーの利益計算は1年間のトータル損益ではなく「勝ったベット」のみを独立して課税対象としますので、「負けたベットの賭金」は計算対象外となります。

まずは概要だけ記載しましたが、各項目を詳しく解説していきます。

 

ブックメーカーで得た利益は一時所得に分類【雑所得ではない】

ギャンブル等で得た利益は原則「一時所得」に分類されます。

一時所得とは?

一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。

出典:一時所得|国税庁より

税金に詳しい人であれば、ブックメーカーの利益を事業所得か雑所得として申告できないか?と考える方もいると思いますが、残念ながら「ブックメーカーの利益は一時所得」という地裁判決が既に出ています。

スポーツベットの払戻金の所得区分で地裁判決、回収率が低く一時所得に該当

インターネットを介して行うスポーツの試合に対する賭け(スポーツベット)で得た払戻金について、課税庁が同払戻金に係る所得は一時所得に該当するとし、的中分の賭金のみを所得から控除して所得税の決定処分等を…

出典:税のしるべ電子版

事業所得、雑所得であれば経費として認められる範囲が広くなるため、税金対策の手段も広がり節税に有利なのですが、残念ながらスポーツベッティングの利益は一時所得として分類するのが慣例です。

過去、競馬のハズレ馬券を巡る裁判で「競馬の利益は雑所得に分類」という判決が出たことがありますが、この場合は20~30億円という巨額な金額を単位にしていたことで認められた例外中の例外ですので、ブックメーカーでも同様の金額でなければ雑所得に分類することは困難と言えます。

あるいは生活の糧としてメイン収入となっている(継続的に利益を出している)ような専業ベッターの場合は、雑所得として計算できる可能性がありますので、税理士・税務署に確認の上で適切に申告する必要があります。

とは言えブックメーカーをプレイしている方の大半は娯楽で行っている個人の方だと思いますので、一般的には「ブックメーカーの利益は一時所得」として申告することになります。

 

ブックメーカーの利益にかかる税金の計算方法

ブックメーカーで得た利益の所得税の課税対象額は、以下の計算式で求められます。

一時所得=(利益 – 特別控除50万円)÷ 2

所得税額=一時所得 × 所得税率 – 控除額

一時所得には50万円の特別控除額が設けられています。

「利益」の計算方法については後述しますが、ブックメーカーで勝利して得た利益金額のことを指し、負けた金額(負けたベッティングの賭金)は経費として認められません。

一時所得を算出したら、ブックメーカーの利益以外でもらっている給与などの所得と合算。合算金額に以下の所得税率を掛け、最後に以下の控除額を差し引いて納税する金額を算出します。

  • 所得税額=合算所得額×所得税率-控除額
課税対象の所得額 税率 控除額
1,000円~1,949,000円 5% 0円
1,950,000円~3,299,000円 10% 97,500円
3,300,000円~6,949,000円 20% 427,500円
6,950,000円~8,999,000円 23% 636,000円
9,000,000円~17,999,000円 33% 1,536,000円
18,000,000円~39,999,000円 40% 2,796,000円
40,000,000円~ 44% 4,796,000円

所得税は、個人の所得に対してかかる税金で、1年間の全ての所得金額から各種所得控除の額の合計額を差し引いた残りの課税所得金額に税率を適用し税額を計算します。

出典:所得税のしくみ|国税庁より

 

ブックメーカーで得た利益の計算方法

税務署に申告する「ブックメーカーで得た利益」には、「損失額」は含みません。

例えば1年間ブックメーカーでプレイし、100万円分を勝利。しかし150万円の損失も出してしまい、最終的にトータル損益が-50万円(50万円の赤字)だったとします。

1年間のブックメーカー損益
勝利金
(=的中時の払戻金-賭金)
100万円
損失金
(=未的中の賭金)
-150万円
トータル損益 -50万円(赤字)

 

上の場合、「1年間プレイしてトータル50万円の赤字なら利益は出ていない。つまり税金を払う必要はない」と考えがちですが、実はそうではありません。

ブックメーカーの利益(一時所得)は上の表でいう「100万円」。つまり損失額は計算に含まれず、損益も無視。勝利した100万円に対してのみ税金を掛ける訳です。

1年間のブックメーカー損益
勝利ベット
(=払戻金-賭金)
100万円
※これに課税される
敗北ベット
(=失った賭金)
-150万円
※ここは無関係
トータル損益 -50万円(赤字)
※ここは無関係

