2024-25 ラ・リーガ優勝予想と展望|海外ブックメーカー発表のオッズで考察 | ブクサカ

2024-25 ラ・リーガ優勝予想と展望|海外ブックメーカー発表のオッズで考察

小澤一郎さんのよるスペイン・ラリーガ優勝予想オッズ記事のアイキャッチ画像
スペイン

2024-25シーズンのスペイン・ラ・リーガは8月15日に開幕。ここまでの戦いをもとに、新シーズンの優勝争いについて、サッカージャーナリストの小澤一郎氏に展望してもらいました。

小澤一郎

1977年、京都府生まれ。サッカージャーナリスト。早稲田大学教育学部卒業後、社会人経験を経て渡西。バレンシアで5年間活動し、2010年に帰国。日本とスペインで育成年代の指導経験あり。ラ・リーガ解説、La Liga Freaks(DAZN)、Foot!(J SPORTS)の出演。著書17冊(訳構成書含む)。二児の父・パパコーチ。YouTube「Periodista」チャンネル運営。(株)アレナトーレ所属。

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海外ブックメーカー発表/ラ・リーガ 優勝オッズ

WilliamHill(ウィリアムヒル)のロゴ

ウィリアムヒル社から発表されているラ・リーガの優勝オッズがこちらです。

 チーム名 オッズ
レアル・マドリード 1.53倍
バルセロナ 3.00倍
アトレティコ・マドリード 11.00倍
ジローナ 51.00倍
ビジャレアル 81.00倍
レアル・ソシエダ
アスレティック・ビルバオ
ベティス 201.00倍
バレンシア 501.00倍
セビージャ
セルタ
ラージョ・バジェカーノ 1001.00倍
エスパニョール
バジャドリード
マジョルカ
オサスナ
ラス・パルマス
レガネス
アラベス
ヘタフェ

※オッズは2024年9月10日時点のWilliamHill公式サイト(リーガ・エスパニョーラ – 優勝 2024/25)から引用

 

3強とその差が広がるラ・リーガ

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レアル・マドリードにエムバペ、バルセロナにダニ・オルモ、アトレティコ・マドリードにフリアン・アルバレスと今夏のラ・リーガの移籍市場は久々の賑わいをみせました。

実際、今夏ラ・リーガの1部20クラブが選手獲得に投じた移籍金の総額は、5年ぶりに総額5億ユーロ超えの5億4,524万ユーロとなりました。中でも3強の一角、アトレティコ・マドリードは、J.アルバレス以外にもギャラガー、ル・ノルマン、セルロートといった即戦力に総額1億8,500万ユーロもの金額を投じて大型補強を行いました。

エムバペ加入によりレアル・マドリードの連覇が大方の予想ではありますが、今季のラ・リーガは3強による例年以上の激しい優勝争いが繰り広げられることになりそうです。

一方で、今季のラ・リーガは3強とオトラ(その他)勢の戦力格差がまた開いたシーズンにもなりそう。最新のオッズを参照していただければ、3強以外のチームの優勝オッズの跳ね上がり方に驚くでしょう。

今季カンファレンスリーグ、ヨーロッパリーグに参戦する中堅クラブのビジャレアル、レアル・ソシエダ、アスレティック・ビルバオの優勝オッズが81.00倍、4番手のジローナですら51.00倍となっています。

ということで、優勝争いの展望は3強の戦力分析をするだけで十分。まずはディフェンディングチャンピオンとして連覇を狙うレアル・マドリードの今季を占います。

 

エムバペ加入のレアル・マドリード

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今夏の目玉補強は何と言っても7年越しのラブコールが実りエル・ブランコの一員となったフランス代表FWキリアン・エムバペ(←PSG)です。

EURO2024が終了した7月中旬、サンティアゴ・ベルナベウで行われた入団発表では、幼い頃からレアル・マドリード、C.ロナウドのファンとして白いユニフォームを身にまとうことを夢見てきた少年エムバペの面影と念願叶った喜びがストレートに出ていました。

ただ、エムバペ加入により懸念されていたシステムと攻撃のバランスは、開幕からの4試合を見る限りもう少し時間を要することになりそうです。

昨季はラ・リーガのみならず15回目となる欧州制覇を達成。CL優勝も含めたドブレーテ(二冠)に輝いたチームにはすでにヴィニシウスというバロンドロール最有力のアタッカーがいるため、エムバペのポジションはCFとなります。

