【河治良幸】23-24 イタリア・セリエA優勝予想オッズと展望予想 | ブクサカ

【河治良幸】23-24 イタリア・セリエA優勝予想オッズと展望予想

河治良幸さんによるイタリア・セリエAの優勝予想オッズ記事のアイキャッチ画像
イタリア

2023-24シーズンのイタリア・セリエAは、第9節までを消化。今回はシーズン残りに向け、ブックメーカーから発表されているオッズを参考に河治良幸氏(@y_kawaji)に展望をお願いしました。

河治良幸

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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海外ブックメーカー発表のセリエA優勝オッズ

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イギリス大手ブックメーカー・ウィリアムヒル社から発表されている10月27日時点のセリエA優勝オッズがこちらです。セリエAの2023-24シーズンは第9節まで消化し、インテルが首位に立っています。

WilliamHill(ウィリアムヒル)のロゴ

オッズ順 チーム名 オッズ
1 インテル 2.00倍
2 ミラン 3.25倍
3 ユヴェントス 5.00倍
4 ナポリ 9.00倍
5 アタランタ 34.00倍
6 ローマ 51.00倍
7 フィオレンティーナ 67.00倍
8 ラツィオ 126.00倍
9 モンツァ 501.00倍
ジェノア 501.00倍
サッスオーロ 501.00倍
トリノ 501.00倍
ボローニャ 501.00倍
14 ウディネーゼ 751.00倍
15 サレルニターナ 1001.00倍
レッチェ 1001.00倍
フロジノーネ 1001.00倍
カリアリ 1001.00倍
ヴェローナ 1001.00倍
20 エンポリ 1501.00倍

※オッズは2023年10月27日時点のWilliamHill公式サイト(セリエA – 優勝 2023/24)から引用

 

昨季王者のナポリは不安の立ち上がり オシムヘンの動向も気になるところ

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第9節終了時の順位 5位(勝点17)
優勝オッズ 9.00倍(4番手)

昨シーズン圧倒的な強さで33年ぶり3度目のスクデットを獲得したナポリは、勝ち点17で5位。優勝オッズは9.00倍ですが、リュディ・ガルシア新監督のもとで、ややスロースタートとなっており、早くもガルシア監督の解任論や後任候補を報じる地元メディアも出てきている状況です。

ナポリは韓国代表DFキム・ミンジェがバイエルンに移籍しましたが、攻撃の中心であるジョージア代表の22歳クヴィチャ・クワラツヘリアと得点王のナイジェリア代表FWヴィクター・オシムヘンを残留させることに成功しています。

キム・ミンジェがいなくなったセンターバックはブラジルのブラガンチーノから加入した22歳のナタンが定位置を確保しつつありますが、9試合で失点10とやや上位では多く、守備の安定はここからのテーマになるでしょう。

攻撃陣ではオシムヘンが、ここまで6得点とエースらしい活躍を見せてはいますが、第5節のPK失敗をめぐって、クラブが公開した動画に代理人ロベルト・カレンダ氏が批判的な見解をコメント。

やや不穏な状況が伝えられており、一方で冬の移籍市場を前に、ビッグオファーが噂されています。それがどうなるか。仮に移籍があった場合は補強もあるはずですが、”オシムヘン問題”は今シーズンの成績に大きく関わってくるかもしれません。

 

2トップを中心に攻撃力見せるインテル

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 第9節終了時の順位 1位(勝点22)
 優勝オッズ 2.00倍(1番手)

3シーズンぶりのスクデット奪還を目指すインテルは勝ち点22で、2位のミランが勝ち点1差で追いかけます。さらに3位のユヴェントスも勝ち点20で追っており、ここまでは1試合の結果で入れ替わる状況です。

優勝オッズもインテルが2.00倍で、ミランが3.25倍ですが、ユベントスは5.00倍となっており、上位3つの中でも少し差があります。

インテルは開幕5連勝と絶好のスタートを切り、9月16日のミラノ・ダービーにも5-1で勝利。しかしミッドウィークで迎えた第6節のサッスオーロ戦を1-2の逆転で落としてしまいました。しかし、シモーネ・インザーギ監督が率いるチームはずるずると行かず、CLとの過密日程もこなしながら2勝1分けで首位を堅持しています。

