【小澤一郎】ラ・リーガ優勝予想オッズと展望予想|海外ブックメーカー発表

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2022-23シーズンのスペイン・ラ・リーガは、日本時間8月12日に開幕を迎えます。

昨季UEFAチャンピオンズリーグとラ・リーガのタイトルを獲得したレアル・マドリードと、レヴァンドフスキをはじめ積極的な補強に動いているバルセロナのトップ争いに注目が集まる新シーズンに向けて、サッカージャーナリストの小澤一郎氏に展望してもらいました。

小澤一郎

1977年、京都府生まれ。サッカージャーナリスト。早稲田大学教育学部卒業後、社会人経験を経て渡西。バレンシアで5年間活動し、2010年に帰国。日本とスペインで育成年代の指導経験あり。ラ・リーガ解説、La Liga Freaks(DAZN)、Foot!(J SPORTS)の出演。著書17冊(訳構成書含む)。二児の父・パパコーチ。YouTube「Periodista」チャンネル運営。(株)アレナトーレ所属。

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海外ブックメーカー発表/ラ・リーガ優勝オッズ

ウィリアムヒル社から発表されているラ・リーガの優勝オッズがこちらです。

オッズ順チーム名オッズ(昨季順位)
1レアル・マドリード2.10倍(優勝)
2バルセロナ2.37倍(2位)
3アトレティコ・マドリード6.00倍(3位)
4セビージャ17.00倍(4位)
5ビジャレアル51.00倍(7位)
6レアル・ソシエダ67.00倍(6位)
7ベティス101.00倍(5位)
8アトレティック・クルブ151.00倍(8位)
9セルタ251.00倍(11位)
バレンシア251.00倍(9位)
11オサスナ501.00倍(10位)
エスパニョール501.00倍(14位)
ヘタフェ501.00倍(15位)
14マジョルカ751.00倍(16位)
バジャドリード751.00倍(2部2位)
アルメリア751.00倍(2部1位)
17エルチェ1001.00倍(13位)
ラージョ・バジェカーノ1001.00倍(12位)
ジローナ1001.00倍(2部6位PO)
カディス1001.00倍(17位)

※オッズは2022年7月20日時点のWilliamHill公式サイト(リーガ・エスパニョーラ – 優勝 2022/23)から引用

8月12日に開幕するラ・リーガは、久しぶりにレアル・マドリードとバルセロナの「二強時代復活」を印象付けるシーズンとなるかもしれません。

2シーズン前にはアトレティコ・マドリードが優勝したことで近年のラ・リーガは「三強時代」と呼ばれることが多く、昨季開幕前の補強具合ではアトレティコの連覇の可能性も高いと言われていました。しかし、蓋を開けてみるとレアル・マドリードが2位バルセロナに勝ち点13、3位アトレティコに15もの差をつけて優勝しました。

オッズでの優勝候補筆頭はレアル・マドリード(2.10倍)となっていますが、2位バルセロナ(2.37倍)がそれに迫る勢いに位置しています。

オッズ上では3位アトレティコ・マドリードも6.00倍ですから「優勝候補の一角」にはなりますが、オッズ上でも2倍台の2チーム、「二強」によるタイトルレースが予想されています。

 

昨季王者レアル以上の注目は「爆買い」のバルセロナ

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昨季レアル・マドリードが独走優勝を果たしたにもかかわらず、二強の優勝オッズとなっている理由は何と言ってもバルセロナの大型補強です。

1年前には財政難からメッシの放出(PSGへの移籍)を余儀なくされると同時に、Bチーム登録の若手選手を多数起用せざるを得ないほどの不均衡なスカッドとなり21年ぶりにCLグループステージ敗退という不名誉な結果も出したバルサですが、今年は「爆買い」の夏になっています。

 

レヴァンドフスキを筆頭に積極獲得、デンベレとも新契約

厳しい財政事情に変わりはありませんが、意を決したラポルタ会長による資金繰りでTV放映権料と映像音声コンテンツを制作するバルサ・スタジオの一部権利を売ることで推定6.4億€(約870億円)ものキャッシュを作ることに成功しました。

昨季終了時点でフリーでの獲得を決めていた

  • ケシエ(←ACミラン)
  • クリステンセン(←チェルシー)

に続き、

  • ラフィーニャ(←リーズ)
  • レヴァンドフスキ(←バイエルン)
  • クンデ(←セビージャ)

の3選手を総額1.5億€(約204億円)超えの移籍金で獲得しました。

また、6月末に契約満了となり退団濃厚とされていたデンベレとの新契約締結も実現させ、新シーズンに向けたバルサのスカッドは各ポジションに2名以上の世界トップレベルの選手が名を連ねる豪華な布陣となっています。

