2023 FIFA女子ワールドカップ優勝予想オッズと展望予想|海外ブックメーカー発表 | ブクサカ

2023 FIFA女子ワールドカップ優勝予想オッズと展望予想|海外ブックメーカー発表

女子サッカー

女子ワールドカップ(W杯)がいよいよ開幕です。2011年大会以来の優勝をめざすなでしこジャパンも出場する大会は、いったいどんな大会になるのか。現地でも取材を行う河治良幸さんに、ブックメーカーから発表されているオッズを参考に展望してもらいました。

河治良幸

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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海外ブックメーカー発表/女子ワールドカップ2023 優勝予想オッズ

WilliamHill(ウィリアムヒル)のロゴ

英国大手スポーツブックメーカー、ウィリアムヒル社から発表されているプレミアリーグの優勝オッズはこちら。優勝候補筆頭のアメリカ、対抗馬がイングランド、それをスペイン、ドイツ、フランス、オーストラリアが追う形です。

オッズ順 チーム名 オッズ
1 アメリカ 3.25倍
2 イングランド 4.50倍
3 スペイン 7.00倍
4 ドイツ 8.00倍
5 フランス 11.00倍
6 オーストラリア 12.00倍
7 スウェーデン 17.00倍
8 オランダ 26.00倍
9 ブラジル 26.00倍
10 カナダ 34.00倍
日本 34.00倍
12 ノルウェー 51.00倍
13 デンマーク 81.00倍
14 ポルトガル 101.00倍
15 イタリア 101.00倍
16 アイルランド 201.00倍
17 スイス 251.00倍
18 アルゼンチン 251.00倍
19 中国 251.00倍
20 韓国 251.00倍
21 コロンビア 251.00倍
22 ニュージーランド 251.00倍
23 ナイジェリア 401.00倍
24 ザンビア 401.00倍
25 ハイチ 501.00倍
26 ジャマイカ 501.00倍
27 南アフリカ 1001.00倍
28 モロッコ 1001.00倍
29 コスタリカ 1001.00倍
30 ベトナム 1501.00倍
31 パナマ 2001.00倍
32 フィリピン 3001.00倍

※オッズは2023年7月20日時点のWilliamHill公式サイト(女子ワールドカップ2023 – トーナメント勝者)から引用

 

いよいよ開幕!なでしこジャパンは3大会ぶり頂点狙う

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オーストラリアとニュージーランドの共催となるサッカー女子ワールドカップ2023は、初めて32ヶ国の参加(※前回は24ヶ国)となります。7月20日にはニュージーランドとノルウェーによる開幕戦が行われ、ニュージーランドが会場となるグループCのなでしこジャパンは日本時間22日16時に、ザンビアとの初戦に臨みます。

以下、日本時間でのなでしこジャパンの試合日程と放送予定です。

7月22日(土)16時 ザンビア戦 (BS1)
7月26日(水)14時 コスタリカ戦(BS1)
7月31日(月)16時 スペイン戦(NHK総合)

4年前のフランス大会では、ラウンド16でオランダに敗れたなでしこジャパンは3大会ぶりの優勝を目標に掲げますが、まずはグループステージを突破することがノルマであり、そこから先は一発勝負で1つ1つ勝ち抜くことが求められてきます。

日本が所属するグループCの展望は記事後半にて詳しく取り上げますが、このグループはスペインと日本の2強で、そこにザンビアが食い込む形。コスタリカは勝点をとれるかどうかの戦いとなります。

グループステージは4カ国ずつ8組に分かれて戦い、上位2カ国が決勝トーナメントに勝ち上がるレギュレーションです。

 

大会優勝候補筆頭はアメリカ

大会全体を見ると、優勝候補は3連覇を狙うアメリカが3.25倍で一番手、それにキーラ・ウォルシュ(バルセロナ・フェミニ)が攻守の要を担うイングランドが4.50倍、スペインが7.00倍で続きます。

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FWアレクサンドラ・ポップ(ヴォルフスブルク)が攻撃を牽引する8.00倍のドイツ、187cmのワンディ・ルナール(リヨン)が守備を統率する11.00倍のフランス、FA女子スーパーリーグで優勝したチェルシーFCウィメンのエースであるFWサム・カー(チェルシー)を擁する12.00倍の開催国オーストラリアにも十分チャンスがあると予想されます。

