【内藤秀明】22-23最終盤 プレミアリーグ優勝予想オッズと展望 | ブクサカ

【内藤秀明】22-23最終盤 プレミアリーグ優勝予想オッズと展望

プレミアパブ・内藤秀明さんによるプレミアリーグ優勝予想オッズ記事のアイキャッチ画像
イングランド

今季のプレミアリーグが、いよいよ終盤に差し掛かっています。

優勝争い、UEFAチャンピオンズリーグ出場権争い、そしてクラブの命運を掛けた残留争い、どれも最高の盛り上がりです。最後に成功を掴むのはいったいどのクラブになるのでしょうか。今回も、サッカーライターで「プレミアパブ」代表の内藤秀明氏に展望してもらいました。

内藤秀明

1990年生まれ。大阪府箕面市出身。大学時代に1年間イギリスに留学し、FAコーチングライセンスを取得。現在はプレミアリーグを語るコミュニティ「プレミアパブ」代表としてイベントの企画運営や司会を行ってるほか、サッカーライター、Winner’s戦術分析官など、様々な活動をしている。

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海外ブックメーカー発表/プレミアリーグ優勝オッズ

WilliamHill(ウィリアムヒル)のロゴ

ウィリアムヒル社から発表されているプレミアリーグの優勝オッズはこちらです。

チーム名 オッズ(開幕時)
マンチェスター・C 1.40倍(1.61倍)
アーセナル 2.75倍(41.00倍)
ニューカッスル 251.00倍(81.00倍)
マンチェスター・U 251.00倍(26.00倍)

※オッズは2023年4月20日時点のWilliamHill公式サイトから引用。現在の優勝オッズも公式サイト(プレミアリーグ 2022/23 – 優勝)にて閲覧できます。

 

タイトルレースの行方は?

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現在プレミアリーグでは、アーセナルとマンチェスター・Cの2チームがタイトルレースを繰り広げています。

アーセナルは勝点75(32試合消化時点)の首位に位置しており、それを勝点70(30試合消化時点)のシティが追いかけるといった状況。3位のマンチェスター・Uは勝点59(30試合消化時点)と差が開いており、アーセナルとシティのどちらかが栄冠を手にするのは確定的です。

優勝オッズを見ると、シティが1.40倍、アーセナルが2.75倍となっており、未消化の試合を残すシティがやや有利と見られています。

 

抜群の安定感を誇った前半戦から一転、首位陥落の危機に追い込まれたアーセナル

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アーセナルは今季、スペイン人監督ミケル・アルテタによって4年の歳月をかけて作り上げられたサッカーが花開きました。

正確なパスワークで敵陣に侵入し、そこからイングランド代表FWブカヨ・サカや、ノルウェー代表MFマルティン・ウーデゴールを中心とした攻撃陣がゴールを強襲する攻撃は破壊力抜群。ボールを失うと素早くプレスをかけて相手の自由を奪い、突破されたとしてもブラジル代表DFガブリエウ・マガリャインスを中心とした守備陣が立ちふさがる。

このように高いクオリティを備えたチームは抜群の安定感で勝点を積み重ね、首位に君臨し続けています。

また1月の移籍市場では、複数人の選手を補強してスカッドの強化に成功し、優勝に向けて順調な道のりを歩んでいました。

しかし、4月に入るとDFラインの負傷離脱が重なり、3試合連続で引き分けを記録。その間にシティに勝点5差まで迫られ、2試合の未消化分の結果次第では首位陥落もあり得る危機的状況に追い込まれました。

さらに、その内の1試合はシティとの直接対決(※)でしたが、アーセナルは今季シティに公式戦2連敗中と苦戦を強いられています。今回の試合でも負けるようであれば、優勝の可能性はかなり低くなってしまうでしょう。

※ ブクサカ編集部注

記事執筆後の4/27に行われた、マンチェスターシティとアーセナルの直接対決は4-1でシティが勝利し、シティが暫定首位に躍り出ました。

実際に優勝オッズも2位の2.75倍と、現状不利と見られています。この状況を打破するためにも直接対決に勝利し、ラストスパートを掛けていきたいところです。

 

ただいま絶好調。逆転優勝に向けて歩みを進めるマンチェスター・C

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ここ数年のマンチェスター・Cは、プレミアリーグを支配しています。その要因は、スペイン人指揮官ジョゼップ・グアルディオラが完成させたポゼッションサッカーです。