「トータルで負けているから税金は無関係」ではなく、「勝った金額単体に税金を掛ける」ため、トータルの損益が赤字だろうが、的中時の払い戻し金額が一定以上あれば税金がかかります。

負けた金額は利益として一切考慮されないので、損益の相殺もできません。

つまりトータル1,000万円の赤字でも、的中ベットの利益(=払戻金 – 賭金)が500万円あるなら、500万円に対して税金がかかる訳です。トータル赤字でも的中ベットがあるなら、それ単体で税金を払うのがルールです。

また日本円ではなくユーロや米ドルなど外貨でベットしている場合は、利益確定時のレートで換算し、確定申告をする必要があります。そして対象期間は毎年1月1日~12月31日の1年間。この期間内にブックメーカーで得た利益を集計して確定申告を行います。

 

認められる経費について

ブックメーカーの利益として分類される一時所得は経費計上の範囲が非常に狭く、認められる経費は「勝利したベットの賭金」ぐらい。さらに前述の通り「負けたベットの賭金」も経費として計上できません。

雑所得であればベッティングに使用したパソコン、スマートフォンの購入費、インターネット通信費、情報収集に使用した新聞図書費などが認められますが、一時所得の場合は経費として計上できません。

いままで述べてきた、一時所得は経費計上の範囲が狭いという意味が理解できたかと思います。

 

会社員(サラリーマン)の確定申告と税金発生ライン

ブックメーカーで得た年間利益(勝利ベットの利益)が70万円を超えると所得税が発生し、確定申告も必要です。

その他、勤務先の給与、退職金以外の所得(ブックメーカーの一時所得=(利益 – 特別控除50万円)÷ 2、それ以外の副業所得)の合算が20万円以上ある人も、別途、確定申告が必要です。

ちなみに、確定申告時に住民税の納税方法を「普通徴収」にすると、ブックメーカーで収入を得ている事実を会社にバレずに処理することができます。

 

学生・主婦・主夫などの確定申告と税金発生ライン

ブックメーカーで得た利益が年間98万円以下なら確定申告不要、税金も発生しません。98万円を超える年間利益がある場合は、確定申告が必要で、税金も発生します。

98万円の内訳は一時所得の特別控除50万円+基礎控除48万円です。

ただし利益計算は年間トータルで算出せず、「年間利益=的中時の払い戻し金額 – 賭金」で算出しますので、くれぐれもご注意ください。

ただしアルバイト・パート収入がある方は、サラリーマンと同じく勤務先の給与以外で得た所得(ブックメーカーで得た一時所得=(利益 – 特別控除50万円)÷ 2、その他の所得の合算)が20万円を超えると確定申告が必要です。

 

扶養について

親や配偶者の扶養に入っている場合、扶養範囲内の所得48万円を超えると扶養を外れます。所得48万円をブックメーカー利益に置き換えた場合の計算式がこちら。

  • 所得48万円=(年間利益 – 特別控除50万円)÷ 2

ブックメーカー以外にアルバイトやパート収入がある場合は、以下の計算式となります。

ブックメーカーによる一時所得+給与所得=48万円以下?以上?

  • ブックメーカーによる一時所得=(年間利益 – 特別控除50万円)÷ 2
  • 給与所得=(給与収入-給与所得控除55万円)

この計算式で算出された所得が48万円以下であれば扶養を外れることはありません。

アルバイトやパート収入にブックメーカーの所得が加わり、いつの間にか所得制限を超えて扶養から外れてしまったということのないように気をつけておきましょう。

 

ブックメーカーで得た利益の確定申告のやり方

確定申告の仕方

確定申告は毎年2月16日から3月15日までの間に行います。大まかなの手順は、以下の通り。

  1. 前年1月1日〜12月31日の収支を計算
  2. 国税庁のHPの確定申告書作成コーナーで書類を作成
  3. e-Taxを利用しデータを送信、または印刷して捺印の上、窓口持参、郵送

確定申告書の作成は、国税庁HPの「確定申告書作成コーナー」が便利です。指示通りに進めることで誰でも簡単に確定申告書を作成できます。

また確定申告書の提出方法は、以下3つの方法から選択できます。

  • 窓口へ持参
  • 郵送
  • e-Taxでデータ送信

確定申告書の提出が完了後、納税が必要な方には納税書が送られてきます。納税方法は

  • 口座振替
  • 現金納付
  • e-Taxで納付

この3パターン。このうち「口座振替」は申告期限までに、申告書と一緒に「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」を提出した場合に限り利用可能です。

