カタールワールドカップ2022 ブラジル代表の展望【下薗昌記】 | ブクサカ

カタールワールドカップ2022 ブラジル代表の展望【下薗昌記】

カタールワールドカップ2022は日本時間11月21日(月)に開幕。12月19日(月)の決勝戦まで約1ヶ月間に渡って戦いが繰り広げられます。

優勝候補筆頭、6度目の優勝を目指す今大会のブラジルをサッカーライターの下薗昌記さんに占っていただきました。

下薗 昌記

サッカーライター。大阪外国語大学(現大阪大学外国語学部)でポルトガル語を学ぶ。朝日新聞記者を経て、2002年にブラジルに移住し、永住権を取得。ブラジルを中心に南米各国でワールドカップやコパ・リベルタドーレスなど700試合以上を取材。2005年からはガンバ大阪を中心にJリーグを取材しながら、ブラジルにも足を運ぶ。著書に「ジャポネス・ガランチードー日系ブラジル人、王国での闘い」(サッカー小僧新書)などがあり、「ラストピース』(KADAKAWA)は2015年のサッカー本大賞で大賞と読者賞。訳書に「モウリーニョの本性―「言葉の男」のコトバから哲学を読み解く」(ベースボールマガジン)。近著は「反骨心――ガンバ大阪の育成哲学――」(三栄書房)。日本テレビではコパ・リベルタドーレスの解説なども担当する。

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カタールワールドカップ2022 ブラジル代表の試合日程と放送予定

ブラジル代表のカタールワールドカップ本大会での試合スケジュールがこちら。いずれも日本時間での日程、放送予定です。

日時 対戦国 放送予定
11月24日(木)
4:00
セルビア NHK総合
abema TV
11月28日(月)
1:00
スイス フジテレビ
abema TV
12月2日(金)
4:00
カメルーン NHK総合
abema TV

 

ブックメーカー発表オッズの優勝オッズは4.00倍

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海外ブックメーカー・WilliamHILL(ウィリアムヒル)社が発表している「ブラジル代表の敗退ステージオッズ」は以下の通りです。

GL敗退 7.50倍
 ベスト16敗退 4.00倍
 ベスト8敗退 4.00倍
 ベスト4敗退 6.00倍
 準優勝 9.00倍
 優勝 4.00倍

※ 2022年11月16日時点でのウィリアムヒル発表オッズを引用 

前回のロシア大会でも指揮を執ったチッチ監督が率いるブラジルは20年ぶりの世界一が期待されていますが、その期待感の高さはロシア大会以降の足取りを見れば納得です。

2019年のコパ・アメリカではネイマールが大会直前の負傷で離脱しながらも優勝を果たしましたが、圧巻だったのは南米予選の戦いぶりです。

コロンビアやチリといった強豪でさえ敗退を強いられた今回の予選で、ブラジルは終始首位を守り続け、アルゼンチンとともに無敗で本大会出場を決めました。17試合で総得点は40、失点はわずかに5という驚異的な安定ぶりを見せています。

長らく「ネイマール依存症」が懸念材料とされ、依然絶対的なエースは3大会連続でブラジル代表の背番号10を託されたネイマールですが、前線には他にも今大会屈指の豪華な顔ぶれが揃っています。

東京五輪の金メダル獲得に貢献したリシャルリソンやラフィーニャ(バルセロナ)に加えて、今大会のブレーク候補の一人であるヴィニシウス・ジュニオール(レアル・マドリード)やロドリゴ(同)ら若手にも好素材が揃っており、今季アーセナルで好調なガブリ
エウ・ジェズスらでさえ定位置を保証されていない状態です。

基本的には4-4-2を採用するブラジルですが、前線はネイマールを主体に流動的にポジションを入れ替え、3トップ気味に変化することもしばしばです。「即時奪回」を合言葉にボールを失うと同時に全員が連動する守備意識の高さは、過去のブラジルを見ても最高レベルと言えるでしょう。

また、GKにもアリソン(リヴァプール)とエデルソン(マンチェスター・C)という世界屈指の守護神が揃っているのも強みです。

ブックメーカーbet365の優勝オッズは4.00倍で1位のブラジルですが、大会屈指の顔ぶれに加えて、ポジティブな要素となるのは負傷者の少なさです。

レギュラー候補のリシャルリソンの回復ぶりはやや懸念されるところですが、フランスやアルゼンチンなどに比べるとほぼダメージはないと言えるでしょう。

 