それに今季は世界最高峰のストライカーと言われる、ノルウェー代表FWアーリング・ハーランドを融合させました。ハーランドは即座にチームに適応し、28試合で32得点という異次元のペースで得点を量産し、チームに勝利をもたらしています。

またペップは、ポルトガル代表MFベルナルド・シウバのSB起用やイングランド代表DFジョン・ストーンズのボランチ起用といった新たな試みも行い、確実にチームを強化することに成功。現在、リーグ戦は6連勝中と、今まさに絶好調です。

順位表では首位のアーセナルと勝点5差の2位に位置しているものの、2試合消化が少ないといったアドバンテージがあります。

前述したように、その内の1試合が今季2連勝中の直接対決というのも、シティにとっては追い風です。優勝オッズは1位の1.40倍と優勝の最有力候補として見られており、逆転優勝に向けて舞台は整っていると言えるでしょう。

 

トップ4で終了オッズ/2枠を6チームで争う激しさ。あの日本人選手所属クラブも参戦

プレミアリーグのトップ4で終了オッズは、以下となります。

チーム名 オッズ(開幕時)
マンチェスター・U 1.14倍
ニューカッスル 1.33倍
ブライトン 5.00倍
リヴァプール 6.00倍
トッテナム 8.00倍
アストンヴィラ 26.00倍

※オッズは2023年4月20日時点のWilliamHill公式サイトから引用。現在のオッズは公式サイト(プレミアリーグ 2022/23 – トップ4で終了)にて閲覧できます。

トップ4争いは、アーセナルとシティの2チームが確定というオッズです。

残った3位、4位の座をマンチェスター・U、トッテナム、リヴァプール、ニューカッスル、ブライトン、アストンヴィラの6チームが争う大激戦となっています。

トップ4争いに参加する6チームの中でのオッズは、ユナイテッドが1位の1.14倍。それにニューカッスルの1.33倍、ブライトンの5.00倍。リヴァプールの6.00倍、トッテナムの8.00倍、アストンヴィラの27.00倍が続きます。

 

全体的に苦戦中のビッグ6

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CL争いの観点だと、マンチェスター・Uは比較的余裕があります。今季は、オランダ人指揮官エリック・テン・ハフの下で、ハイプレスとポゼッションを軸にしたサッカーを展開しています。

現状は勝点59の4位(30試合消化時点)。オッズ上では6チーム中1位の1.14倍と、トップ4入りの最有力候補と見られています。

一方で不安要素もあります。CBのレギュラーだったアルゼンチン代表DFリサンドロ・マルティネスと、フランス代表DFラファエル・ヴァランが同時に負傷離脱してしまったのです。DFの要二人を欠いたチームが安定感を失い、勝ち点を落としていく可能性はあるでしょう。

実際にヨーロッパリーグではCBのミスもあり、セビージャに敗北してしまいました。ユナイテッドがトップ4でシーズンを終えるには、控えのDF達の奮起が不可欠です。

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トッテナムは予想外に苦しいシーズンを過ごしています。イタリア人の名将アントニオ・コンテに率いられたチームは、開幕前は優勝争いに参戦するとの声もありました。

しかし蓋を空けてみると、主力選手の不調や怪我による攻撃力不足や、不安定な守備、補強選手の苦戦など問題点が山積みに。それによりかなりの頻度で勝点を落としてしまいました。

こうした状況に堪忍袋の緒が切れたコンテは、フロントを直接批判。選手とも衝突し、3月下旬にクラブを去っていきました。

後任にはアシスタントコーチのイタリア人クリスティアン・ステッリーニが就任。それでもチーム状況は上向かず、ステッリーニは早くも退任してしまうことに。オッズ上でも5位の8.00倍となっており、ここからの巻き返しは難しいかもしれません。

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リヴァプールも苦しんでいるチームの一つです。

ドイツ人指揮官ユルゲン・クロップの下で、ここ数年成功を収めてきましたが、今季は開幕から大苦戦。長期政権故のマンネリや、多くの負傷者の存在に加え、退団したセネガル代表FWサディオ・マネの穴を埋める選手の不在などいくつかの要因が重なっています。