そのため、昨夏鳴り物入りで獲得したオランダ代表のFWメンフィス・デパイや同じくオランダ代表MFのフレンキー・デ・ヨングを放出するのでは?という噂が出ているほどです。

 

移籍市場での派手な動きはなかったが、若手とベテランの融合で今季も二冠狙う王者レアル

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一方でオッズ上でも優勝候補筆頭、連覇のかかるレアル・マドリードは静かな夏を過ごしています。

今夏に獲得予定であったエムバペ(PSG)の獲得は直前で失敗に終わりましたが、素早くフランス代表MFチュアメニ(←モナコ)を獲得し、ドイツ代表DFリュディガー(←チェルシー)もフリートランスファーで獲得できました。

UEFAチャンピオンズリーグ三連覇という偉業を達成した中盤三銃士であるカゼミーロ、モドリッチ、クロースがいずれも30代であり、昨季のラ・リーガ得点王でおそらく今年のバロンドール最有力のベンゼマも今年35歳。

主力の高齢化が気になりますが、その一方で着実に世代交代できる有望な若手タレントを獲得して主力に育て、昨季はヴィニシウスが大化けし、シーズン終盤にはロドリゴもCLでの「ラッキーボーイ」的存在になりました。

若手とベテランが上手く融合したバランスの良いスカッドのレアル・マドリードは、チーム力で見ればラ・リーガとCLのドブレーテ(二冠)を獲った昨季以上の戦力になっています。

このように、2チーム編成できるレアル・マドリードとバルセロナの豪華なスカッドはラ・リーガのみならずCLでも「優勝候補」を名乗れるだけのもので、優勝争いはこの二強によって展開されることになるでしょう。

 

3番手は屈指のアタッカーが並ぶアトレティコ

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アトレティコ・マドリードも

  • ベルギー代表MFヴィツェル(←ドルトムント)
  • アルゼンチン代表右SBナウエル・モリーナ(←ウディネーゼ)

を獲得すると同時に、

  • モラタ(←ユベントス)
  • サウール(←チェルシー)

の2選手がローンバックで戻ってきたことで戦力的には昨年比でアップしています。特に前線はルイス・スアレスが退団したとはいえ、

  • グリーズマン
  • ジョアン・フェリックス
  • モラタ
  • マテウス・クーニャ
  • アンヘル・コレア

世界トップレベルのFWが揃っていて、シメオネ監督も毎試合のFW起用は頭を悩ますでしょう。

 

トップ4で終了オッズ/来季のUCL出場権を獲得するのは?

トップ4で終了オッズは、以下となります。

オッズ順チーム名オッズ
1レアル・マドリード1.10倍
2バルセロナ1.14倍
3アトレティコ・マドリード1.30倍
4セビージャ2.10倍
5ビジャレアル3.50倍
6レアル・ソシエダ4.50倍
7ベティス5.50倍
8アトレティック・クルブ7.00倍
9バレンシア11.00倍
10セルタ19.00倍
エスパニョール19.00倍
12ヘタフェ21.00倍
13オサスナ26.00倍
14アルメリア29.00倍
15バジャドリード34.00倍
16カディス41.00倍
マジョルカ41.00倍
ラージョ・バジェカーノ41.00倍
19ジローナ51.00倍
エルチェ51.00倍

※オッズは2022年7月20日時点のWilliamHill公式サイト(リーガ・エスパニョーラ – トップ4で終了 2022/23)から引用

オッズで4番手につけるセビージャは3年連続でCL出場圏内の4位につけるなどラ・リーガの新戦国時代、四強時代を印象付ける安定した強さを発揮しつつあります。

しかし、コロナ禍での財政難から今夏はレギュラーセンターバックのジエゴ・カルロス(→アストン・ヴィラ)、クンデ(→バルセロナ)を放出せざるを得ず、補強も思うように進んでいません。

開幕直前の時点では戦力ダウンと言わざるを得ない状況で、過去2シーズンは優勝争いに一時加わっていましたが、今季は難しいでしょう。

ただ、ここ数年のラ・リーガが面白くなっている最大の理由は、4番手争いに参戦可能な中堅クラブの存在です。

3年連続4位のセビージャが4番手を確保したようにも見えますが、昨季5位ベティス、6位レアル・ソシエダ、7位ビジャレアルの3チームはいずれも十分CL圏内を狙える地力があり、トップ4で終了オッズもそれを反映した倍率になっています。