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開幕節からヴィニシウスとのポジションチェンジを繰り返し、エムバペが得意な左サイドに流れてのプレーやカットインドリブルも時折見せてはいますが、右ウイングのロドリゴも含めて、前線3トップがいずれも左サイドでのプレーを強みにしているため、特に開幕戦(マジョルカ戦)では左サイドで攻撃の交通渋滞が起きていました。

その渋滞を整理する役割を担う存在がトニ・クロースだったのですが、EURO2024限りでの現役引退により交通整理係不在、左偏重のアンバランスな攻撃は、シーズン序盤における最大の戦術的課題となっています。

アンチェロッティ監督はロドリゴを右サイドに張らせ、クロースの代役として開幕からモド
リッチ、アルダ・ギュレル、セバージョスといった選手を試してはいるものの、ベリンガムの怪我もあってまだ最適解を見いだせていないのが現状です。

とはいえ、それでも開幕から4節で2勝2分の無敗。世界的クラック(スター選手)が名を連ねる前線の選手層の厚みとは異なり、DFラインはナチョの退団とアラバの怪我のリハビリが長引いていることもあり、特にCBの駒不足は不安ではありますが、GKクルトワ含めた守備の強度と安定感はやはりラ・リーガの中でも頭一つ抜け出ているものです。

4節ベティス戦でエムバペは2得点を決めてようやくプレッシャーから解放されました。彼の控えに回ることになる同じ新加入18歳のブラジル代表FWエンドリッキ(←パルメイラス)は、ひと足早く2節のデビュー戦でいきなりラ・リーガ初ゴールを奪っています。

昨季はベンゼマの電撃移籍を埋めるFWが不在でベリンガムの偽9番的タスクで序盤の決定力、勝負強さを出していたレアル・マドリードですが、今季はホセルが抜けたとはいえ9番タイプのFWにエムバペ、エンドリッキの二人を要し、左右ウインガーとしてヴィニシウス、ロドリゴ、ギュレル、ブライム・ディアスが控える攻撃の選手層だけに得点力には事欠かないでしょう。

ラ・リーガの優勝、連覇の可能性は高いと見るも、豪華タレントを並べながらもシステムや戦術の機能性を高めてバランスを保つアンチェロッティ監督の難易度の高いミッションには、時間が必要です。

当然、勝ち点を取りこぼすようなことが続く可能性も低くはないため、現状の優勝オッズ1.53倍は、ややレアル・マドリードの現状と今季を楽観視し過ぎな数字になっている印象は受けます。

 

フリック新監督で対抗馬となるバルセロナ

そのレアル・マドリードの直接のライバルであり対抗馬となるのがバルセロナです。

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今夏も財政難により補強と呼べる補強はダニ・オルモ(←ライプツィヒ)のみ(Bチーム向けに獲得したパウ・ビクトルも最終的にはトップチーム登録)。

ラポルタ会長がEURO20204期間中に宣言していたスペイン代表FWニコ・ウィリアムス(アスレティック・ビルバオ)の獲得は実現せず、地元紙の一面に連日取り上げられたような他のクラックの獲得もありませんでした。

一方で懸念されていたアラウーホ、デ・ヨングといった主力選手の放出(売却)はなく、ラ
・リーガのFFPとダニ・オルモの選手登録を進めるため、昨季フル稼働したギュンドアンのマンチェスター・Cへの電撃移籍(契約解除)が唯一チームにとって予想外の放出となりました。

財政難が続くことで、例年通り今季も現有戦力維持のチーム編成にはなっていますが、プレシーズンからラ・マシアの若手を積極起用してチーム力を上げる見事な手腕を見せているのが新監督のハンジ・フリックです。

特にギュンドアン、O.ロメウ(→ジローナ)の抜けた中盤に17歳のマルク・ベルナウを抜擢して、開幕から3試合連続で先発起用したフリック監督の彗眼には誰もが驚かされました。

バレンシアとの開幕戦では先発11名のうちクバルシ、ベルナウ、ヤマルの3名が17歳という脅威の若手主体チームで難しいアウェイゲームに逆転勝利し、その後も見事な手綱さばきで開幕4連勝。

