23-24 ラ・リーガ後半戦:優勝予想オッズと展望|海外ブックメーカー発表 | ブクサカ

23-24 ラ・リーガ後半戦:優勝予想オッズと展望|海外ブックメーカー発表

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スペイン

2023-24シーズンのスペイン・ラ・リーガは、第29節までを終えてレアル・マドリードが首位に立っています。今季のこれまでと今後の優勝争いについて、サッカージャーナリストの小澤一郎氏に展望してもらいました。

小澤一郎

1977年、京都府生まれ。サッカージャーナリスト。早稲田大学教育学部卒業後、社会人経験を経て渡西。バレンシアで5年間活動し、2010年に帰国。日本とスペインで育成年代の指導経験あり。ラ・リーガ解説、La Liga Freaks(DAZN)、Foot!(J SPORTS)の出演。著書17冊(訳構成書含む)。二児の父・パパコーチ。YouTube「Periodista」チャンネル運営。(株)アレナトーレ所属。

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海外ブックメーカー発表/ラ・リーガ優勝オッズ

WilliamHill(ウィリアムヒル)のロゴ

イギリス大手スポーツブックメーカー、ウィリアムヒル社から発表されているラ・リーガの優勝オッズがこちらです。

 順 チーム名(勝点) オッズ
1 レアル・マドリード(72) 1.02倍
2 バルセロナ(64) 17.00倍
3 ジローナ(62) 151.00倍
4 アトレティコ・マドリード(55) 1001.00倍

※オッズは2024年3月22日時点のWilliamHill公式サイト(リーガ・エスパニョーラ – 優勝 2023/24)から引用

 

「優勝争い」はほぼ消滅 レアル・マドリードで決まり?

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チャンピオンズリーグのベスト8にレアル・マドリード、バルセロナ、アトレティコ・マドリードの最多3チームが残ったことで、欧州におけるスペインのラ・リーガの競争力の高さが再認識されました。

特に、4年ぶりにCL8強入りを果たしたバルセロナは欧州での復権を示し、チーム完成度で見れば欧州NO.1のインテルを破って勝ち上がったアトレティコは底力を見せました。

ただ、国内のラ・リーガに目を移すと優勝争い自体が事実上消滅しています。それほどにレアル・マドリードが持続的強さを誇示しており、当然ながら「1.02倍」というオッズにも反映されている状況です。

今回のオッズは第29節終了後の3月22日時点のものですが、その節でもレアル・マドリードは敵地でオサスナに順当な勝利を収めました。第29節はバルセロナが今季のリーグ戦でホーム無敗だったアトレティコ・マドリード相手に敵地で勝利を収め、単独での2位浮上を果たしています。

しかし、原稿執筆時点で残り9試合となったラ・リーガにおいて、バルサがレアル・マドリードと優勝争いを演じることができるかと言われると「それはない」と即答せざるを得ません。

よって、バルサの優勝オッズ「17.00倍」は、奇跡を信じるためのおまじない代の類に分類されるでしょう。

4月にはレアル・マドリードのホームでのエル・クラシコが控えており、そこでバルサが勝てばもちろん「優勝争い」なる言葉自体は再び踊り始めると思いますが、現時点での勝ち点差は8。直接対決が残っているとはいえ、今季まだ1敗しかしていないレアル・マドリードが残り9試合で3敗すると同時に、好不調の波が激しいバルサが残り全勝して奇跡の大逆転優勝を成し遂げるシナリオは、誰も描けません。

 

離脱者も乗り越える高クオリティのレアル・マドリード

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あらためて、上位陣のチーム状況を整理しましょう。

まずは首位を独走するレアル・マドリードは、CLにおいては準々決勝でディフェンディングチャンピオンのマンチェスター・シティとの対戦が決まっており、そこで敗退することになれば「クライシス(危機)」が叫ばれることもありそうですが、国内のラ・リーガにおいては問題なさそうです。

シーズン開幕時期に守護神クルトワ、守備の要であるミリトンを大怪我(膝の前十字靭帯断裂)で欠いたことで守備力の低下、特にCBの駒不足が懸念されましたが、アンチェロッティ監督の見事なやりくりであっさりと乗り越えてしまいました。

年末にアラバまでもが長期離脱をしたことで、今のチームにはリュディガー、ナチョのCB2枚しかいない現状ですが、本職がピボーテのチュアメニのコンバートが、国内の戦いにおいては逆にプラスに働いています。

第29節のオサスナ戦でもチュアメニはCBを務め、72分にナチョが入ってくるまでDFリーダーとして安定感溢れるプレーを披露しています。

クルトワ不在のGK問題も、開幕後に合わせてチェルシーからスペイン代表のケパをローンで獲得し、しばらくはケパの先発が続きましたが、今季はルニンの成長と安定が凄まじいレベルで、今や正守護神の序列は完全にルニンとなっています。