 

トップ4争いを盛り上げるのは久保建英が加入のラ・レアル

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中でも注目は久保建英が移籍をしたレアル・ソシエダです。

久保の他にも今夏、若干18歳の新星モハメド=アリ・チョー(←アンジェ)、スペイン代表歴もあるMFブライス・メンデス(←セルタ)を獲得し、3年連続UEFAヨーロッパリーグ出場の成績を狙う今季はカップ戦のタイトルとCL出場権獲得を狙っています。

元々育成に定評のあるクラブであるラ・レアルは、スカッドの選手構成も育成6割、外部4割という数字目標を掲げ、それを実行している模範的クラブです。

育成をベースにトップチームのサッカーも構築しているため、近年のラ・リーガの中でもボール保持型のポジショナルプレーを実践するモダンなチームで、指揮を執るイマノル・アルグアシル監督でさえもクラブ生え抜きという徹底ぶりなのです。

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攻撃的なセンスと能力ではラ・リーガの中でもトップレベルの久保建英にとって、ラ・レアルへの移籍は「相思相愛」の理想的なチーム選びで、残留が目標のマジョルカとは異なる目標、サッカーのチームです。久保にとってはより強みを出しやすい環境になるでしょう。

昨季膝の前十字靭帯断裂の大怪我を負ったため年内の復帰はありませんがスペイン代表FWオヤルサバル、久保にとって憧れの選手でもあるダビド・シルバ、ミケル・メリーノ、ブライス・メンデスら、久保と共鳴可能なハイクオリティ&ハイセンスの天才型レフティが多く在籍する珍しいチームでもあり、今から彼らとの攻撃時のセッションは楽しみです。

久保本人にとってもラ・リーガ4年目の今季はいよいよレアル・マドリードからのローンではなく完全移籍でレアル・ソシエダの選手、顔としての活躍が求められます。彼にとっては毎年が勝負のシーズンではありましたが、今季は「4年目の正直」とも呼べる大ブレイクが最も期待できるシーズンとなるでしょう。

 

ビジャレアルも育成大国スペインを体現する存在。新たなスター誕生も楽しみ

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ラ・レアル以外でも昨季CLでユベントス、バイエルンを撃破しベスト4入りしたビジャレアルのような育成ベースのクラブも要注目です。

ポスト・コロナの欧州移籍市場ではありますが、ラ・リーガの各クラブはどこもリーグのFFP(ファイナンシャル・フェア・プレー)の厳しいルール下でお財布の紐を固く締めた状態が続いています。

そうした環境下で強いのがラ・レアルやビジャレアルのような育成型のクラブであり、それは育成大国スペインのラ・リーガ自体に言えることなのです。

ビジャレアルにはすでにA代表に定着したDFパウ・トーレス、昨季19歳でA代表デビューを飾ったジェレミ・ピノといったアカデミー出身選手が主力にいて、今季はBチームから昇格するセネガル人FWニコラス・ジャクソン(21)もブレイクするでしょう。

昨季国王杯で優勝した後に現役続行を宣言したベティスのホアキン(41)や衰えを知らないレアル・マドリードのモドリッチ(9月に37歳)のようにベテランが健在な点もラ・リーガの魅力ではありますが、育成大国スペインらしくバルサのペドリ、ガビのようなあっと驚くタレントが毎年彗星のように現れるのもリーグとしての特長です。

 

レアルとの”二強”復活に期待。ハイレベルな戦いの末にバルセロナが優勝と予想

このように見どころの多いラ・リーガの新シーズンですが、私の優勝予想は爆買いで大きく様変わりをしたバルセロナです。

8月末のマーケットクローズまであと1、2名の大物選手を補強する模様ですが、昨季途中から指揮を執ったシャビ監督が思い描いた補強が8割方実現し、シャビ監督が常々発言してきた「バルサが居るべき場所に戻る」ためのスカッドはほぼ完成したと言っていいでしょう。

つまり、ラ・リーガはもちろんですが、戦うコンペティション全てでタイトルを狙えるだけのチームになったということです。それは常勝軍団レアル・マドリードも同じですが、前線の選手層とハイプレスの強度は若干バルセロナの方が上回っていると分析しています。

毎年バロンドールを争ったC.ロナウド、メッシ、ピッチ外でも舌戦を繰り広げたモウリーニョ監督とグアルディオラ監督をそれぞれ擁し、ラ・リーガのみならず欧州でも「二強時代」を築いたレアル・マドリードとバルセロナが再び国内外で超ハイレベルな戦い、ライバル対決を演じるシーズンとなりそうです。

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