グループリーグ突破はあくまで通過点

WilliamHill(ウィリアムヒル)のロゴ

ブラジルが所属するグループGの予選通過オッズがこちら。

ブラジル 1.10倍
 スイス 2.00倍
セルビア 2.20倍
カメルーン 3.50倍

※ 2022年11月16日時点でのWilliamHILL社発表オッズを引用

ブックメーカーのウィリアムヒルにおけるG組の突破予想は1.10倍となっていますが、ブラジルにとってグループステージは通過点。

ロシア大会以降、欧州勢とは3対1で勝利したチェコとの1試合のみしか経験しておらず、欧州勢との顔合わせに不安を残すと指摘されているのは事実ですが、ロシア大会のグループステージでも同組だったセルビアとスイスは決して侮れる相手ではありません。

ただ、ネイマールを軸にカゼミロ(マンチェスター・U)やチアゴ・シウバ(チェルシー)ら要所に本大会経験者を揃えていることもあり、大崩れはまずなさそう。

ウィリアムヒルの予想も妥当な数字と言えるでしょう。

 

初戦・セルビア戦

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WilliamHILL社発表の90分勝敗オッズと過去の対戦成績がこちら。

  • ブラジル:1.40倍
  • ドロー:4.50倍
  • セルビア:8.00倍
セルビア戦の過去戦績
2014年6月 ○ 1-0(H)
 2018年6月 ○ 2-0(A)

世界で唯一、過去21回全ての本大会に出場しているブラジルですが、大会初戦で敗れたのは1930年と1934年大会のみで以降、負け知らず(16勝3分)の状態が続いています。

大会初戦のセルビア戦は、好スタートを切る上でも勝点3が欲しい試合であると同時に3年半ぶりとなる欧州勢との対戦だけに、チッチ監督も満を持して勝利を目指すことになりますが、予選通過オッズ2.20倍のセルビアには当然勝点3が欲しい一戦です。

ロシア大会はグループステージで敗退し、昨夏のEUROは本大会出場を逃しているセルビアですが日本でもお馴染みのストイコビッチ監督の就任後、立て直しに成功。欧州予選ではポルトガルをプレーオフに追いやる躍進でA組1位で通過してきました。

ロシア大会ではグループステージの最終節で2対0と快勝しているブラジルですが、ウィリアムヒルにおける90分の勝敗オッズでセルビアは8.00倍。グループリーグ初戦で黒星発進だけは避けたいセルビアだけに守備時には5バックに移行し、ブロックを形成して粘り強い戦いを見せてくる可能性は十分ありそうです。

ショートカウンターも持ち味のブラジルですが、引いた相手をこじ開ける多彩な攻撃のタレントが強み。ネイマールとリシャルリソンの2トップに両サイドがパケタとラフィーニャで構成されそうな攻撃陣ですが、W杯デビューとなるヴィニシウスらのパフォーマンスも鍵を握りそうです。

欧州予選は8試合無敗のセルビアですが、うち7試合で失点するなど守備組織に不安も抱えており、とりわけ両ウイングバックの背後は狙い目だけにスピードに長けたヴィニシウスらの活躍も期待できそうです。

 

第2戦:スイス戦

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WilliamHILL社発表の90分勝敗オッズがこちら。

  • ブラジル:1.50倍
  • ドロー:4.00倍
  • スイス:7.00倍

過去の対戦成績はブラジルの3勝2敗4分で意外と相性が悪い…?