3月後半に実戦復帰が予定されていたクルトワが、3月中旬に前十字靭帯断裂とは逆に右膝半月板断裂の負傷を負ってしまったことで今季絶望が確定し、ルニンが今後もゴールマウスを守ることになりますが、不安がないどころか劣勢の状況や決定機をパラドン(ビッグセーブ)で救ってくれる安心感があります。

 

充実の中盤

中盤の選手層に関しては今季一貫して厚みがあり、怪我人もほとんど出ていません。だからこそ、今季は「モドリッチ問題」が終始取りざたされており、38歳の今でも衰えを見せない彼ではありますが、現状では今季限りでの契約満了、退団が既定路線となっています。

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一方で同じく大ベテランのクロースは絶好調を維持しており、現地メディアからは「キャリアハイ」のパフォーマンス評価も受けています。その充実ぶりもあって今夏彼の母国であるドイツで開催されるEUROに向けてドイツ代表復帰を宣言し、実際に3月の代表ウィークで代表復帰を果たしています。

休み知らず、疲れ知らずのバルベルデのフル稼働ぶりも異次元レベルで、アンチェロッティ監督からすれば中盤の枚数が3枚であれ4枚であれ、クロースとバルベルデの枠は用意しておかなければいけません。

だからこそ、モドリッチのみならずチュアメニ、カマヴィンガも常時スタメンを張ることはできません。

そして、何と言っても今季のレアル・マドリードの象徴であり新たなアイコンとなったベリンガムが、肩や足首の怪我で戦列を離れたことはあったものの、抜群の安定感と異次元のハイパフォーマンスでチームを牽引しています。

 

そしてヴィニシウスが牽引する前線

前線でもここに来てヴィニシウスのFWとしての動きと決定力のレベルが上がっており、ロドリゴのスランプが不安材料として顕在化していません。

前線の控えにはホセル、ブライム・ディアスがおり、出番をもらった時にはしっかりと仕事をしている。ここに来て少しずつ出場時間を伸ばすトルコの逸材、アルダ・ギュレルについてもチームに新たな風を吹き込んでいます。

このように選手個々のレベルとクオリティに疑いの余地がなく、アンチェロッティ監督の采配や戦術もラ・リーガの戦いにおいては全く不具合が出ていません。

これだけの戦力と戦術を持った状態で、2位との勝ち点差が残り9試合で8もあるとなれば、どう考えても「優勝は決まり」と言わざるを得ないでしょう。

 

ベテランと若手が融合するバルセロナ

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では、不調に陥るジローナを抜いて2位に立ったバルセロナのチーム状況を整理しましょう。まずは1月末にチャビ監督が今季限りでの退任を電撃発表したこと、4年ぶりにCLベスト8進出を果たしたことでチームの結束自体は高まっています。

特にレヴァンドフスキが調子を取り戻しており、第29節のアトレティコ・マドリード戦でも全3ゴールに絡む1得点2アシストを記録しています。

2月に入り、ゴールマウスにも背中の手術で3ヶ月近く離脱をしていたテア・シュテーゲンが戻ってきました。これで昨季ラ・リーガ制覇の立役者であり、サッカーにおいて最も重要なエリア内で「ゴールを守る」、「ゴールを奪う」仕事のできる絶対的2選手がそれぞれいい状態で揃いました。

中盤では昨年秋に今季絶望の大怪我を負ったガビ以外にも、2月にフレンキー・デ・ヨングとペドリの主力2選手が負傷離脱したものの、開幕からフル稼働のギュンドアンが絶対的な存在感を誇示し続けており、フェルミンの台頭とクリステンセンのピボーテ・コンバートもあって大きな戦力ダウンを見せていません。

また、年明け以降はラミン・ヤマルの成長が加速しており、もはや彼なしでの右サイドは考えられないほどのレベルに到達しつつあります。年齢的にはまだ16歳ながら、彼にボールが渡れば必ずゴールの匂いがするプレーが生まれる。ここに来てこれまで苦手に見えた当たりの強さ、守備局面でのボール奪取力なども出てきており、本当に末恐ろしいプレーを毎試合披露しています。

ディフェンスラインでは、ヤマルと同じ2007年生まれで、すでに17歳の誕生日を迎えているパウ・クバルシが彗星のごとく出現しました。

昨年末のコパ・デル・レイの試合でトップデビューは果たしていましたが、3月はナポリとのCLラウンド16第2戦でオシムヘンを封じる見事な守備対応と配給力で世界をあっと驚かせると同時に試合のMOMに輝きました。

ラ・リーガでの第29節アトレティコ・マドリード戦でも、モラタ、グリーズマン、メンフィスといった世界レベルのFW相手に冷静沈着なプレーを披露し、3月のスペインA代表にも初選出されました。