また「還付」を受ける場合は申告書に記載した預貯金口座に還付金が自動的に振り込まれます。その他、確定申告の詳しい方法に関しては、国税庁HPを参考になさってください。

 

ブックメーカーと税金に関するよくある質問

ブックメーカーの税金でよくある質問

ブックメーカーで得た利益にかかる税金の質問や悩みはとても多いですが、その中でも特に多かった質問だけに絞って回答します。

 

Q.国内銀行に出金時に課税される?ペイズから出金しなければ課税対象外か?

違います。

ブックメーカーのアカウントにある残高も課税対象であり、勝利ベット確定時に課税対象になります。従って「国内銀行に出金しなければ課税されない」は誤りです。

よく「ブックメーカーやエコペイズのアカウントは税務署も調べられないので、国内銀行に出金しなければ課税されない」という情報を記載しているサイトもありますが、これは誤りです。出金するかどうかに関わらず、ベット勝利時(利益確定時)に課税対象となります。

 

Q.住民税が上がるなどして会社に知られない?

「ブックメーカーで収入を得ていることを周囲に知られたくない」という方は、「住民税を自分で納付する」という対応策があります。通常、会社員の方の住民税は給与から天引きされています。この徴収方法を特別徴収といいます。

ブックメーカーで得た所得分の住民税を「特別徴収」にすると、通常通り給与から天引きとなるため、勤務先にその情報が伝わることになります。

しかし確定申告時に「自分で納付する(普通徴収)」を選択することで、追加分の住民税の納付を勤務先に知らせることなく済ますことができます。

 

Q.ブックメーカーの収入を雑所得に計上できる?

基本的にブックメーカーやスポーツベッティングの利益は一時所得として処理されます。雑所得として処理できるケースは、レア中のレア。

雑所得とは、下記に該当しない所得を指します。

・利子所得
・配当所得
・不動産所得
・事業所得
・給与所得
・退職所得
・山林所得
・譲渡所得及び一時所得

参考:国税庁HP(雑所得)

身近なものでいえば、「公的年金」や「副業にかかわる所得(原稿料やシェアリングエコノミーにかかわる所得など)」、「FXや暗号資産(仮想通貨)取引による収入」が雑所得となります。

ギャンブルで得た利益を雑所得として申告するメリットは「損失額を必要経費に算入できる点」です。

実際に過去、競馬の馬券払戻金が一時所得と雑所得のいずれに該当するかが争われていた裁判において、馬券購入の状況などから雑所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費に該当するという判決がなされたことがありました。

参考:国税庁HP>競馬の馬券の払戻金に係る課税について

しかし、これはあくまで例外です。前述の通りブックメーカーで得た利益は原則「一時所得」に該当し、損失額は必要経費にはなりません。

それでも、もしブックメーカーで得た利益を「雑所得で申告したい」のであれば、購入の期間、回数、頻度、その他の細かい事柄を記録し、その収益を生活の糧としている、メイン事業として安定的な収益が出ていることを証明できる記録を用意しておくこと。

さらに顧問税理士のアドバイスも受けること。一時所得か雑所得かは、それらの記録や様々な状況を考慮して総合的に判断されます。税務署の方が判断しやすいように材料を準備しておくことが大切です。

 

ブックメーカーで得た利益にかかる税金まとめ

ブックメーカーの税金、確定申告事情で重要となるポイントは以下の通り。

  • ブックメーカーの利益は税金がかかる
  • ブックメーカーの利益は一時所得に分類される
  • 会社員70万円、学生・主婦は98万円を超える利益で所得税と確定申告義務が発生
  • 会社員・パート・アルバイトの人は勤務先の給与以外に20万円以上の所得があれば確定申告が必要
  • 利益=勝利ベットの儲け額(負けた金額は相殺不可・計算対象外)
  • 出金しなくても税金はかかる

ブックメーカーを利用する際は、やり方を覚えることだけに注力するのではなく、利益が出たときの税金についてもしっかりと抑えておくこと。

申告漏れは「うっかり」では済まされません。税務周りもきちんと処理して、ブックメーカーを楽しみましょう。

 

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