トップ4入りのオッズ上でも4位の6.00倍となっており、ここからの逆転はやや難しいとの評価を受けています。

ただし、ポジティブな要素もあります。ポルトガル代表FWディエゴ・ジョタやコロンビア代表FWルイス・ディアスといった負傷者の復帰は朗報です。彼らがトップフォームを取り戻せれば、これから連勝を記録し、トップ4に滑り込むことも不可能ではありません。

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最後にチェルシーです。チェルシーは開幕早々にドイツ人指揮官トーマス・トゥヘルを解任し、イングランド人指揮官グレアム・ポッターを招聘しました。

しかしポッターはチームの掌握に失敗し、チームは低空飛行を続けます。1月には異例の大補強を敢行したものの、結果には繋がらず、最終的にクラブはポッターを解任。後任には2度目の登板となるクラブレジェンドのイングランド人指揮官フランク・ランパードを招聘しましたが、チームの状況が上向く素振りは見えません。

トップ4入りのオッズ上にもチェルシーの名前はなく、既にトップ4争いから脱落してしまったと言えるでしょう。

 

ビッグ6を脅かす新興勢力

ニューカッスルは昨季途中に、サウジアラビアの投資ファンドによって買収されました。それによって得た巨額の資金を基に、ブラジル代表MFブルーノ・ギマラインスを始めとした多くの実力者を獲得。さらにイングランド人指揮官エディー・ハウの下で、選手がハードワークを怠らないインテンシティの高いサッカーを構築しました。

その結果、今季は開幕から安定して勝点を積み重ね、勝点59の3位(31試合消化時点)という躍進を見せています。3月から4月にかけてリーグ戦5連勝を記録するなど、直近のチーム状況も良好です。

トップ4入りのオッズ上でも2位の1.33倍となっており、20年ぶりのチャンピオンズリーグ出場が目の前に迫っています。賭ける上でもニューカッスルは安牌な選択肢となるでしょう。

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日本代表FW三笘薫が所属するブライトンは、今季のプレミアリーグで最大のサプライズと言っても過言ではありません。

開幕直後には近年のクラブを支えたグレアム・ポッターがチェルシーに引き抜かれるも、すぐさまイタリア人指揮官ロベルト・デ・ゼルビを招聘。デ・ゼルビは相手を自陣に引き込み、それによって空いたスペースを強襲するスタイルを構築しました。

これによりブライトンはプレミアリーグで最も洗練されたポゼッションを行うチームへと進化し、勝点を急速に伸ばしました。また三笘薫の存在もブライトンの躍進に一役買っています。

三笘はデ・ゼルビ体制で左ウイングのレギュラーを確保。ボールを持てば得意のドリブルで相手を突破し、ボールがない時は素晴らしいフリーランで裏のスペースを攻撃します。

その活躍は数字にも表れ、リーグ戦24試合で7得点4アシストという成績を残しています。現状は勝点49の8位(29試合消化時点)。トップ4入りのオッズ上では3位の5.00倍とやや不利な立ち位置と見られていますが、ここから更に調子を上げられれば、逆転でのトップ4入りは不可能ではありません。ロマンを追い求めるなら、ブライトンに賭けるのも悪くはありません。

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アストンヴィラは、監督交代をきっかけに調子を上げています。

昨季途中に就任したイングランド人指揮官スティーブン・ジェラードの下で、欧州カップ戦出場を目標にシーズンに臨みました。

しかしジェラードは、チームの最適な形を見つけられず、昨年10月に解任。クラブはスペイン人指揮官ウナイ・エメリを招聘しました。

エメリの手によって明確なゲームプランが授けられ、イングランド代表FWオリー・ワトキンスら複数の主力選手が復活。これによって生まれ変わったヴィラは調子を上げ、3月から4月にかけてリーグ戦6連勝を記録し、欧州カップ戦出場権争いに復帰しました。

現状は勝点51の6位(32試合消化時点)。トップ4入りのオッズ上でも6位の27.00倍とトップ4入りは厳しい立場です。とはいえ直近の調子をキープできれば、他のチームの結果次第で滑り込む可能性は0ではないでしょう。

 

大混戦の様相を呈する残留争い

現在の降格オッズはこちらです。

チーム名 オッズ(開幕時)
サウサンプトン 1.05倍
ノッティンガム・フォレスト 1.25倍
レスター 1.80倍
エヴァートン 2.10倍
リーズ 3.50倍
ボーンマス 17.00倍
ウェストハム 17.00倍
ウォルバーハンプトン 29.00倍
クリスタル・パレス 251.00倍
チェルシー 251.00倍