残念ながらベルナウは3節ラージョ戦終了間際に膝の前十字靭帯損傷の大怪我を負ってシーズンアウトとなってしまいましたが、プレシーズンでベルナウと同じく重用されてきたマルク・カサドーがすぐにその不在をカバーする活躍でチーム力を維持しています。

今後、ガビ、デ・ヨング、そして前線でアンス・ファティといった主力選手たちが怪我から復帰してくることを考えれば、この序盤は素晴らしいロケットスタートと呼べるでしょう。

若手抜擢以外でもフリック監督の名采配は目立ちます。

バルサらしい4-3-3システムでのボール保持、ポゼッションをベースにしながらも、左ウイングのラフィーニャを中に入れて左SBバルデを押し上げる可変システムや、攻撃時には右SBクンデも攻撃参加させるポジショナルプレーで圧倒的サッカーを展開。

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また、攻撃時にはペドリ、ダニ・オルモの二人がライン間で巧みにパスを受けて攻撃を加速させ、EURO20204で更にパワーアップしたL.ヤマルが右サイドで違いを生み出し、点を取るための導線とタスクが整理されたレヴァンドフスキ、ラフィーニャが、序盤から得点を量産しています。

今のところ非の打ちどころがないフリック・バルサは若さ、勢いだけのチームでもないだけに、現状の仕上がりサッカーの完成度で見れば3.00倍の優勝オッズは買いかもしれません。

 

アトレティコ

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コロナ禍での2020-21シーズンに優勝して以降、3位、3位、そして昨年はジローナの台頭で4位と3強というよりも「3番手」に甘んじているアトレティコ・マドリードは、冒頭の通り大型補強で十分ラ・リーガ優勝を狙える戦力、スカッドになっています。

前線はモラタがACミランへ移籍したとはいえ、アルゼンチン代表FWのJ.アルバレス(←マンチェスター・C)、昨季ラ・リーガで23点を奪ったセルロート(←ビジャレアル)を獲得。グリーズマン、A.コレアのいるFW陣の決定力は確実に上がるでしょう。

ただ、ここ数年のチームの課題は攻撃よりも守備で、特にGKオブラクの衰えとCBのスピード不足は昨季目に余りました。

そうした中、今夏はサヴィッチ、エルモーソ、G.パウリスタのCB3選手が退団。代わりにスペイン代表のル・ノルマン(←レアル・ソシエダ)とバルサから元フランス代表のラングレを獲得しましたが、その入れ替えでDFラインに安定感が戻るかどうかが長いシーズンを占う上でのポイントです。

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戦術的には今季もシメオネ監督が近年継続している3-5-2がベースシステムとなりそうですが、攻撃で違いを生み出せるアタッカーが多く控える選手層だけに、非保持5バックで構える時間を極力減らし、3バックで保持の時間と展開を増やすことができるかどうかにも注目です。

その意味でも、今季は基本右WBへコンバートされることになりそうなマルコス・ジョレンテ、左WGとして個で質的優位を出せるS.リノ、リケルメの3名には期待したいところです。

グリーズマンといえどもレギュラー確定ではなく、シメオネ監督は開幕から積極的にターンオーバーを採用しています。2トップのシステムを用いる場合、今のところグリーズマン、J.アルバレス、セルロートのFW3名から2名を選ぶ選手起用となっていますが、これだけのアタッカーを手駒として持つのであれば、3-4-2-1でそのトリデンテ(3銃士)を同時起用する采配も見たいです。

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大型補強によってレアル・マドリード、バルセロナとの戦力差は確実に埋まっており、あとはシメオネ監督の采配と彼の戦術が機能するかどうか。長いシーズンを考えても選手層は厚く、オブラクに代わるGKムッソ(←アタランタ)の獲得も必ずプラスに働くはず。今季はラ・リーガの3番手ではなく、3強、そして優勝候補の一角として戦えるアトレティコ・マドリードの戦力からすれば、原稿執筆時点での優勝オッズ11.00倍はかなり魅力的。

間違いなく3強の中からカンペオン(チャンピオン)が生まれる今季のラ・リーガ。選択肢が3つに絞られている点を逆利用して、皆さんもぜひ優勝を占ってみてください。

 

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