17.00倍のスウェーデンも戦力的なポテンシャルは高く、本番のチーム状態さえ良ければドイツ、フランスに匹敵してもおかしくありません。

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ドイツのポップや米国のアレックス・モーガン(サンディエゴ・ウェーブ)のような絶対的なエースストライカーはいませんが、235キャップを誇る”ピッチの監督”キャロライン・セガー(ローゼンゴード)が司る攻守のトランジションは見事で、多角的な展開からモーガンと同じNWSL(北米女子サッカーリーグ)のサンディエゴに所属する10番のソフィア・ヤコブションを中心に、迫力ある攻撃を繰り出します。

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26.00倍のオランダは、前回の準優勝チーム。昨年の欧州選手権ではフランスに延長戦の末に敗れて、ベスト8で大会を去りました。

おそらくオッズを落としているのは昨年12月に前十字靭帯を負傷し、今大会のメンバーからフィフィアネ・ミーデマが外れたからだと思われますが、FWリーク・マルテンス(パリ・サンジェルマン)、リース・ベーレンスタイン(ユヴェントス)など、一振りで勝負を決めるアタッカーが揃っているので、ツボにハマったら躍進する可能性があります。

”死の組”と言えるグループはありませんが、開催国のオーストラリア、アイルランド、ナイジェリア、東京五輪の金メダリストであるカナダという躍進候補が揃うグループBは、混戦になる可能性も。

優勝オッズはオーストラリアが12.00倍、カナダが34.00倍、アイルランドは201.00倍。

ナイジェリアは401.00倍となっていますが、バルセロナに所属する大エースのオショアラが牽引する鋭いフィニッシュは、オーストラリアやカナダにとっても脅威であることは間違いありません。

 

注目国はノルウェー

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筆者が注目しているのはノルウェーです。

スウェーデン開催だった1995年の第2回大会で優勝を果たし、米国で行われた第3回大会(1999年)、中国開催の第5回大会(2007)でベスト4に輝いた強豪国ですが、日本が世界一になった2011年のドイツ大会は、グループリーグ敗退を喫しました。

そこからカナダ開催の2015年大会はベスト16、前回のフランス大会はベスト8と再浮上してきています。昨年の欧州選手権は、グループステージでイングランドに0-8という歴史的な大敗を喫しましたが、チームとして巻き返しを図っています。

エースはバルセロナに所属するFWキャロライン・ハンセンで、20代にして大会中にはキャップ数が100に届く、まさにワールドクラスのタレントです。

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そして相棒のFWアーダ・ヘーゲルベルグ(リヨン)も高い決定力を誇ります。

中盤もイングランド王者のチェルシーで主軸を担うグロ・レイテンなど、欧州の強豪クラブでプレーする選手たちが揃っており、守備強度も攻撃の推進力も高いチームです。

グループAではニュージーランド、スイス、フィリピンと対戦しますが、首位通過の本命であり、ラウンド16でなでしこジャパンが対戦する可能性は十分にあります。

 

なでしこが戦うグループC展望

グループCの予選通過オッズはこちらです。

  • スペイン:1.00倍
  • 日本:1.11倍
  • ザンビア:6.00倍
  • コスタリカ:21.00倍

 

グループ通過最有力はスペイン

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日本が戦うグループCの本命とみなされるのは、FIFAランキング6位のスペインです。

ブックメーカーによる優勝予想も7.00倍と全体の3番目であり、グループC突破のオッズは1.00倍。つまり、ここでの敗退はあり得ないという予想になっています。

バルセロナ・フェミニが女子チャンピオンズリーグを過去3シーズンで2度優勝し、中心選手のアレクシア・プテジャスが女子バロンドールを獲得するなど、成長著しい欧州の女子サッカーの中でも急成長してきたスペインですが、優勝が期待された昨年夏の欧州女子選手権(UEFA Women’s Euro 2022)でベスト8に終わると、主力選手たちからホルへ・ビルダ監督の退任を求める声が上がりました。

連盟サイドはその要求を却下しただけでなく、それに関わった選手たちを1年近く招集外に。その中にはプテジャスも含まれていましたが、本大会に向けて呼び戻されました。

直前のテストマッチではパナマに7-0、デンマークに2-0、ベトナムに9-0と攻守に隙がなく、3連覇がかかるアメリカ、欧州王者のイングランドに続く優勝候補という評価は間違いないでしょう。

4-3-3が基本システムで、司令塔のプテジャスは左のインサイドハーフが定位置。中盤の底にはレアル・マドリード・フェメニーノ所属のテレサ・アベレイラが構えます。そして右インサイドハーフにアイタナ・ボンマディ(バルセロナ・フェミニ)。