そのインテルを前線から引っ張るのがアルゼンチン代表のFWラウタロ・マルティネスで、ここまで9試合11ゴールと圧倒的な結果を残しています。マルティネスと2トップを組むフランス代表FWマルクス・テュラムは5得点ですが、5アシストを記録しており、マルティネスの最高の相棒として、良い働きが目立ちます。

さらに注目したいのが、オランダ代表MFデンゼル・ダンフリーズ。3-5-2の右ウイングバックで起用されていますが、2得点3アシスト。守備でも奮闘しながら、正確なクロスで2トップにゴールチャンスを供給しています。

ここまでチームは24得点で、ラウタロのテュラムの2トップを中心に、セリエAで最も高い得点力を誇りながら、失点も5に止めており、9試合中の6試合でクリーンシート。得失点差は+19で、+7のミラン、+9のユヴェントスを大きく引き離しています。2位以下との勝ち点以上に、ファンにも盤石な印象を与える結果と言えるでしょう。

 

ミランは得点力分散 今後のビッグマッチがポイントに

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 第9節終了時の順位 2位(勝点21)
 優勝オッズ 3.35倍(2番手)

安定した強さを見せるインテルを追うミランは、第4節でミラノ・ダービーを落としてしまいましたが、そこから順調に勝ち点を積み重ねました。

特に9月30日、昨シーズン2位のラツィオに2-0と勝利したゲームは、アメリカ代表FWクリスティアン・プリシッチのゴールでリードを奪い、終盤に追加点をあげて無失点という見事な勝利でした。

しかし第9節のユベントスとの大一番で、前半にドイツ代表DFマリック・ティアウがまさかの退場。10人で粘り強く戦いましたが、マヌエル・ロカテッリのゴールでリードを奪われてしまい、そのまま0-1で敗れました。

ステファノ・ピオリ監督が率いるミランは、インテルのラウタロのようにゴールを量産している選手がおらず、ここまでジルーとプリシッチの4得点がチーム最多です。次が10番を背負うラファエル・レオンの3得点となりますが、ジョーカー的な存在であるFWノア・オカフォールが2得点をあげており、それだけ色んな選手がゴールできているのは1つの強みでしょう。

ここまで上位勢のインテルとユヴェントスにしか負けていないミランですが、逆に言えば、そういう相手とのビッグマッチに勝てないことが課題とも言えます。

10月29日には前回王者のナポリとアウェイで対戦しますが、ここで勝利することができれば、今シーズンを戦っていく確かな自信にもなるはずです。

CLはパリ・サンジェルマンやドルトムントと同じ組で、タフな戦いを強いられていますが、ここまでCL後のリーグ戦は二試合とも勝利しており、パリ戦の直後となるナポリ戦で、彼らがどういうパフォーマンスを見せるのか注目どころでしょう。

 

ナポリとの対決制したフィオレンティーナもおもしろい存在

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 第9節終了時の順位 4位(勝点17)
 優勝オッズ 67.00倍(6番手)

現在4位に付けているのがフィオテンティーナ。ナポリと同じ勝ち点17で、得失点差はナポリの+10より低い+5なのですが、”カルチョ”の異名を持つイタリアのプロリーグは勝ち点で並んだ場合、当該チーム間の勝ち点成績で順位が決まるため、10月8日の直接対決に3-1で勝利したフィオテンティーナが4位で、ナポリが5位となっています。

フィオテンティーナの優勝オッズは67.00倍で、現在の上位3つはもちろん、5位のナポリに比べても、かなり高めの倍率となります。

フィオレンティーナは過去に2度スクデットを獲得していますが、2度目の優勝は1968-69シーズンまで遡ります。そうした経歴もインテル、ミラン、ユヴェントス、ナポリから大きく水を開けられている要因でしょう。

ただ、気鋭のヴィンチェンツォ・イタリアーノ監督が率いる”ヴィオラ”は、10番を背負うアルゼンチン人FWニコラス・ゴンサレスを筆頭に、

  •  アンゴラ代表の大型FWムバラ・エンゾラ
  • クロアチア代表のサイドアタッカー・ヨシプ・ブレカロ

など、国際的にそこまで有名ではないものの、おもしろいタレントが揃っています。勢いに乗ると、最後までCL出場権を獲得できるトップ4に食い込んでくる可能性は十分でしょう。