※オッズは2023年4月20日時点のWilliamHill公式サイトから引用。現在のオッズは公式サイト(プレミアリーグ 2022/23 – 降格)にて閲覧できます。

残留争いも大詰めを迎えています。数ヶ月前のボトムハーフのほとんどが残留争いに巻き込まれる異常事態から状況は変化し、現在は16位〜20位の5チーム(リーズ、レスター、エヴァートン、ノッティンガム・フォレスト、サウサンプトン)が残留争いに巻き込まれている状況です。

 

昨季の欧州カップ戦出場クラブも名を連ねる異常事態。生き残るのはどのクラブ?

降格の可能性が最も高いのが最下位のサウサンプトンです。

スカッドのバランスの悪さやオーストリア人指揮官ラルフ・ハーゼンヒュットル体制のマンネリにより、今季は開幕から低迷。監督交代や1月の移籍市場での積極補強で立て直しを図ろうとしましたが、それも効果を発揮せず、降格圏に沈み続けています。

降格オッズ1.05倍は、5チーム中1位の数字です。

またノッティンガム・フォレストも厳しい状況に追い込まれています。今季は夏と冬の移籍市場で合計30人の選手を獲得し、プレミアリーグでも通用する戦力を揃えたように見えました。

しかしチームの形が定めるまでに時間がかかりすぎたことや、度重なる負傷によってベストメンバーが組めないといった問題の解決に苦心し、32試合消化時点で勝点27の19位に沈んでいます。降格オッズは2位の1.25倍で、このままでは降格してしまう可能性が高そうです。ただ上記の2チームはオッズが微妙なところで、どうせなら小穴を狙いたいところです。

 

ラストの1枠を争うのが、エヴァートン、レスター、リーズの3チーム

エヴァートンは古豪ですが、現時点での順位は勝点28の18位(32試合消化時点)と降格圏に低迷しています。

1月にはイングランド人指揮官ショーン・ダイチを招聘しましたが、なかなか状況は上向いていません。とはいえ能力の高い選手は揃っており、ダイチのバーンリーを何度も残留させた手腕を鑑みると、ここから調子を上げてくる可能性は十分にあります。実際に降格オッズも4位の2.10倍となっており、個人的には降格ベットをお勧めできないチームです。

レスターは昨季欧州カップ戦に出場しましたが、今季は財政難によって夏の補強が難航したことや、主力選手の不調が重なったため低迷しています。

現状はエヴァートンと同じ勝点28(32試合消化時点)。得失点差で辛うじて残留圏内をキープしているものの、今後行われるリーズ、エヴァートンとの直接対決の結果次第では一気に厳しい状況に追い込まれるかもしれません。降格オッズは3位の1.80倍となっており、3チームの中では最も降格する可能性が高いと見られています。

リーズもまた厳しい状況にあります。今季はアメリカ人指揮官ジェシー・マーシュの下で、ハイプレスを武器としたスタイルに取り組むも、開幕から低迷。2月にはマーシュを解任し、スペイン人指揮官ハビ・グラシアを招聘して立て直しを図りました。

それでもチーム状況に改善の兆しはありません。順位は3チーム中トップの勝点29(32試合消化時点)ですが、直近は大量失点での敗戦も多く、チーム状況は最悪と言えます。

正直、リーズとレスターを比較すると、状況の悪さはほぼ変わりません。にもかかわらず、リーズの降格オッズは比較的高い5位の3.40倍となっています。ベッティングという観点でいうと、狙い目のチームかもしれません。恨みがあるわけではありませんが、筆者ならここを買います。

 

プレミアリーグも終わりが近づき、優勝争い、トップ4争い、残留争いのどれも激しさを増してきました。

この記事で紹介した各チームの状況とオッズを参考に、皆さんも今季のプレミアリーグの結末について予想してみてはいかがでしょうか。

内藤秀明

1990年生まれ。大阪府箕面市出身。大学時代に1年間イギリスに留学し、FAコーチングライセンスを取得。現在はプレミアリーグを語るコミュニティ「プレミアパブ」代表としてイベントの企画運営や司会を行ってるほか、サッカーライター、Winner’s戦術分析官など、様々な活動をしている。

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