この3枚が、男子で言うところのイニエスタ、ブスケツ、シャビのような関係で攻撃を組み立てて、元バルセロナのエースであり、現在はメキシコのパチューカでプレーするFWジェニファー・エルモソがゴールを仕留めます。

さらに右ウイングのサルマ・パラジュエロは174cmの長身とスピードのあるサイドアタッカーで、右サイドで二人をかわしながら左足でゴール左隅に決めたゴラッソが、2022年のプスカシュ賞(年間最優秀ゴール)にノミネートされたことは記憶に新しいです。

 

なでしこはグループ2位の評価

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3バックのなでしこジャパンですが、スペインに対しては5バック気味に粘り強く守りながら、カウンターで隙を狙っていくような戦いがメインになるかもしれません。

FIFAランキング11位の日本も、グループCの突破に関しては1.11倍というオッズが出ています。しかしもう少し厳しい予想をしています。

なでしこジャパンそのものは好調で、「ボールを奪う・ゴールを奪う」を基本コンセプトに掲げる池田太監督の戦術も浸透してきています。14日に仙台で行われた壮行試合で、本大会の出場国でもあるパナマに5-0で勝利したことが、チーム状況の良さを物語っています。

 

怖さのある難敵・ザンビア

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ただし、日本にとって決して油断できないのはザンビアの存在です。FIFAランキングは77位とかなり下ですが、アフリカの場合は最高が40位のナイジェリアであり、ほぼ当てになりません。実際にザンビアは直前のテストマッチで、優勝オッズ8.00倍のドイツに3-2と勝利しています。

その3得点のうち、2得点を記録したのが、23歳のFWバーバラ・バンダ(上海盛麗)。東京五輪でオランダ、さらには中国を相手にハットトリックを決めて話題を集めたストライカーは、爆発的な突破力と決定力に磨きをかけているようです。

もう1人、スペイン女子リーグで25得点を記録した左ウイングのクンダナンジも脅威であり、ザンビアは彼女たちの個人能力を頼りに、徹底した堅守速攻で大会のダークホースになる可能性も。

グループCでのオッズは6.00倍ですが、筆者のリアルな見解ではスペインが1.10倍、日本が1.50倍ぐらいである代わりに、ザンビアが4.50倍ぐらいではないかと考えています。

初戦の相手となる日本にとってもバンダやクンダナンジは危険ですが、しっかりとゴールを決めて勝ち切るための準備も必要になってきます。

 

勝ち点を落とせない相手のコスタリカ

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もう1つのコスタリカに関しては中米のチームということもあり、壮行試合で対戦したパナマに少し特徴が似たところもあります。

優勝オッズを見ると1001.00倍で、日本やスペインとテストマッチを行ったパナマは2001.00倍なので、位置付けの目安になるでしょう。

厳しい見方をしてしまえば、コスタリカは少し離れた4番手となりますが、仮にスペインか日本を破るようなことがあれば大番狂せですし、引き分けでも衝撃的な勝ち点1となります。

スペインと日本はもちろんですが、”2強”を崩しての突破を目指すザンビアにとっても、絶対に勝つべき相手となります。コスタリカは初戦でスペイン、2戦目で日本、3戦目でザンビアに挑みます。

コスタリカは本番前に、中央アメリカ・カリブ海競技大会に参加し、3戦全敗。その後、ニュージーランド入りして、グループGの南アフリカと最後の強化試合を行い、0-2で敗れました。

ただ、ぶつかり稽古をこなしながら、徐々にチームが仕上がってきていると想定できます。杉田妃和と同じポートランド・ソーンズでプレーするMFラケル・ロドリゲスは100試合で55得点を記録しており、日本にとっても注意すべきタレントです。

女子サッカーは大会ごとにレベルが上がっており、列強国ではない欧州勢や南米勢、アフリカ勢なども力を付けているだけに、必ずサプライズはありそうな気がします。

なでしこジャパンも下馬評では優勝候補ではありませんが、大会の中で成長して躍進を果たしていくと同時に、日本での注目度を高めていくことを期待します。

 

河治良幸

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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ブクサカ

2018年創設、サッカー専門のブックメーカー情報サイト「ブクサカ」の編集チーム。サッカービジネス、Webマーケティング、ライター、スポーツ記者、ジャーナリスト、サッカー×SNS運用など各分野のプロで構成された編集チームで、2022年カタールW杯現地取材、ICE/iGBロンドンカンファレンスなど海外の現場にも積極的に参戦。

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