 

確かな実力持つアタランタは得点パターンが魅力

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 第9節終了時の順位 6位(勝点16)
 優勝オッズ 34.00倍(7番手)

1位のインテルから勝ち点6差で6位のアタランタも、近年は2018-19シーズンから3季連続で3位になるなど、常にセリエAで上位を争っており、昨シーズン5位だったことからも、クラブとして初めてのスクデットを狙う資格は十分にあると言えます。

ジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督のもと、3-4-3のシステムで、独自性の高いパスサッカーを展開していくスタイルのアタランタですが、最多得点がナイジェリア代表FWアデモラ・ルックマンとブラジル人MFエデルソンの3ゴール。この選手にラストパスを集めるといった狙いがなく、多彩なフィニッシュが強みになっています。

 

モウリーニョ率いるローマも候補

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 第9節終了時の順位 7位(勝点14)
 優勝オッズ 51.00倍(7番手)

ここまであげた6クラブが有力候補と見られますが、現在7位のローマも現在5得点のベルギー代表FWロメル・ルカクや3アシストを記録している司令塔のアルゼンチン代表MFアンドロ・パレデスなど、上位躍進のための役者はそろっています。

優勝オッズは51.00倍。就任3年目のジョゼ・モウリーニョ監督も、3つ目の欧州カップ戦であるカンファレンスリーグ優勝は果たしましたが、インテル時代に2連覇を達成して以来のスクデットは是が非でも欲しいでしょう。

第9節のモンツァ戦は1-0で勝利したものの、侮辱行為で退席処分となり、インテルとの大一番でベンチ入り禁止に。60歳になっても血気盛んですが、35歳のポルトガル代表GKルイ・パトリシオを後ざさえに、3-5-2のシステムで個性的な選手たちが躍動を見せるのか。

 

鎌田大地のラツィオは出遅れているが、昨季2位の実力は侮れない

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 第9節終了時の順位 10位(勝点13)
 優勝オッズ 126.00倍(7番手)

もう1つスクデットの可能性があるのは、昨シーズン2位で日本代表MF鎌田大地を擁するラツィオでしょう。現在は勝ち点13で10位に沈んでいますが、チームとしてのポテンシャルは上位3クラブやナポリにも肉薄するものがあります。

ただ、ここまで智将マウリツィオ・サッリ監督の4-3-3をベースとしたポジショナルなメカニズムの中で、選手たちがうまく噛み合っていないように見受けられます。

もう1つはエースのイタリア代表FWチーロ・インモービレが、ここまで2得点となりを潜めていること。33歳になりましたが、ここからまだまだ錆びつかない決定力を見せ付けるのか。

フランクフルトから鳴り物入りで加入した鎌田としても、ポジション争いに勝っていきたいところですが、チームの絶対的な攻撃の軸である10番のルイス・アルベルトとプレー強度の高い選手を組み合わせる3ハーフで、良くも悪くも頑固者で知られるサッリ監督にとって、途中から流れを帰るカードの扱いにとどまっているのが現状です。

ただ、ここからCLとの過密日程がチームの負荷になっていく中で、絶好のチャンスが訪れるかもしれません。ここからラツィオが良いリズムを取り戻して、浮上していけるかどうかはスクデット争いの大きな鍵を握ることは間違いないでしょう。

 

気なる存在は強豪とドローを続けるボローニャ

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 第9節終了時の順位 8位(勝点13)
 優勝オッズ 501.00倍(7番手)

スクデットまでは難しいものの、台風の目になりそうなのが現在8位のボローニャです。ここまでユベントスと1-1、ナポリと0-0、インテルと2-2で引き分けており、上位陣と互角に近い戦いを演じています。

監督はブラジル出身の元イタリア代表MFチアゴ・モッタ。41歳の青年監督は戦術眼に優れるだけでなく、兄貴分的なリーダーシップもあります。193cmのオランダ人FWジョシュア・ザークツィーなど若く生きのいいタレントと、31歳のスイス代表MFレモ・フロイラーのような経験豊富な選手がミックスされたボローニャが、どこまで上位に食い込めるのか注目です。

 

河治良幸

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