スイスの過去戦績(以下、直近4試合の戦績)
1989年6月 ● 0-1(A)
 2006年11月 ○ 2-1(A)
 2013年8月 ● 0-1(A)
 2018年6月 △ 1-1(H)

ブラジルにとってグループステージ最大の難敵になりうるのがスイスです。

ロシア大会ではグループリーグ初戦で顔を合わせ1対1のドローに終わっていますが、5大会連続で本大会出場を果たしているスイスは昨夏のEUROでフランスをPK戦の末に下してベスト8入り。イタリアと同組だった欧州予選を無敗で首位通過していますが、最大の武器は8試合でわずか2失点という強固な守備力です。

仮にセルビア戦で白星スタートを飾っていたとしてもブラジルとしてはスイス戦に連勝し、最終節のカメルーン戦は決勝トーナメントに向けて主力を温存したい一戦です。

当然、スイス相手にも勝利が欲しいところですがウィリアムヒルの90分勝敗オッズではブラジルの勝利が1.50倍、これに対してスイスの勝利は7.00倍となっています。

今年6月のネーションリーグは1勝3敗と低調で得点力不足が課題となっているスイスだけに、スイスが勝つことは難しいかもしれませんが、前回同様にドローに終わる可能性もありそうです。

ただスイスが初戦のカメルーン戦で敗れている場合には捨て身覚悟で攻撃に出ざるを得ない可能性もあり、その際はブラジルにとって追い風の展開だと言えます。

 

第3戦:カメルーン戦

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WilliamHILL社発表の90分勝敗オッズがこちら。

  • ブラジル:1.33倍
  • ドロー:4.40倍
  • カメルーン:12.00倍

過去の対戦成績はブラジルの5勝1敗。

カメルーン戦の過去戦績
(以下、直近4試合の戦績)

2001年5月 ○ 2-0(H)
2003年6月 ● 0-1(H)
 2016年6月 ○ 4-1(A)
 2020年10月 ○ 1-0(H)

グループステージ最終節の顔合わせは非常に予想が困難です。

既に決勝トーナメント進出を決定している国は主力を温存し、サブ組を用いる可能性もありますが、逆に敗退が決まっている国はもはやモチベーションを欠くこともあるだけに、単に地力が反映する戦いにならないことはしばしばあります。

ブラジルにとってカメルーンは過去の対戦で5勝1敗と相性良く、W杯では1994年と2014年にグループステージで対戦し、いずれも勝利している相性のいい相手です。

bet365の予選通過オッズはグループGでワーストの3.50倍となっているカメルーンもポテンシャルは十分に秘めています。アフリカ2次予選ではコートジボアールを退け、最終予選でもアルジェリアを上回って2大会ぶりの本大会出場を果たした姿はまさに「不屈のライオン」そのものです。

カメルーンと言えば、本大会中に内紛を起こして一枚岩になりきれないことも過去にはありましたが、同国歴代最多キャップを誇るソング監督がチームの一体感を高めており、グループGでいかなる立ち位置であろうと戦う姿勢をピッチで見せると思われます。

ソング監督にとっては選手として敗れた1994年大会のリベンジを果たす場にもなります。

 

決勝トーナメントに進出した場合の組み合わせ

下馬評通りブラジルがグループGを突破した場合にラウンド16で立ちはだかってくるのはH組(ポルトガル、ウルグアイ、ガーナ、韓国)の1位か2位になりますが、H組の本命はやはりポルトガルでしょう。

ブラジルにとっては1位通過でも2位通過でも、ラウンド16で難敵との対戦となりますが、避けたいのはやはりポルトガルでしょうか。

2002年の日韓大会を最後に優勝から遠ざかるブラジルですが過去4大会、いずれも決勝トーナメントでは欧州勢に敗れており、攻撃のタレントを擁するポルトガルは右SBに弱点を抱えるブラジルにとって難敵であるのは間違いありません。

一方、仮にウルグアイとの南米対決が実現した場合、こちらも熾烈な一戦になりますが南米予選ではウルグアイに対して2戦2勝と力の差を見せています。

決勝トーナメントはいずれも難しい試合の連続ですが、ブラジルが過去優勝してきた大会では必ず、決定的な仕事ができる得点源が最前線に存在しました。

最後のW杯を公言しているエースのネイマールのフル稼働はもちろんですが、ヴィニシウスら次世代のエース候補がいかにネイマールの負担を軽減できるかも鍵になりそうです。

39歳のダニエウ・アウベス(プーマス)が招集されたことで物議となった右SBの層の薄さや負傷のコウチーニョを欠く中盤はややクリエイティビティを欠くなど弱点も抱えているブラジルですが、他国が羨む陣容でカタールに乗り込むことになります。

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