リーダーたるベテランの復活と同時に若手が急成長を見せチームが活気付いているバルセロナだけに、4月のエル・クラシコでレアル・マドリードを倒せばまた勢いを増すでしょうが、今季残りの目標はCLでの勝ち上がり、特に次の準々決勝でのPSGとの2試合に絞られています。

 

CL出場権獲得の4位以内は三つ巴の争い

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上位陣ではジローナが失速気味で、アトレティコ・マドリードもアウェイでの成績が悪すぎる(4勝3分7敗)ことで勝ち点が伸び悩んでおり、その隙を突いて4月6日にマジョルカとのコパ・デル・レイ決勝を控えるアトレティック・クルブが第29節終了時点で4位に食い込んでいます。

 順位 チーム名 勝点/差
3 ジローナ  62/+62
4 アトレティック・クルブ  56/+56
5 アトレティコ・マドリード 55/+20
6 レアル・ソシエダ 46/+11

3位ジローナと4位アトレティックとの勝ち点差は6あるも、4位までのCL圏内争いについては今後三つ巴の白熱した戦いとなるでしょう。

今季10年ぶりにCLに出場し見事16強入りを果たした久保建英所属のレアル・ソシエダですが、やはり年明けに久保とトラオレがそれぞれアジアカップとアフリカ・ネーションズカップに出場したこと、コパ・デル・レイの勝ち上がりに伴う過密日程により、チームは急激な失速を見せました。

第29節のカディス戦では久々にホームで勝ち点3を獲得したものの、今季は良くてEL出場圏内となるため、シーズン終了後に久保やメリーノ、スビメンディといった主力選手の移籍は不可避でしょう。

 

2チームの降格は決定的 残留

 順 チーム名(勝点) オッズ
1 グラナダ 1.00倍
2 カディス 17.00倍
3 セルタ 11.00倍
4 セビージャ 21.00倍
マジョルカ 21.00倍
6 ラージョ・バジェカーノ 26.00倍

※オッズは2024年3月24日時点のWilliamHill公式サイト(リーガ・エスパニョーラ – 降格 2023/24)から引用

一方、残留争いに目を移すと、監督交代でようやく第29節に今季初勝利を挙げたアルメリアとグラナダの降格は不可避でしょう。アルメリアはオッズ情報すら消えていて、グラナダも「1.00倍」となっています。

もう1枠はカディスが濃厚で、オッズも「1.06倍」と堅めの数字になっていますが、17位セルタとの勝ち点差は原稿執筆時点で5。残り9試合で2試合分あると考えれば難しいミッションではありますが、セルタもベニテス監督を解任するなど調子は上がっておらず、最後までもつれる可能性は十分にあります。

 

得点王争い

選手名 得点
オッズ
1 ジュード・ベリンガム
(レアル・マドリード)
16点
2.75倍
2 アルバロ・モラタ
(アトレティコ・マドリード)
14点
4.33倍
3 アルテム・ドフビク
(ジローナ)
14点
5.00倍
4 ロベルト・レヴァンドフスキ
(バルセロナ)
13点
5.50倍
5 アンテ・ブディミル
(オサスナ)
15点
10.00倍
6 ヴィニシウス・ジュニオール
(レアル・マドリード)
12点
11.00倍
7 アントワーヌ・グリーズマン
(アトレティコ・マドリード)
11点
21.00倍
アレクサンダー・セルロート
(ビジャレアル)
11点
21.00倍
8 ジェラール・モレノ
(ビジャレアル)
10点
41.00倍

※オッズは2024年3月24日時点のWilliamHill公式サイト(リーガ・エスパニョーラ – 最多得点者 2023/24)から引用

最後に今季の「ピチーチ」こと得点王争いです。序盤、前半から破竹の勢いで得点を積み重ねてきたベリンガム(16点)の得点がここに来て止まっており、プレースタイル的にも偽9番ではなく左サイドハーフに移行しています。

よって、最終的に上位チームのFWがベリンガムを抜く可能性は結構高いと見ます。現時点では2位にボルハ・マジョラル(15点)が入っていますが、ヘタフェのチーム力と3月に入ってからのマジョラルの負傷離脱を考えると、逆転での得点王は考えにくい。

そうなると、14点で3位タイのモラタ(アトレティコ・マドリード)、ドフビク(ジローナ)はチーム力と実力からして有力候補になってきそうです。

ただ個人的には個人としてもチームとしてもコンディションを挙げている昨季得点王のレヴァンドフスキ(13点、バルセロナ)がここから得点数を伸ばしてくるのではないかと予想しています。

残り10試合を切ったラ・リーガは、例年以上に優勝争いも降格争いも静かな凪(なぎ)状態ではあるものの、やはり毎節の結果如何でチーム状況や取り巻く雰囲気がドラスティックに変わります。

そして個人のタイトルも懸かってきます。CLベスト8に3チームが残っていることもあり、今春も順当な開花ではない春の突風や異常気象が、ラ・リーガ終盤戦を盛り上げてくれるかもしれません。

 

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